製作再開一周年を記念して、日活入社第1回作品として月丘夢路が全女性に新しき時代の愛情の在り方を訴える文芸巨篇。
腕ききの実業家・梶大助が泊まるホテルへ、娘・八千代の紹介で、カジカ研究の資金を出して貰うため、曾根二郎がやってきた。梶は快く承諾したが、決して金を出すとは言わなかった。曾根が帰ると八千代がやって来て、夫・克平の不満をぶちまけ帰っていった。夜、酒くさい克平が小犬をかかえて帰って来ると、八千代は冷たい態度をとり大阪の実家へ帰ってしまった。一方、八千代がいなくなると克平は、かねてから念願であったカラコルム登山の準備にとりかかった。ある日、彼が持ち帰った小犬を見ず知らずの女性が連れているのを見つけた。それは例の小犬で、連れていたのは梶が出資している銀座の洋品店の杏子という女性で、その日以来ふたりは親しくなった。八千代は、梶に連れられて東京の克平のもとへ帰ってきたが、克平は留守だった。そこへ杏子が克平を訪ねてきて、女同士で話しあっているうちに、八千代は杏子に淡い嫉妬を感ずるのだった…。