vol.15 森田芳光ブルーレイボックスが実現するまで

2021年10月15日(金曜日)

スタッフコラム「フォーカス」へ、ようこそ!当コラムでは、日活作品や当社が関連する事業などに従業員目線で"焦点(フォーカス)を当て" 様々な切り口でその魅力をお伝えします。vol.15は「生誕70周年記念 森田芳光 全監督作品コンプリート(の・ようなもの)Blu-ray BOX」誕生の裏側にフォーカスします。


前代未聞の商品はどのようにして生まれたか

今年は森田芳光監督の生誕70周年で没後10年。「森田芳光70祭(ななじゅっさい)」も始動し、回顧上映や関連書籍の出版、CS各局での特集放送、海外でのレトロスペクティブ上映などが続々と予定されています。

中でも、全フィルモグラフィ27本のうち26本を収録した「生誕70周年記念 森田芳光 全監督作品コンプリート(の・ようなもの)Blu-ray BOX」は、版権会社の垣根を超えて作品を収録した前代未聞の商品ということから、「映画会社が勢ぞろいしたクレジットがすごい」「版権処理を考えると気が遠くなる」と世間をざわつかせています。

そこで今回は、この不可能とされたブルーレイボックスがどのように誕生したのか、商品化に携わった日活の担当者に話を聞きました。実現までに費やした年月はなんと足掛け3年。そこには関係者たちが森田監督のためならと粉骨砕身する長い道のりがありました。(脳内に「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテーマ曲を流しながらお読みください。)

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12月20日発売 価格:110,000円(税込)©1981N.E.W.S. CORPORATION 他

インタビュー
金山功一郎
日活撮影所入社後、様々な制作現場を経て本社転属。現在はパッケージ商品を主とする企画製作業務を行い、森田芳光ボックスを担当。コロナ禍の今、心に沁みる森田作品は『(ハル)』。
佐藤香
森田芳光ボックスのサブ担当。ボックスを担当して「森田監督が、いかに多くの人に慕われていたかがよくわかった」。想い出の森田作品は『間宮兄弟』。


きっかけは新文芸坐の全作上映会

―どのようにして、この企画が持ち上がったんですか。

金山 ある日、日活撮影所の先輩から電話があって、三沢和子さん(森田芳光夫人で映画プロデューサー)と会ってほしいと言われたんですね。2018年に新文芸坐で「森田芳光全作上映会」をやったんですけど、その時に上映ソースが無くて三沢さんが苦労したらしいんです。

ブルーレイを作ればもっと映画館で見てもらえるし、ボックスにして販売もできる。だから全作品をまとめたブルーレイボックスを出せないかと、三沢さんが関係各社に相談されてたところだったんですね。そこでパッケージ担当の僕が一度お会いして、日活として『(本)噂のストリッパー』と『ピンクカット 太く愛して長く愛して』の2作品について、ライセンス協力はできるようにしますと話をしました。この時点ではどのような形で商品化するか、まだ決まっていなかったんです。

―多数の版元が権利を持っているから、一つの商品にするのは大変ですよね。

金山 そうなんです。森田さんって稀有な経歴を持たれていて、当時の邦画5社全てで映画を撮ってるし、それ以外にもテレビ局やさまざまな制作会社で生涯27作品を撮っているんです。だから版権元が散らばっているものをどうしたら全集形式で商品化できるか、権利元各社が集まってシミュレーションをしていったわけです。


2作しか権利を持たない日活が、なぜ発売することになったのか

金山 一つの案として、ある会社が全てのライセンスを引き受けるのはどうだろうと考えました。その中に、日活がやったらどうなるか提案させてもらいました。ボックスにするにはそれなりの予算とスケジュールが必要なので大変なんですけど、最終的には皆さんのご賛同をいただき、進めることができました。

それに僕は学生時代から森田さんの映画を観ていたし、日活撮影所は森田組のスタッフが多かったので、森田さんの現場に憧れて撮影所のセットに忍び込んだりしてたんですよ。森田映画というのは日活撮影所と深い繋がりがあるんですね。だからこそ僕は三沢さんがブルーレイ化を考えていて、今こうした縁があるんだったら、日活としてぜひやるべきだって思いましたし、今回の特典制作も森田組のスタッフが手弁当で集まってくれて、そういうことも含めて日活だからできた繋がりを感じています。

―発売(日活)・販売(ハピネット)に決まったのはいつですか?

