風の又三郎
かぜのまたさぶろう

「転落の詩集」に次ぐ島耕二監督作品。原作は宮沢賢治の戯曲、劇団「東童」が応援出演。

山間の小さな村落、谷川の岸に小さな学校がある。5年生以外は1年生から6年生までの児童が、唯1つの教室で就学した。夏休みも終わった9月1日の朝、1年生の承吉と小助が学校へ来ると、見たことのない洋服を着た不思議な男の子が教室にいた。2人が驚いて泣き出したところに、6年生の一郎、4年生の嘉助と佐太郎、3年生の耕助、悦治らもやって来たが、その子を知っている者は誰もいない。その日はちょうど二百十日だったので「あいつは風の又三郎だ」と嘉助が言い出すと、小さい生徒たちはすぐに同意したが、一郎と佐太郎はどうしても信じられなかった。やがて先生が来て、北海道から転校してきた高田三郎君だと紹介した。しかし嘉助だけは、風の又三郎だと言い張った。翌日から一緒に勉強することになった三郎は、皆とも仲良しになった。ある日曜日、皆で葡萄取りに出かけたが、耕助だけは三郎に意地悪をした。三郎も負けず風について口論を始めたが、耕助が負け、結局二人は仲直りした。上の原牧場では、「競馬ごっこをやろう」という三郎の提案に皆賛成した。ところが2頭の馬が草原へ逃げてしまい、三郎と馬を追っていた嘉助は一人道に迷ってしまった。急に天候が悪くなり、霧と強風と雷のなか、嘉助はついに倒れてしまった。そのとき眼の前に、ガラスのマントを着た三郎が現れ、不思議な歌を歌いながら空高く飛び去って行くのを夢うつつに見た…。

日本
製作:多摩川撮影所 配給:日活
1940
1940/10/10
モノクロ/97分/スタンダード・サイズ/10巻/2651m

<ご注意>
戦前の製作作品(1942年以前)は、資料の不足などの事情により、当HPのデータの内容が必ずしも正確なものとは限りません。

日活