三つの顔
みっつのかお

五年後の再会を約して別れた三人の戦友が、複雑な現代の世相の中で三者三様の生活を送るうち思わぬ再会をする。井上梅次と舛田利雄の共同執筆のオリジナルシナリオによる迫力と感動の豪華大作。

ビルマ戦線で命を助け合った三人の戦友-岸健一郎、志賀英治、小林大三が引揚者でごった返す品川駅のホームで五年後の再会を約束して別れてから五年の歳月が流れ、再会の日が近づいて来た。道路工事場のニコヨンである大三は、貧しいながらも悪事をせず、再会を楽しみに僅かな金を貯めながら生きてきたが、空腹で倒れた。大三を助けたリーダー格の源さんは事情を知り、五年振りの再会で彼に恥をかかせまいと、仲間たちから金を集め、大三は仲間の有難さに感激して涙を流した。拳闘家になった英治は試合を明日にひかえ、三十万円で勝ちを相手の村山に譲ってほしいと萩山組に誘われていた。断る彼だったが、肺を病み、喀血した恋女房の園江の蒼ざめた顔をみて、誘惑に負けてしまう。健一郎は、頼りになるのは姉の真理一人だったが、彼女は篠田という男の情婦になり下がっており、篠田の手先となって強盗を働いていた健一郎は警察に追われていた。さて再会の日、東京駅の約束の場所で待っているのは、大三ひとりだけ。約束した三人の再会は、果たして実現できるのか・・・。

日本
製作:日活 配給:日活
1955
1955/8/9
モノクロ/100分/スタンダード・サイズ/10巻/2735m
日活
【東京都】東京全景/品川区(品川駅)/江東区(小岩大橋、道路工事現場)/台東区(浅草、浅草公園、隅田川)/千代田区(東京駅、丸ノ内日活)/港区(日活スポーツセンター)/中央区(銀座、数寄屋橋公園)/明治大学拳闘場/調布市(多摩川川原(=ビルマ戦線の回想シーン))
【神奈川県】横浜市(平沼のガスタンク上の夜間ロケ(=岸が警官隊に追われてガスタンク上に逃げるラストシーン)、保土ヶ谷駅)
※岸役・三國のパントマイム演技はジャン=ルイ・バロー著「パントマイム論」(書名要確認)を参考にし、扮装は「クノック」(ジュール・ロマン原作の喜劇)のルイ・ジューヴェからヒントを得たものだとか。