金山 メールを見返すと、2019年4月には既に見積もりのやり取りをしているので、その数か月前から動いていたんだと思います。

―そこから発売が決まるまで、さらに2年近くかかってますね。


森田監督へのみんなの想いが結実

金山 発売元・販売元は決まったけど、今度は全作品を揃えられないという問題が発生しました。途中で企画が頓挫しかけたんです。そんな中、なぜ商品化出来たかと言うと、三沢さんが常に各方面の困難な調整を重ねて下さったその熱と、権利元各社のご協力に尽きます。

佐藤 特典制作では森田組のスタッフが無償でもいいからと手伝ってくれて、森田さんがいかに周囲の人から慕われていたかがよくわかりました。若くして亡くなったからという訳ではなく、みんなが森田さんのファンで思い入れがあるんです。だから結束して協力してくれているんだなと感じました。森田さんへの皆さんの想いがあったからこそ、リリースまで漕ぎつけられたと思います。

―今回のような、会社の垣根を超えたブルーレイって他にもあるんですか?

金山 これだけ版権会社が散らばっているライセンス商品は、僕が知る限り無いですよ。それと今回、無理言って自主映画時代の作品も特典として収録するんですね。単に監督作を26本集めたということではなく、デビュー前から遺作まで一人の映画作家の個性を追いながら、インディからメジャー作品に至る、ある時代の日本映画の歴史を網羅しているんです。だから僕は冗談でもなんでもなくてギネス申請しようと思ったんですね。世界一のボックスだと思いますよ。ただ申請にめちゃくちゃお金がかかるんで一瞬で諦めたんですけど(笑)。

―特典も豪華ですね。

金山 一番観てほしいのは初期の8mm作品です。僕は学生時代に追いかけて観ていたんですけど、8mm時代の森田芳光というのはとても魅力があるんですね。だから森田さんの自主映画時代を何とか紹介できないかと思って、三沢さんに相談したんです。でも既製の音楽をバンバン使っているのでそのまま収録できないんですよ。初めは三沢さんもそれはできないわよって返事だったんですけど、最終的には、デビュー作からずっと付き合ってくれた編集の川島章正さんとならと、オーケーしてくれました。

デジタル化されている全8mm作品と『ライブイン茅ヶ崎』を川島さんと三沢さんが編集し直して、「自主映画時代の森田芳光」という70分くらいの作品を作ってくれて、今ちょうど仕上げをしているところなんです。三沢さんのお声がけで森田組スタッフが結集してくれました。作品の中には森田さん自身が出演して映画論を語っているものもあるんですよ。

―ブックレットも付くんですよね。

金山 森田さんはデビュー前に「カメラワーク1000」「ギャグ1000」とか、CM企画や新しいビジネスモデルのアイデアを書き溜めたネタ帳をたくさん作っているんですよ。それと小学生の時に書いた「流星スーパー」というヒーロー物語等の貴重な資料を64ページの冊子にする予定です。

特典映像だけで180分あるんです。180分の特典ディスクと64ページのブックレット。しかもオーサリングも25作品を新たに一からやり直しています。だからこの商品が税込11万円なのは正直言うと破格なんです。今の時代、そう簡単に手を出せない金額だし、皆さんが高くてふざけんなって思う気持ちは僕だってよくわかるけれども、この価値とこの満足度から言ったら決して高い買い物ではないんですよ。だって自主映画時代も含めて森田さんの生涯がまとまっているんです!映画の価値を考えてほしいんです。それだけの価値が間違いなくあると、信じています。

―売り切れたら追加で作らないんですか?

佐藤 限定商品なので作れないでしょうね。今を逃したらもう二度と世に生まれないので、買い占めないでねと言いたいくらいです。

―ハピネットさんのHPを見ると、今だと20%引きの税込88,000円で買えますね。

金山 そうですね。ネットで買うと8万円代になったりするので、ポイントを貯めるにも高額商品っていいですし、そう考えても相当いい買い物ですよ。お買い得どころの沙汰じゃないんですよ、ほんとに。いいすぎでしょうか?

―これはもう、買うしかないですね!

