春の夜の出来事
はるのよのできごと

年齢のわりに茶目っ気のある百万長者と純情な青年が、ふとしたことから境遇を取り違えられ、貧富ところを替える皮肉と哀歓に満ちた人情喜劇。

大財閥大内産業会長・大内郷太郎は年齢のわりにヤンチャで、自分の財産がどれくらいかも知らないが、満十八歳になる麗しき娘・百合子、三羽のオーム、そして忠実な吉岡という執事がいることは知っている。郷太郎は傘下の「くるみ製菓」が、一等・二等当選者を赤倉グランドホテルに十日間ご招待という豪華な懸賞を募集していることを知り、山田郷造という匿名で応募した結果、当選した。大旦那様の一人旅とあって一族は猛然反対したが、郷太郎は反対を振り切り、ボロボロの恰好に身をやつし出発した。執事・吉岡はお許しを乞い、随行することになった。もう一人の当選者・二宮真一は各方面の懸賞パズルに何回となく当選しているが、その才能は世に認められず、大学卒業後も職がない。母ふさ江のススメもあり、単身赤倉へ向かった。郷太郎と吉岡が出発した後の大内家一族は、心配でたまらない。ホテルの支配人に電話し、郷太郎の性格や趣味、好物などを伝えた。百万長者が貧乏人にやつしてのお成りとあって、ホテルは準備におおわらわ。そこへ真一がリュックを背負ってやって来た。それ御到来とばかりに案内されたホテル最高級の部屋には、オームが三羽、ブドウ酒のキャンテイ、サンマまで用意してあり、真一の頭は混乱。間もなく、ホテルの玄関に貧乏人姿の郷太郎が現れた。招待状があると言う郷太郎を、ボーイは渋々屋根裏の一室へ通した。見るに見かねた吉岡は郷太郎の素性を明かそうとするが、ここに至って茶目気を発揮し始め-。
日本
製作:日活 配給:日活
1955
1955/6/11
モノクロ/93分/スタンダード・サイズ/10巻/2565m
日活
【東京都】台東区(上野駅)/▲走る汽車
【新潟県】妙高市(赤倉観光ホテル、田口駅(現・妙高高原駅))/▲スキー場