vol.12 デビュー65周年"マイトガイ"小林旭の魅力を紐解く【後編】

2021年03月26日(金曜日)

スタッフコラム「フォーカス」へ、ようこそ!当コラムでは、日活作品や当社が関連する事業などに従業員目線で"焦点(フォーカス)を当て" 様々な切り口でその魅力をお伝えします。今年デビュー65周年、われらが "マイトガイ" 小林旭さんにフォーカスし、【前後編】でお届けするvol.12。ダイヤモンドラインの一人として日活映画黄金期を築き、支え続けた銀幕の大スターの魅力に迫る、社員座談会【後編】です。


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フォーカスvol.12【前編】では、座談会参加者と小林旭さんや作品との出会いについて主にお伝えしました。【後編】は、座談会参加者それぞれの距離感ならではの独自の視点で、旭さんの凄さを紐解きます。まだ旭さんに出会ってない方々、今の時代の若い人にも、"スター小林旭" との新鮮な出会いが訪れますように。

座談会【前編】をまだお読みになっていない方は、まずは コチラ をご覧ください。

座談会参加メンバー
谷口 公浩
ファン歴45年。2004年、50周年の相談で旭さんご本人から直接電話を頂き、仕事上の初対面が叶う♥
ひらりん
旭さん50周年PJに携わって以来のファン。あれから17年、様々なお手伝いをし、数えきれない思い出が。
金山 功一郎
旭さんへの入り口は、サブカルから。65周年記念DVD商品担当(芦川いづみさん65周年担当でもある)。
山田 実恵子
広報担当。『無頼無法の徒 さぶ』を観る度に大号泣。酔うと「ダイナマイトが百五十屯」を歌う癖あり。
三島 航
2020年の新入社員。大学で映画論を学んだが旭さんは勉強し始めたばかり。今日は先輩方の話が楽しみ。
広報S
日活公式HP全般を担当する広報担当。参加者の誰よりも映画知識に乏しく、不安しかない本日の進行役。


ここが凄いよ、旭さん!伝えたい、みてほしいポイントとは?

広報S これまで旭さんに縁のなかった方にとって最初の一本として観やすいとか、旭さんを知るにはこれがマストみたいな作品や、興味を持っていただくキッカケとして、ココを伝えたい!ということはありますか?

三島 旭さんの作品にこれまで馴染みのなかった僕が今回観た3作品の中で、一番好きなのは『大草原の渡り鳥』です。敵役で登場する宍戸錠さんとのコンビの妙というか掛け合い、そして本作ではアイヌの民族問題も取り扱っていて、興味深いなと思いました。一方で、ブレイク前に出演されている文芸作『絶唱』では、保守的な家柄の縛りみたいなものに抗う若者を演じていて、悲しく切ない物語なのですが、旭さんの苦悩のお芝居が自然で、説得力があって惹き込まれました。

広報S 谷口さんオススメの『太陽、海を染めるとき』では、旭さんが浅丘ルリ子さんを小脇に抱え、階段を駆け下りるシーンがありましたが、小脇に抱えているのは人形でも、小さな子どもでもなく、大人の女性だよね?と、巻き戻して二度見してしまいました。旭さんはスタントなしのアクションをやられていた方なので、どれだけの体力と腕力なんだ?!と驚きました。

谷口 そうなんですよ!高いところから飛び降りるとか、見た目に派手なアクションだけでなく、ああいう素地の凄さも見てほしいところです!!

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*『太陽、海を染めるとき』


山田 旭さんは映画の中で人を担ぎあげ、投げ飛ばすシーンが多いような気もします。大の男を頭の上に持ち上げ投げ飛ばすって、当時は他のスターもやってました?

谷口 他のスターにもそういったシーンはあるにはあるのですが、資料として残っている写真を見ると、だいたいの場合は吊るしてますね。旭さんも、時には吊るすこともあったかもしれませんが、柔道をやられていて腕力が相当あったので、たいていはご自身の力業だったと思います。アクションも、人によってはムードで魅せるパターンもありますが、旭さんはご自身でやることに拘りましたし、単にアクションをこなすだけでなく、どう映るかを意識しながら魅せるアクションが出来るのは、天性の才能だと思います。

広報S 体力の凄さと言えば、旭さんに限ったことではないのかもしれませんが、当時は毎月1本という、今では考えられないペースで同じ方の主演作が公開されていた時代ですね。

