作品テーマ 2007年7月
このサイトのTOPページへ
≫「祖父の音」 吉川都和
喉頭ガンに冒され声が出ない祖父は孫の美里には気味が悪いだけの存在。ある雨の日、美里は大きな家で祖父と二人きりになる。おびえる美里に祖父が見せてくれたものは…。祖父との距離を一気に縮めた雨の日の思い出。心にしみる雨の雫に美里は耳を澄ませる。(斉藤)
≫「雨」 高野佳子
死んだと聞かされていた父との再会は葬式での遺影。だが、その人とは毎日駅で顔を会わせていた。赤いチェックの折りたたみ傘が浮かび上がらせる父娘の交流が心にしみる。(斉藤)
≫「虹の見える場所」 松村愛
大切な人は身近すぎてなかなか見つからない。雨の日の出会いから虹を探して歩くというラストまで、"恋愛以前の恋愛"が軽妙なタッチで描かれていく。 虹の果てには、幸せがあるという。分かっているけど、たどりつけないんだよね…。(斉藤)
≫「レイン・ドロップ」 武田沙織
病床の少女に、街のいろんな空気をビニール袋につめて届ける少年の姿がほほえましい。 どんなに雨が降っても、その後には必ず晴れた空がひろがる。幼い二人はママがくれたドロップをなめながら、雨あがりを待つのだが…。(斉藤)
≫「鳥へ捧ぐ眼差し」 本村飛鳥
転校生・志穂は美術部で出会った山田の激しい生き方に惹かれていく、それが生命の最後のきらめきとも知らず。強烈な出会い、そして、次第に恋心が芽生えていくさまが多感な女高生・志穂のまっすぐなまなざしを通して描かれる。(斉藤)
≫「黒い傘とビニル傘」 神永順一
伝説の町の通り雨。夏休みで母の実家に来ていた青年はいきなり「傘を返して」と声をかけられる。振り返ると、そこに立っていたのは肩車をした異形の兄弟だった…。 オフビート感の語り口が心地よい一編。(斉藤)
≫「ビニール傘チルドレン」 佐藤壮一
国をすっぽり包む巨大なドーム。巷ではドーム破壊を叫ぶビニール傘チルドレン達の抵抗運動が激しくなっていた。目の前で逮捕された恋人・優子の仇を討つべく手製爆弾を抱えてドーム広場に突入した僕はあっけなく機動隊に腹を撃たれてしまう。その時、ついに、爆弾の時限装置がゼロを刻んだ!(斉藤)
≫「雨降り」 阿左見由香
母子家庭ゆえにうける理不尽ないじめの日々。そして、兄弟はいきなり母から再婚話を聞かされる。ヤマオカさんと囲むテーブルに並んだ豪華な中華料理の数々。母を遠くに感じたぼくは「テレビの中の住人」となって笑い続けるしかなかった…。(斉藤)
≫「薬指の赤い糸」 関実希子
ある雨の夜、いつものバス停で降りてみると、そこは見知らぬトンネルの前。振り返ると、いつの間にか今来た路も消えていた。光男は乗り合わせたバスの乗客たちとトンネルを抜けようとするのだが、一人、また一人と…。 じんわりサスペンスが効いた展開がいい。恋人同士が薬指を絡ませあうラストもGood。(斉藤)
≫「高座渋谷」 畠山誠史
ふらり降り立った小さな町、高座渋谷。男はふとしたことで行きずりの親娘に傘をかす。そして、雨に閉じこめられ、親娘と一晩を過ごすことになる。何ともおかしいが心温まるひととき…。 雨の中を青く大きな背を揺らしながら泳ぐ鯉のぼりを見上げ、男はようやく息子の死を受けいれる。(斉藤)
≫「天気雨」 越川幸子
突然夫を亡くし行くあてのない恵子と、幼くして父を亡くし頼るあてのない聡子。同じ屋根の下に住みながら、不器用な者同士ゆえに、距離を埋めきれないまま二人の心はすれ違っていく。やがて、病で入院する恵子。その時から二人の心はうち解けていくのだが…。 恵子のつづった日記が『母の思い出』になっていくラストシーンが秀逸。
(斉藤)

↑ページTOPへ

 

日活芸術学院オフィシャルサイトへ