銀座の女
ぎんざのおんな

銀座に程近い芸者屋を舞台に、ともすると特別視されがちな芸者の生態を哀歓をもって描く、巨匠・吉村公三郎監督日活初作品。

銀座にほど近い芸者屋“しづもと”では、人生の悲劇にささやかな抵抗を続ける芸者たちが、その日を送っている。女将いくよ(33才)は将来の面倒を見てもらうことを条件に、貧しくて優秀な青年・矢ノ口英作に学資と生活資金を与えて大学に通わせている、馬鹿なほどのお人好である。琴枝(26才)は税務所に勤務する兄を持つため、先生と言われる人種から贔屓を受ける気のいい姉さん株芸者。子どもを里子に出している照葉(32才)は、百万円当たったら一緒に暮らせると宝くじを買い続ける母性愛至上主義者。ミサ子 (19才)は、最初の旦那が浪花節語りの爺さんだったためジャズ・ファン。牛の身代りで“しづもと”に売られたさと子 (16才)は、まだ芸者の臭いのしない薄幸の見習芸者だ。いくよは工科大学に通う英作が立派な技師になることを望んでいるが、最近学校をさぼりがちな英作は、好きな小説に凝って毎日原稿用紙にむかっている。いくよの不安をよそに、銀座の裏通りにあるバー・グロリヤのマダム操と女給ブンちゃんは、栄作を激励していた。ある時、いくよのパトロン代議士の高梨三郎がアメリカから帰国するという報せに喜んだのも束の間、“家の者の気配がおかしい”という理由で、別れの手切れ金を受け取らねばならなかった。あとは英作に望みを掛けるいくよだったが、その日バー・グロリアで英作に会ったいくよは、彼からも別れ話を持ちかけられてしまう…。

日本
製作:日活 配給:日活
1955
1955/4/1
モノクロ/109分/スタンダード・サイズ/11巻/2989m
日活
【東京都】杉並区(浴風園)/目黒区(緑が丘駅)/中央区(銀座千疋屋2階喫茶店、銀座の街角、尾張町交差点、デパート、本屋、勝鬨橋、月島)/大田区(羽田空港、六郷土手)/千代田区(国会議事堂)/▲工科大学正門
【千葉県】浦安市(浦安海岸)
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