谷口 ダイヤモンドラインのスターの映画は、全盛期には皆さん毎月1本は公開されていたと思うのですが、旭さんは特に地方ロケが多かったんですね。撮影期間が同じでも、新幹線がない時代ですから移動にかなり時間かかっていたにもかかわらず、他のスターと同じ本数をこなすのは、相当な体力だったろうと思います。

広報S ダイヤモンドライン結成翌年には、石原裕次郎さんの骨折や赤木圭一郎さんの急逝と苦難が続き、そういったなかで旭さんはアクションでケガをしても、大けがで意識を失っていたときを除いて、基本的にはすぐに現場復帰したと言いますし、何年にもわたって年間平均10本もの作品をこなし、日活の屋台骨を支えていらしたんですね。

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*ダイヤモンドライン(左から石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、和田浩治、宍戸錠)


広報S ところで先ほど話題に出ましたが、旭さんはロケが多く、例えば『渡り鳥』シリーズでは、北海道(函館、釧路ほか)、福島(会津)、新潟(佐渡)、九州(宮崎、長崎ほか)と北から南まで、さらには日本を飛び出し海外(タイ・香港)ロケまで行っています。旭さんの映画に限らず、旧作の楽しみ方として当時の風景や文化を知ることができるという面があると思いますが、『渡り鳥』シリーズはそれに加え、各地の民謡をアレンジし、旭さんが自慢の喉を鳴らすのを楽しめるのも醍醐味のひとつですよね。

谷口 旭さんの若いころの歌声を初めて聴く方は、あの独特の高音に驚く方も結構いると思うのですが、ハマってくると、いいんですよねぇ。

広報S 都会的な見た目と、独特のハイトーンヴォイスのミスマッチ?これが、聴けば聴くほどクセになると言うか。私は、渋さが加わったベテラン歌手としての旭さんが最初の印象という世代なので、やはりお若い頃の歌声には衝撃をうけましたが、ご当地民謡からロックまで幅広いジャンルを難なく歌いこなす旭さんの歌声は、やみつきになりますね。ここまで話してきて、旭さんの魅力は、男が惚れる男、見事なまでに違う作品ごとの役作り、類まれなる体力と天性の才能から生み出されるアクションの数々、耳に残る特徴的な歌声、それだけでなくあらゆることができてしまう器用さ...といろいろあって、旭さんをあまりご存じない方や若い方に、ひと言でズバリこれ!と伝えることができないのが悩ましいのですが...。

谷口 65周年記念DVDは、若いころの旭さんから円熟味を増した旭さんの作品までバラエティに富んだラインナップですので、人によって異なる入り口が、いろいろと揃っていると思いますよ。

広報S 65周年記念DVDの選定ポイントは「旭さんの歴史を振り返ることができるように」 だったと思いますが、金山さんは、その中でも拘った作品や思い入れがある作品はありますか?

金山 まず出演作130本の中の22作品って、ものすごく小さな枠なので、各年代の特色を生かした作品を最低一つは入れることにしました。代表作ではないとか、この作品が入ってないというご意見はあるだろうことは覚悟の上で、旭さんの日活時代をトータルでみて、ブレイク前の魅力も含めて届けたいと思いました。

個人的に思い入れがあるのは中平康監督の『黒い賭博師 悪魔の左手』です。脚本の山崎忠昭さんは、のちに「ルパン三世」の脚本を担当されている方で、本作も面白いと思ったら「ルパン」の世界なんです。荒唐無稽な設定で、アニメみたいな映画です。昔の日活映画ってアニメみたいな面白さがある。ただ旭さんが凄いのは、アニメみたいなものをアニメとしてやらず、きちんと映画として成立させてしまうところなんです。旭さんを知らない方が観るなら、こういう作品が面白いのではないかと思います。

ひらりん 『賭博師』シリーズ、本当におもしろいですよ!旭さんって、ああいうコメディ的なこともちゃんとできる。とてもユーモアのある方だと思います。(『黒い賭博師 悪魔の左手』6/2発売)

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*『黒い賭博師 悪魔の左手』


広報 ところで、ひらりんさんや谷口さんは、イベントや取材などで多くの時間を供にされてきたということですが、近くでご覧になってきたからこそ感じる、旭さんの魅力についてお聞かせください。

