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『海を駆ける』太賀さん&深田晃司監督、相思相愛の二人が語る知られざる裏話!
2018年06月20日(水曜日)

映画『海を駆ける』公開記念トークイベントが6/18(月)テアトル新宿で行われ、太賀さんと深田晃司監督が登壇されました。

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映画『海を駆ける』は、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した、今や世界の映画人が注目する深田晃司監督の最新作。2011年東日本大震災後に大学研究チームの震災復興リサーチに参加した深田監督は、2004年スマトラ島沖大震災で津波による壊滅的な被害を受けつつも復興を遂げた街バンダ・アチェを訪れた際、本作のアイデアを想起。自然は時に豊かに美しく、時に脅威となり人を飲み込み、また人間の生活は自然と共にあるという様を、インドネシアの美しい海、そして国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描くファンタジーです。

公開から約1か月経つ現在も、「様々な見方ができる」「何度でも観たくなる」「1番不思議な映画」など様々な意見が飛び交い、1つの意見にとどまらない反響と広がりを見せている本作。この日は、深田組の常連で、本作では日系インドネシア人という役どころに体当たりで挑んだ太賀さんと深田監督がお互いの印象や今作の魅力について語り、めったに聞くことのできない撮影裏話や役作りに関するディープな話がたくさん飛び出し、会場も大いに盛り上がりました。

― インドネシア人キャストではなく、太賀さんをキャスティングした理由について

深田監督 『ほとりの朔子』という作品を2013年にやり、そのときに"タカシ"役で太賀くんに出てもらっていたんです。今回の作品は、インドネシアという部分で『ほとりの朔子』とつながっていて、鶴田さんと太賀くんにはまた出演してもらおうと思っていたんです。それでアテ書きで脚本を書いたのですが、私はインドネシア語ができないので、脚本を書くときに【ID】と付けると全てインドネシア語になる、というシステムでした。なので、役者の苦労はなにも考えていなかったです(笑)。

太賀 最初台本を読んだ時には【ID】とたくさん書いてあって、「これ全部インドネシア語なんだ...」と愕然とするような衝撃がありました(笑)。練習期間が2か月ほどあったので最初は初歩的なところから学ぼうと思ったのですが、それだと間に合わない!となり、セリフだけに集中したほうがいいと思い、セリフだけを練習して臨みました。

― 鶴田さんはインドネシアへ移住した日本人、太賀さんは現地で生まれた日系インドネシア人と、役どころの違いによってインドネシア語に対するアプローチが違ったということについて

深田監督 鶴田さんには、インドネシアに長く住んでいるから上手だけれど、日本語なまりがまだ少しあるというインドネシア語を、太賀くんにはガチンコでお願いしました。

太賀 (鶴田さんと)練習を開始したのが同時だったので、鶴田さんが上手くなればなるほどハードルが上がっていき...とにかくネイティブらしさを求めてはいましたが、やっぱり限界があったので、どうしたら自分が"インドネシア人である"という説得力を持たせられるのだろうと考え、インドネシア語を練習する以外にも容姿や仕草といったところでも補えるのではと思い、いろんなことを吸収して取り組みました。

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©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS


― "ネイティブらしさ"という面でこだわった食事シーンについて

太賀 インドネシアに入った日にディーンさんと食事する機会があり、その時に「これがインドネシア人流の食べ方だ」というのを教えてくださいました。基本的には3本の指で食べるのですが、本当に慣れてくると(手元を見ずに)ノールックで食べられるようになる、というの教えてくださって、せっかくならマスターしたい、とその日からは毎食手で食べるようにしました。

深田監督 (鶴田さん演じる)タカコは日本出身の人なので、馴染めずにスプーンで食べるんです。なので、そこは(太賀さん演じる現地で育ったタカシ)良い対比になったかな、と思います。(細かなこだわりにお客様からも「ああ~」と感心の声)

細かなこだわりは他にもあり、インドネシア人風の外見を漂わせるタカシの髪型も深田監督の策略で、ジャカルタで1週間ほど現地の俳優たちと稽古していたとき現地の床屋さんに来てもらい、インドネシアの若者の一番典型的な髪型にしてくれとお願いして、あの髪型になったそう。

― これまで深田監督作品に3作品出演した太賀さんが、その全ての作品で"タカシ"という名前で出演していることについて

深田監督 "タカシ"という名前は自分の映画でよく使う名前だったんです。最初は意識せずに『ほとりの朔子』で"タカシ"をやってもらい、そして『淵に立つ』でも"タカシ"をやってもらうことになり、2本"タカシ"でやってもらっていたので、そのまま"タカシ"でやってもらおう、という流れになってしまって(笑)。

太賀 言い方によっては"タカシ三部作"というとらえ方もできますね(笑)。ぜひ、今度は『ザ・タカシ』という映画をつくりましょう!

