御誂次郎吉格子
おあつらえじろきちごうし
「続大岡政談 魔像解決篇」につぐ伊藤大輔監督・大河内傅次郎主演の正月作品。伏見直江・信子姉妹競演で繰り広げられる人情話。
江戸から上方へ逃亡中の鼠小僧治郎吉は、京から大阪に向かう三十石船で居合わせた女・お仙と関係を持つに至ったが、出来心の関係ゆえ治郎吉の心は憂鬱であった。兄のため商売女に身を落としたお仙も同様だったが、いつしか凶状持ちの治郎吉が忘れられない男となっていた。お仙の兄・仁吉は妹から搾り取れるだけ搾り取る阿漕な男だったが、それだけでは満足せず、貧しい浪人の娘・お喜乃を与力・重松の妾にしてさらなる代償を得ようとしていた。治郎吉はお喜乃父娘の窮状の原因が、かつて治郎吉が江戸で公金を盗んだことにあることを知り、お喜乃を救おうと決心した。お喜乃の父を殺害した仁吉に誘惑されようとしていたところを救った治郎吉は、共に逃げることを承諾する可憐で純情なお喜乃に心の動揺を押し隠し、彼女を一人遠く安全な場所に逃がしてやる。重松を殺し、再び追われる身となった治郎吉が最後の決着をつけようと仁吉の家へ乗り込んだところ、そこにはお仙が縛られて居た。お仙は恋する男のため、御用提灯の捕手が迫るなか自らを犠牲にして治郎吉を逃がしてやるのだった。
※現存するプリントは60分の不完全版でタイトルが「御誂治郎吉格子」に差し替えられている。
日本
製作:日活太秦撮影所 配給:日活
1931
1931/12/31
モノクロ/9巻/2218m/81分/スタンダード・サイズ/無声
<ご注意>
戦前の製作作品(1942年以前)は、資料の不足などの事情により、当HPのデータの内容が必ずしも正確なものとは限りません。
日活