ひらりん 言葉で表現するのはとても難しいのですが...旭さんは真面目でブレない方。ブレない芯みたいなものがありつつ、常にチャレンジもし続ける。そして、生き方や歌や演技に、いくつになってもロマンを持っていて、この人には叶わないなと圧倒させられます。知り合って17年経ちますが、例えばコンサートのときに毎日会っていたとしても、いつも緊張します。それは「親しき仲にも礼儀あり」と言いますか、どんなに会っていても馴れ合いにはなるな、という心地よい緊張感です。そういうことを旭さんが直接言うということではなく、一本芯が通っているのを様々な面から感じられ、私はいつでも"今"の旭さんが一番だと感じています。一目惚れからはじまり、今は尊敬してやまない存在です。

谷口 私はもう長年のファンすぎて、端的に魅力を伝えるのは難しいですねぇ...。ファンすぎると、理由なんてないんですよね(笑)。新しい世代の人たちにも、ぜひとも旭さんのファンになってほしいのだけれど、三島さんどう?

三島 お若い時の旭さんって、シュッとしていて、キリッとしてて、映画の中でも誠実な感じがすごく出てて、これはやはりスターだなと思いましたね。とてもかっこいい方だと思いました。

山田 『渡り鳥』シリーズって、ざっくり言うと、ギター抱えて馬に乗ってやってきて、歌って喧嘩して、去っていくという話じゃないですか。荒唐無稽なシチュエーションを今の若い子はどう感じるのかなあ?

三島 『大草原の渡り鳥』だと、ガンアクションや、宍戸錠さんとのコンビが魅力的で本当に面白いと感じました。

広報S このシリーズは、基本的な内容は同じ、主人公はもちろん、敵役もヒロインもほぼ同じで、意外な展開はないけれども、そこも含めて楽しめるんじゃないですかね。錠さんは敵役なのに結局味方してくれるとか、勝負すると言いながら、だいたいお預けになるとか、ヒロインに100%好意を持たれるとか、旭さんが歌い終わるまで敵は手を出さずに待ってくれるとか(笑)。都合がよすぎる!など細かいことは気にせずに、西部劇よろしく馬にまたがって颯爽とやってきては、問題を解決したら去っていく、日本一無国籍が似合う旭さんのカッコよさは、今でも通用する気がしますよねぇ。

山田 ストーリーというよりは、旭さんや錠さんを楽しむための映画なんだね、きっと。ところで、以前会社の倉庫に 『渡り鳥』シリーズの革ジャンがありましたが、あれは本当に旭さんが着ていた革ジャンですか?

谷口 『大草原の渡り鳥』で旭さんが着ていたものですが、あれ小さいんですよねぇ。こんなに細かったのか!?と思うくらいね。

山田 そう!実は、着てみようとしたら、全然入らなかったの(笑)!

広報S 大人の男性が着ていたものを、細身の女性が着れないって...。そういえば、先ほど体力や腕力が凄いと話題にしていたアクション初期の作品を観ても、見た目は全然ガッチリみえない。細マッチョだったということですね。細マッチョ好きな人は、『渡り鳥』シリーズ含め、1960年代初期のアクション必見かも(笑)?

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*『大草原の渡り鳥』


山田 金山さんは大瀧詠一さんを通じて、サブカルから入ったという話でしたが、一番好きな旭さんの歌は何ですか?

金山 一番というと悩んでしまいますね。大瀧詠一さんの影響で旭さんの音楽をイチから聴くと、民謡から始まることになるのですが、僕は甲斐バンドやブルーハーツの真島昌利さんが歌った「ダイナマイトが百五十屯」のオリジナルが旭さんだったということだったり、「自動車ショー歌」のようなノベルティソングですかね。

大瀧さんがラジオで旭さんの特集をしているのを聴くようになり、大瀧さんがなぜ旭さんに惹かれるのか、という辿り方の面白さを自分でもだんだんと出来るようになっていきました。旭さんは広大なポテンシャルと世界を持っている人で、日活映画の様々な面白さをチャージしているので、いろいろなポイントから、観る人を捕まえることができるんです。大瀧さんはいらっしゃらないけれど、アキラさんこそが生きるナイアガラーなんですよね。

谷口 大瀧さんといえば、旭さんが50周年を迎える直前、レコード化されてない音源を何とか聴きたいと日活に足繁く通っていたものの、そのときは叶わなかった。その後、私が紹介され、大滝さんが望んでいた『東京の暴れん坊』の音源を送り、マイトガイトラックスが発売されたということを思い出しました。

