(つち)
内田吐夢が「限りなき前進」に次いで監督する映画で、約一年の製作日数を費した大作。新人風見章子が抜擢されて大役をつとめる。キネマ旬報ベストテン第1位。
監督
内田吐夢
キャスト
勘次=小杉勇 おつぎ=風見章子 与吉=どんぐり坊や 卯平=山本嘉一 平造=見明凡太郎 兼博労=山本礼三郎 源さん=鈴木三右衛門 たみさん=藤村昌子 地主の内儀さん=村田知栄子 雇婆かつ=坂東三江紫 雇女おくめ=高真理 野良番頭彦造=沢狂介 女房よしえ=三井智恵 その娘アヤ=桜美代子 作男熊吉=米倉進 作男作太郎=寺井郁男 作男芳一=竹石喬一 駐在巡査=長尾敏之助 渡し船頭=金子春吉 周旋人喜八=潮万太郎 おひで=美川かつみ お梅=京町みち代 すみ子=松平冨美子 商人安五郎=西春彦 若者為治=加藤章 若者助次郎=井上敏正 若者善太=泉静治 若者金次郎=高野二郎 雨乞の神主=吉井莞象 村の女房おとめ=田中早苗 村の女房ひさ=小森鈴子 村人八兵衛=菊地良一 村人寅吉=高見貫 村人六蔵=伊達満 村人廣吉=河野憲治 村人虎七=冬木映彦 村人金次=堀江幹二 村の娘=鹿島はぎ子 村の娘よし子=西川静子 老婆お筆=戸田春子 老婆おあき=紅沢葉子 村人徳市=赤星瞭 たみさんの倅=飛田喜佐夫 尾崎輔 芝みどり 二宮明子 滝口よし子 那須三平 黒騎進 谷雄二
脚本
八木隆一郎 北村勉
その他スタッフ
原作/長塚節(東京・大阪朝日新聞連載) 撮影/碧川道夫 
あらすじ 妻を失った貧しい百姓・勘次は、初めて野良へ出る娘のおつぎと二人で懸命に畝の間を耕していた。野田で醤油庫の番人をしている舅の卯平も勘次からの知らせで駆けつけたがとうとう娘の死に目にも会えず、真新しい墓標を前にして頬を濡らしていた。働き手の妻に逝かれた勘次は、まだ一人前の働きが出来ないおつぎや幼い与吉を抱え、極度の貧困から卯平とも生活を共にせず相反目していた。ある日、ふとした出来心から、勘次は隣家の平造の畑から作物を盗んだ。激昂した平造は駐在所の巡査まで引っ張り出して大騒ぎをしたが、地主のお内儀さんやおつぎの計らいでどうやら収まったものの、生活の苦しさは以前にも増して激しく、雪に被われた田畑を眺めては喘ぎ暮らしていた。春も過ぎ田植えの始まる初夏が来た。夏になると勘次は疲れ切ったおつぎを励まし、毎日遠い河原から水を汲んでは亀裂を生じた田に注いだ。こうした苦心が報いられて収穫を済ませると、庭の隅に積み上げた米俵に離し難い愛着を感じるのだったが、勘次は世話になっている地主の旦那に早く納めなければ義理が済まぬとすぐ運んでゆくのだった。収穫が済むと淋しい秋である。勘次と折合いが悪いため粗末な小屋を建てて別居している卯平は、寒さが加わるに従って身体も弱り、内職も出来なくなった。西風が冷たく吹く冬の日、野良で働いていた勘次とおつぎは時ならぬ半鐘の音を聞き、火元は我が家と云われて駆けつけてみると、家は既に火に包まれて如何とも手の下しようがなかった。その夜、卯平は村人に助けられて念仏堂に運ばれ、勘次等三人は焼け跡で夜を明かした。数日後やっと片付けられた焼け跡に掘っ立て小屋を作って、僅かに寒さを防いでいる勘次の所へ夜中平造が駆けつけて、卯平が念仏堂から姿を消したと知らせた。驚いた勘次は村人たちと卯平を探しに出た。怖々留守をしていたおつぎは、ふと物音を聞いて外を見ると、少し離れた木の下で卯平がうつ伏せになって呻いていた。帰って来た勘次は卯平の哀れな姿を見ると今まですげなくした自分の仕打ちを恥じて、長い間の反目した感情も快く溶け合うのだった。地主のお内儀さんから雑木林の開墾を頼まれた勘次は。微かながらも前途に光明を覚え、まだ残雪のある開墾地で重い鍬を振るって雑木を伐り倒した。おつぎも手伝っていた。やっと元気を取り戻した卯平も傍の陽だまりに座ってお茶を沸かしていた。空では雲雀が高く鳴いている。もうすぐ春になるのである。

※現存版は巻頭・巻末が欠落した不完全版
<ご注意>
戦前の製作作品(1942年以前)は、資料の不足などの事情により、当HPのデータの内容が必ずしも正確なものとは限りません。

【動画配信】
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製作国:日本 製作:多摩川撮影所
配給:日活
製作年:1939
公開年月日:1939/4/13
上映時間ほか:モノクロ/スタンダード・サイズ/15巻/3899m/142分
© 日活

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