かくて夢あり
かくてゆめあり

戦後、製作を再開した日活の記念すべき現代劇一作目。当時、全国の女性を感涙させたNHK連続ラジオドラマの映画化で、青年弁護士と人妻の悲恋物語を小林桂樹と宮城野由美子の共演で綴る。

高見沢義文は銀座の酒場でピアノ弾きをしながら弁護士の勉強を続ける純情な青年。兄・利光の結婚式の日、義文は久しぶりに郷里に帰ったが、兄嫁となる女性・裕子は幼馴染の頃から彼が人知れず恋をしていた人だった。一年後、義文は楽団イエロー・スターズの一員となって働きながら弁護士試験の勉強に打ち込んでいた。一方、利光と結婚した裕子の生活は幸せではなかった。高見沢家の当主として製材所を経営する大地主でありながら、利光は仕事を顧みず酒を飲んでは芸者遊びをし、事業も生活も荒んでいくばかりだった。そうした折、弁護士試験に合格した義文が久々に東京から帰ってきた。義文は裕子の不幸な結婚を知り、変わり果てた兄の生活を見て利光に激しく詰め寄るが、裕子にはかえってそれが切なかった。二人の心は千々に乱れて、今にして知る立ちがたき愛情に胸が避ける思いであった。

日本
製作/日活 配給:日活
1954
1954/6/29
モノクロ/106分/スタンダード・サイズ/11巻/2897m
日活
【福島県】塙町(山林)/矢祭町(矢祭山、旧・高城村の旧家)
【東京都】中央区(銀座)/千代田区(丸ノ内日活、有楽町駅付近、日比谷公園野外音楽堂)/文京区(▲「本郷の下宿・北辰館」)
【茨城県】常磐線/水戸市(水戸駅、市内、停車中の水郡線列車)/大洗町(大洗海岸、大洗ホテル、燈台付近)/大子町(旧・黒沢村の製材所)
【栃木県】日光市(日光東照宮(陽明門、境内))
【滋賀県】瀬田の鉄橋
【兵庫県】神戸市(朝日会館前、神戸駅ホーム)
【和歌山県】新宮市(お城山=新宮城址、二の丸ホテル前、本丸)
【島根県】松江市(城山、松江大橋、宍道湖畔、小泉八雲(ヘルン)旧居付近)
▲【山口県】山陽線、関門トンネル
▲【熊本県】熊本市(熊本駅)
▲【鹿児島県】鹿児島市(鹿児島駅)