白浪若衆 江戸怪盗伝
しらなみわかしゅうえどかいとうでん
絢爛!大江戸の闇に色と欲が綾なす白浪三人吉三!黙阿弥の世界を銀幕に移して完璧の一大娯楽篇

火事と喧嘩は江戸の華、とかく騒然たるお江戸八百八町に、今宵も御用提灯と呼笛の音がむなしく流れていった。前髪立の、浮世絵から抜け出たような優男だが、お嬢吉三の神出鬼没の行動に八丁堀の鬼同心、幡谷蕃蔵は夜毎地団太を踏むのであった。その頃、家康公から拝領の堀田家の家宝庚申丸は、何者かによって盗み去られたため、堀田家で秘かに探索している―こんな噂が世上に流布されていた。そして十年毎の、将軍家御使者による御あらため式はこの秋であった。月も中天に輝く河原の非人小屋で、捕手をまいて逃げて来たお嬢は今更のように感慨深く、非人姿の忠僕勘八に言うのであった。「片っ端から忍び込んだ大名屋敷、おかげでおいらは白浪若衆のお嬢吉三と呼ばれるお尋ね者になったが、いまだに目星のつかねえ庚申丸の名刀、一生涯無駄かなあ」何時になく弱音を吐くお嬢に、勘八は「そんな気の弱い若様、よもや御両親の無念を…」言われて、お嬢はハッとする。あの夜庚申丸が盗まれたばっかりに、父上は閉門切腹、悲嘆のあまり母上まで他界、それに今では唯一人の姉とも離れ離れ。お嬢は思わず唇をかんだ…。

日本
製作:日活 配給:日活
1955
1955/9/7
モノクロ/10巻/2418m/88分/スタンダード・サイズ
日活