金山 今回「70祭」というプロジェクトが立ち上がって、様々な機会を作れたのは良かったと思います。映画館での上映もあるし、テレビ放送もするし、配信で観ることだってできます。「森田芳光全映画」(三沢和子・ライムスター宇多丸 編著)って本を読むと映画を観るガイドになるし、映画を観てから本を読むと内容がさらに深まる。せっかくの機会なので、ブルーレイボックスに限らず、アンテナにひょいっと引っかかった時にいろんな方法で森田さんを体験すると面白いと思いますね。森田さんの映画って過去のものではなく、何度見返しても新しい発見があるので。だからブルーレイにする価値があるってことなんですけど。

(インタビュー終了 vol.15 担当・広報Y)


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©1981N.E.W.S. CORPORATION 他


「⽣誕70周年記念 森⽥芳光 全監督作品コンプリート(の・ようなもの)Blu-ray BOX」2021/12/20(月)発売!

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価格:110,000円(税込)
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収録内容

の・ようなもの/ボーイズ&ガールズ/(本)噂のストリッパー/ピンクカット 太く愛して深く愛して/家族ゲーム/ときめきに死す/メイン・テーマ/それから/悲しい色やねん/愛と平成の色男/キッチン/おいしい結婚/未来の想い出-ラストクリスマス-/(ハル)/失楽園/39-刑法第三十九条-/黒い家/模倣犯/阿修羅のごとく/海猫/間宮兄弟/サウスバウンド/椿三十郎/わたし出すわ/武士の家計簿/僕達急行 A列車で行こう
※※『そろばんずく』に関しましては、版権元許諾が得られず、収録がございません。


映像特典

■森田芳光の原点(予定)
※『の・ようなもの』以前の自主映画作品(「映画」「天気予報」「水蒸気急行」「ライブイン茅ヶ崎」他予定)を編集再構成し、デビュー以前の森田芳光ワールドを堪能する特別プログラム。モリタはデビュー以前からモリタだった!(音楽版権上、既成楽曲等が使用されていないシーンの再編集ダイジェスト版になります)
編集・構成:三沢和子/川島章正

■モリタを巡る証言~「森田組」スタッフコメント集(予定)
※コメント映像:川島章正(編集)、塩村宰/野力奏一/大島ミチル(音楽)、沖村志宏(撮影)、小川富美夫/今村力/中澤克巳/小澤秀高/山崎秀満/近藤成之(美術)、他。

■森田芳光の撮影風景&-森田芳光インタビュー(予定)
※撮影メイキング映像及び作品を語るインタビュー集(メイキング:「メインテーマ」「黒い家」、インタビュー:「キッチン」「(ハル)」「未来の想い出-ラストクリスマス-」「39-刑法第三十九条-」「わたし出すわ」)
※既発DVD等に収録された素材を再編集したものです。


封入特典

■ブックレット(予定)
森田芳光秘蔵資料集
※森田監督がデビュー前に書き溜め、様々なアイディアと映画的思考、技術の元となった数十冊に及ぶ直筆ノートから抜粋他、残された歴史的な秘蔵資料をブックレット化!(収録内容:小学生時の幻の処女作?「流星スーパー」、「の・ようなもの」企画書、「絵コンテ」、ネタノート「カメラワーク1000」「TV番組/CM/ビジネスアイデア」「ギャグ1000」)


初回限定ご予約特典

■「BEAMS DESIGN」の森田芳光生誕70周年スペシャル"TARIMO"Tシャツ
森田芳光監督が20代の頃に実際に着用していた"TARIMO"ロゴTシャツ(監督自主制作)をモチーフに、生誕70周年を記念し、「BEAMS DESIGN」のスペシャルデザインで復刻!背中には監督のユーモアの世界から飛び出してきたキャラクターも登場。ブルーレイボックス購入の方しか手に入らない、超貴重なアイテムです!
※初回ご購入の方のみのスペシャル特典!初回生産分の限定数のみの取り扱いとなります。なくなり次第終了となりますので、あらかじめご了承くださいませ。
※Tシャツのサイズは身丈73㎝、身幅55㎝の1サイズのみとなります。

*ブルーレイボックスの詳細はコチラ

*ブルーレイボックスのご予約
http://tarimo70.com/product/


「森田芳光70祭(ななじゅっさい)」関連情報

*書籍情報
http://tarimo70.com/book/

*上映・放送情報
http://tarimo70.com/news/


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