― 最初に脚本を読んだ印象について

太賀 とにかくこんな脚本は読んだことない、という興奮に包まれたのを覚えています。活字で読んで、そこに描かれていることを頭の中で広げていったときに、言語化できない読後感で、自分のキャパを超えたワクワク感がありました。いざインドネシアで撮影し、出来上がった本編をみても、そんなにたくさんの日本映画を観ているわけではないですが、それでも、どの作品にも似ていない映画になったんじゃないかと思います。監督とは3作品一緒にやらせていただいていて、今回は他の国との合作で、違う言語や国籍が混ざっている中でも、深田さんのオリジナリティが一切失われていないな、と思いました。それがすごく素敵だな、という印象を受けました。

― 深田監督を絶賛した太賀さん自身も、そのふり幅の広い演技で色々な作品にひっぱりだこの実力派。そんな太賀さんの印象について

深田監督 自分にとっては、カメラの前でも普段と同じようにコミュニケーションがとれる俳優さんがいいな、と思っていて、太賀くんはそのリアクションがすごく上手いです。共演者から受け取って返すという、ある意味日常では当たり前のことなのですが、それをカメラの前でもキチンとできるという印象があって、そういった演技が僕自身すごく好きです。今回の映画の中でも、コミュニケーションやちょっとした仕草がすごくインドネシアっぽい、とインドネシア人から言われていました。やっぱりそれは、共演者とのコミュニケーションがしっかりとできていたからこそ吸収し、まるでネイティブのように反応することができていたんだと思います。と、勝手に思っています(笑)。(照れくさそうに太賀さんを大絶賛)

太賀 印象的だったのは『ほとりの朔子』で監督と初めてご一緒したときに、「相手のセリフをちゃんと聞いてほしい」と言われて。相手のセリフがあってこその自分のセリフだし、当たり前のコミュニケーションを大切にしてほしいと、一番最初のリハーサルで言われ、その演出は他の作品でも心がけるようにしています。

― 劇中に登場する歌は台本にはなく、現場で発案されたものだったことについて

深田監督 昔の歌で日本語もあるものを探したら、あの歌にたどりついたんです。世界中で翻訳されていて、日本でもインドネシアでも、観た人がその人の言語で頭の中で翻訳してくれるので。あのシーンはインドネシアの人たちがたくさん歌を歌っていたのを見て、その現地の雰囲気を残したい、と思い現場で取り入れたんです。

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©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS


― オフの日について

太賀 海に行ったり、食事に行ったりしました。印象的なのは、宿泊先のホテルで会議室のような部屋にプロジェクターがついていたので、みんなで見たのがすごくいい時間でした。あとはセカール(・サリ)と阿部(純子)さんと演劇を観に行きました。日本ではなかなか無い演劇体験だったので、すごく面白かったです。

― 最後に

深田監督 いつも「100人観たら100通りの見え方ができる映画が撮りたい」と本気で思っていて、観ることで、それぞれの考え方があぶりだされてくるのが良い映画なんじゃないかな、と思っています。ぜひ、感想など呟いてください。

太賀 純粋な映画体験というのは、観ている最中だけではなくて、自分の中で反芻していくのも映画体験のひとつだと僕は思っていて、この映画はそういう意味では味わい深い映画だと思います。なので、とにかくぜひ味わってほしい。少しでも多くの人に観てほしいので、ぜひ周りの人にすすめてください。


映画『海を駆ける』絶賛公開中!


細部にまでこだわった演出の数々、様々な解釈を楽しめる『海を駆ける』を、ぜひ劇場でご体感ください!


ストーリー
インドネシア、バンダ・アチェの海岸で倒れている謎の男が発見される。片言の日本語やインドネシア語を話すが正体は不明。その謎の男にラウ(=インドネシア語で「海」)と名付けて預かることになった、災害復興の仕事をしている貴子と息子のタカシたち。その周辺で謎の男・ラウは様々な不思議な奇跡と事件を巻き起こしていく―。果たしてラウは何者なのか...


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映画『海を駆ける』関連ニュース

ファントークイベント
公開御礼舞台挨拶
初日舞台挨拶
公開直前&小説発売記念イベント
外国人特派員イベント
予習上映イベント
完成披露イベント
予告解禁
製作発表記者会見
公開決定


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『海を駆ける』

★2018年5月26日(土)公開★

世界待望!深田晃司×ディーン・フジオカ 心揺さぶる美しきファンタジー!

監督・脚本:深田晃司

出演:ディーン・フジオカ 太賀 阿部純子 アディパティ・ドルケン セカール・サリ 鶴田真由

©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS



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★現在公開中の日活ラインナップもご期待下さい★

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