
| 撮影所に学校があるということで、授業以上に現場の空気を体験していきました 教室の窓から撮影風景がみられるような環境の中、常に撮影現場で働くスタッフの動きを目で追っていましたね。撮影所でのアルバイトをしながらも、照明部さんはこう動くんだって、様々なパートの動きを盗んでいました。授業以上に、そんなところから撮影現場の空気や雰囲気を体得していきましたね。 僕が最初にやったのは車輌部のバイト。照明機材を撮影現場まで運んだり、当時は現場でコピーなんて使っていないから、撮影現場への道は知ってる人が地面に書いて説明してくれるんです。それをみんなでメモって移動する。東京の道を知らなくて、現場にたどりつかなくて、すごく迷惑をかけたことも(笑)。でも、その時の日活製作部は怒らなかったんだよね。優しくしてもらったな。 最初の現場はテレビドラマ「太陽にほえろ」。製作進行で現場に出ましたが、それまでのアルバイトを通して、なんとなくやらなくてはいけない仕事がわかっていたので、なんとか対応することができました。毎朝早くて、ヘトヘトでした。その現場で知り合った人が次の仕事を紹介してくれました。 製作部の仕事は、ものすごく映画の中味に関わることができる仕事なんです。 |
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| 僕はもう二十数年映画の現場をやっていますが、同じ現場ってないんですよ。作品ごとに違う。その度新しい経験ができる、それが映画を創る上での一番の魅力。そのためにプロデューサーは日々ものすごく勉強しなくちゃならないけれど、それってとても楽しいことなのです。 伊丹十三監督が初監督した「お葬式」。葬式のことなんて知らないから、お通夜のやり方とか、一つ一つを調べるわけです。それが映像となっていくわけだから、知ることは楽しいですよ。毎回毎回、勉強しなきゃいけないテーマがあって、これを楽しいと思わなきゃやっていけないですよね。 |
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| 映画っていうのはキャメラがあって、そこに被写体となる役者さんがいて、それを撮る人たちがいて創られる世界。フレームの中の画は全スタッフが考えなきゃいけないことなんです。 監督が何を撮りたいと思ってこの設定をしているのか、役者さんがどんな想いで演じているのシーンなのかがわかっていれば、自ずとそのフレームをつくるために自分が何をしなくちゃいけないかがわかるはず。わかれば楽しいです。例えば、製作進行は文字どおり現場を進める仕事です。進めるとは、何を進めることなのかを勉強してほしいですね。フレームを創るために人をよけ、車止めをしているんです。それをわかっていれば人止めも楽しいですよ。ロケハンもそうです。最初にイメージをつくるのが製作部。「この作品で、この風景を使いたい」って思ったら、それを監督にプレゼンする。OKが出れば、その場所で撮影され、映画のシーンとして刻まれる。自分が映画をつくっているという気持になれますよね。作品を理解し、自分でイメージできること、もちろんセンスも問われます。例えば作品にマンションの設定があったとします。台本を読み込み、その設定をイメージし、ぴったりくるマンションを探し出す。そして交渉する。そこに物語の部屋の設定が出来上がるわけです。それが製作部の創り出す世界。最初にイメージをひくのは製作部なんですよ。 プロデューサーの仕事は予算管理をするわけだから、この作品はここにポイントを置くべきだと自分が思えば、それを実現できる采配をする。監督のやりたいように、監督の言うままに動くのがプロデューサーではないのです。監督以上に作品を理解し、イメージし、監督と同等に話し、作品を高め、作品全体をコントロールするのがプロデューサーの仕事です。作品を一番理解しているのがプロデューサーでなくてはいけない。そう、映画を一番つくりたいと思っている人がプロデューサーなんですよね。 「現場を楽しむ」それができれば、その姿勢で作品創りに参加できれば、強いですよ。 |
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現場をどう楽しむか、これが一番大事。「現場を楽しむ」ってことを学校で学んでほしいですね。楽しんで創られた映画は観る人に伝わるから。 経験していないことができないのはあたりまえ、だからこそ、知らないことを知りたいと思うことです。生意気なくらいでやってほしいです。僕は生意気でしたよ、監督やキャメラマンに「何でこっちから撮らないんですか」とか言ってましたから。そのうちに「藤田がそんなに言うならこっちから撮ってやるか」なんて、言ってくれたりするんです(笑)、そんな会話ができると嬉しくなりますよね。わからないことは何でも聞いていました。それに、僕の周りにいたスタッフはすごい作品に付いてきた人ばかり、その時の話を聞きたいじゃな |
| いですか、時間があるといつもお話を聞かせてもらっていました。そういったすごい経歴の人と自分が一緒に仕事ができること自体が楽しい。更にそのスタッフに信頼されるようになったときには喜びになる。そういう楽しさの一つ一つを味わわなかったら、何のために作品に参加しているのかわからないです。 僕の現場では、実習で来た助監督や新米スタッフに「お前はこのシーンをどう思う」って聞きますよ。助監督、監督とよってたかって(笑)。スタッフにやる気をおこさせるプロデューサーでありたいですね。若い人たちがやる気をもって頑張っている姿を見ると自分が元気になれますから。 撮影現場は、毎回いろんな人と出会う場所です。そこで自分がどんな仕事をしたか、それによって、次の仕事につながり、次のポジションが与えられるのです。現場でダメだと言われている限りはその先には進めない。ダメだと言われなくなると次の段階の仕事が自然とまわってくる、そういうものです。 映画は50人から100人くらいのスタッフが一つの作品で動きます。そこには1人だっていなくていいスタッフなんかいないのです。弁当の手配をすること、それは重要な役割であって、僕なんか「この弁当食わせているのは俺だ」というくらいな気持で配っていましたよ(笑)。文句が出たら、言われないように努力する、「美味しい!」って言われれば素直に嬉しい。製作進行の頃、先輩にカメラをのぞかせてもらえって言われ、撮影部に頼んでのぞかせてもらっていました。そうすると、わかるんです。今、何を撮ろうとしているかが。そのカットを撮るために自分が何をしなくてはいけないかがわかる。わかると楽しいですよね。最初からその姿勢で物事に関わっていくと、何でも楽しくなるよね。 失敗するのはあたりまえ。最初からできないのもあたりまえ、でも、先輩にできることは自分だってできるはず、そう思って僕はやっていました。現場を楽しめるようになると強いですよ。こいつは楽しそうにやってるなっていう奴は、必ず残っていきますよね。 |
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