志津野一平シリーズ第2弾。消えうせた1000万円を追って、私立探偵志津野一平が嬌声の地獄街を衝く、スリルとサスペンスの痛烈篇。
既にお馴染みの志津野一平は、ある夜、例のオンボロ車を駆っての帰途、額から血を流した五十過ぎの男を見つけると、持ち前の商売気から街の病院に担ぎ込んだ。しかし、その男は何故か一平の親切を有難迷惑に感じて今にも逃げださんばかり。そこで一平の鋭いカンは猟犬の如く緊張―、とにかくその男を興信所に連れて来て一平はほっとする間もなく、ベルが鳴って、額に傷のある残忍そうな二人の男津田と佐川の来訪を受けた。用件は言うまでもなく一平の連れてきた男、唐沢の引取り。一平は勿論その要求を拒んだ。「この野郎!」佐川のナイフが一平の胸にぐさり…。しかし一平の鉄腕は素早しい。津田と佐川は手強いと見たか逃走、追う一平。ところが一平が部屋に戻ってきた時には、唐沢の姿も見えなくなっていた。