「秩父の小天狗」と異名をとる剣士が他流派から挑戦状を叩きつけられ、自分の信念を胸に立ち向かっていく。剣一筋に男の命を懸ける青年剣士に高橋英樹、「鬼」と恐れられる剣豪に二谷英明、二人の鬼気迫る対決が見応えのあるアクション。
明治十七年頃、関東秩父地方では剣術が盛んで名流派が対立していた。小野派一刀流には「秩父の小天狗」の異名をとる玄吾、甲源派一刀流には「鬼」と恐れられている伝七郎がいる。毎年行われる神社の奉納試合では両派ともその名誉を賭けて争っていた。ある日、玄吾は道場近くにある万屋一家に誘われ、剣術興行を見に出かけた。万屋の娘・おあいは心密かに玄吾に想いを寄せていた。その帰り道、玄吾は興行に関係あるやくざに襲われるが返り討ちにする。やくざは縁のある伝七郎の元へ駆け込み、助けてくれと頼んだ。伝七郎は承諾し玄吾に試合を願ったが、「奉納試合以外で、あなたと立ち合う理由がない」と玄吾はきっぱりと断った。しかし、今度はおあいに恋焦がれている甲源派一刀流の門下生に襲われて、玄吾はとうとう刀を抜くことになる…。