作品テーマ 口紅 2007年5月
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≫「I'm sorry Mama」 武田沙織
小さなスナックを切り盛りしながら女手一つで私を育ててくれた母。だが、母の厚化粧を嫌って私の心は離れていく。そんな私に「あたしは死んだと思って一人で生きろ」と母はいきなり親子の縁を切った。4年後、母の死で故郷に戻った私は遺された一本の口紅から母の本当の姿を知る。自分が親になってはじめて知る母の大きな愛…。「私」の幸せを願わずにはいられない。(斉藤)
≫「夏の赤、りんご飴の色」 関実希子
「かいしゃのおともだち」の「ようこさん」は、エメラルドグリーンのワンピースに、見たこともないような真っ赤な唇で少年の前にあらわれた。父の再婚でゆれる少年の心がきらきらと描かれる。性への好奇心と家庭の侵入者への嫌悪感が化粧を落とした「ようこさん」の暖かさに溶けていく夏祭りシーンが甘くせつなく胸をうつ。(斉藤)
≫「口紅」 菅原久里子
超高級レストラン、シャンペングラスには輝くエンゲージリングが沈んでいる。驚くあすかの指にリングをはめ、三島は三年越しのプロポーズ。だが、彼の頬には"ついてちゃいけない"キスマークがべっとりと――。そう、今日は人生最大の受難の日。背中で不幸の神様が笑っている。 (斉藤)
≫「大切ナモノ」 神永順一
口紅を拾ったことで出会った二人。一目惚れなのにその人は年上だった。自分が何になりたいのかさえわからない若者は埋めきれない距離を埋めようと背伸びして「人生」を語ってしまう。それが二人の別れを導くとも気づかずに。いつの間にかベンチで冷たくなっていた缶コーヒー。 その苦さって、俺にも経験あるな…。(斉藤)
≫「罪と罰」 居村美保
幼い自分を置き去りにして男と駆け落ちしてしまった『あの人』。その日から、『あの人』の残した品々に囲まれながら僕の心は次第に分裂していく。その頃、巷では、スナックを営む中年女性ばかりを狙った連続殺人事件が起きていた。憎悪と思慕、罪と罰、股裂きになっていた二つの心をぴたりと重ねてしまう鏡がにくい。今も昔も、鏡には本当の姿が映る…。(斉藤)
≫「老いぼれピエロ」 青木玲
リストラされデパートの屋上で時間をつぶすしかない聡のもとに祖父の訃報が届く。久しぶりに戻った故郷で祖父と過ごした懐かしい記憶が戻る。口紅で真っ赤な鼻をして、ぐずる聡のために可笑しなダンスを必死に踊ってくれた祖父…。祖父の残してくれたことばを聞き、聡はもう一度やり直す気力がわいてくる。ピエロの鼻と口紅の組み合わせがいい。(斉藤)

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