山田 私も大瀧さんにお会いしたことがありますが、100知るには150調べないと...という徹底ぶりで、惹かれるものに対して全てを知りたいという探求心の凄い方でしたね。

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*『二連銃の鉄』の挿入歌が「ダイナマイトが百五十屯」


金山 大瀧さんは、相当な旭さん心酔者だから特に全部を知りたがるという面があったとは思いますが、僕は旭さんに馴染みのない方は、2つ3つ観る程度では魅力がよくわからないと思うんです。学生時代、僕が清順監督作品を観ていた時に、旭さんの面白さ凄さに気づかなかったように。

逆に、ある程度旭さんの作品を観てから清順監督作品を観ると、清順映画での旭さんの凄さがわかってくるんです。それは、やはり旭さんが役の中に"小林旭"を出さないからだと思います。だから映画をひとつ観ても、意外とピンとこない。ある程度の数の作品を観て、旭さんがこういう人だと理解した上で観ると、そのポテンシャルや存在の大きさを感じ取ることができるんですよね。

つまり、旭さんといえば、コレとコレを観ておこうという作品の選び方(薦め方)ではなく、それぞれが自分の面白さのポイントに応じて作品を選んだ方が理解しやすい。それが、今回65周年記念DVDに様々な特色をもった22作品を選んだ理由でもあります。

正直言えば、先ほど僕が面白いと言った『黒い賭博師 悪魔の左手』は名作ではないですし、旭さんの映画で一番だとも思ってません。でも、「ルパン三世」世代の僕にとっては、無償に面白い映画でしかないんです。『仁義なき戦い』で育った人にとっては、長谷部安春監督のニューアクション『広域暴力 流血の縄張』のようなリアルな作品がピンとくるでしょうし、昔ながらの純愛ものが好きな人にとっては『絶唱』かもしれません。

広報S 各々、自分の好きや面白いと思うポイントから、ぜひ自分にピタリとハマる旭さんに出会ってほしいですね。

金山 そうですね。逆に言えば、『渡り鳥』シリーズを荒唐無稽な無国籍映画だと説明され、何も知らない人がカルト的な作品を期待してしまうと、そんなキッチュでもない見え方になってしまうと思うんです。また、旭さんと言えばアクションが凄い、と言われますが、今のCGアクションを見慣れている人や、ジャッキー・チェンだったりブルース・リーのアクションに馴染みがある人にとっては、だいぶイメージが違うと思うんですね。

旭さんのアクションは、いわゆるアナログアクションの凄さであって、自分がやる面白さという意味では、トム・クルーズのアクションを想像するとイメージが近いかもしれません。

山田 そうだ、トム・クルーズだ!すごく腑に落ちる!!

金山 そこがサブカル的で、旭さんの面白いところなんです。知らずに観ると、意外と大したことないのかなと思ってしまいそうなのですが、実は...ということが、次から次へと出てきます。だから、わかりやすいキャラクターの人と比べて、ひと言で魅力を伝えることは難しい。でも、自分に馴染みのあるもの、自分が面白いと思えるポイントから探っていくと、各々の旭さんの魅力が発見できると思います。

広報S 初心者の方には一見わかりづらいかもしれないけれども、実は様々な魅力を秘めている旭さん作品。海外ではジョン・ウー監督やジャッキー・チェンさんもファンを公言しています。小林信彦さん、大瀧詠一さんなど熱狂的な心酔者が、何故そこまで旭さんに惹かれるのか、その意味を、少しずつ自分で紐解いていくのも楽しいですね。

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*『大草原の渡り鳥』身体能力の高さで魅了する旭さんのアクション


これまで旭さんとご縁のなかった方々にも、この座談会の内容をヒントに、ひとつずつ旭さんの魅力を発見していっていただけたら幸いです。


「小林旭 デビュー65周年記念」日活DVDシリーズ 2021年4月~6月<全22作品>リリース!


*全ラインナップは<小林旭デビュー65周年記念特設ページ>をご覧ください。

★★プレゼントキャンペーン開催★★
小林旭さんデビュー65周年を記念して、日活公式サイトではプレゼントキャンペーン実施中です。プレゼント当選は先着順ではございませんので、応募の際にはフォーカスvol.12(本座談会企画)の感想を是非お寄せください。プレゼントページは コチラ

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*スタッフコラム「フォーカス」とは?詳しくはコチラ


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