明治一代女
めいじいちだいおんな
日活・入江プロ提携第1回作品で、病気全快した入江たか子が久しぶりで主演し、日活スター島耕二、尾上菊太郎、山本嘉一、高木永二、酒井米子等が特別出演。「心の日月」「月よりの使者」の田坂具隆監督、日活復帰後最初の作品となる
あらすじ 柳橋の姐さん芸者で踊りの名手、秀の家秀吉の執拗な嫉妬に愛想をつかした歌舞伎役者澤村仙枝は、男嫌いと美貌の売れっ妓の叶家のお梅とふとしたことから恋仲となった。たまたまその頃池之端の御前と呼ばれた粋人福地桜痴が大尽騒ぎの宴会で、秀吉がお梅の芸を口汚く罵るのを見るに見かねて仙枝がかばいに出たりしたことが、かえって秀吉の憎しみを盛り立てる。心ひそかにお梅を恋していた箱丁巳之吉はお梅の弟武彦が人並みに学校を卒業するまでの費用を工面しようと申し出たが、仙枝が金を融通してくれたため、そのままになって苦い酒ばかりあおっていた。一方、秀吉も仙枝が三代目澤村仙之助を襲名する披露に要る莫大な金を用立てるからどうかお梅と手を切ってくれというのだったが、役者を情人に持つ芸者の心意気、お梅も指をくわえて引っ込んではいられなかった。これを知った巳之吉は故郷の田地を売り払い、その金をお梅に与えこれっきり仙枝と手を切って夫婦になってくれと頼むので、お梅もその気になって仙枝と別れる約束をする。だが所詮離れられぬ仙枝とお梅である。そむかれた巳之吉は浜町河岸でお梅を責めた。殺すつもりではなかったが巳之吉の抜いた兇刃に、あやまってお梅は巳之吉を刺してしまった。過失とはいえ殺人の罪は重い。名乗って出ようとはしたが、仙枝の披露の舞台を見るまでは死んでも死に切れぬお梅だ。南千住の安宿に身を潜め、吉原の廓を新内を流して歩き、そして恋しい男の晴れの舞台を見終わるや、思い残すこともなくお梅は母に送られて警察へ自首して出たのであった。
日本 製作/日活、入江プロダクション
日活
1935
1935/11/1
モノクロ/スタンダード・サイズ/10巻/2545m/93分
<ご注意>
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