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映画『モリのいる場所』学芸員レクチャー付内覧試写会に山﨑努さん、沖田修一監督がサプライズ登壇!
2017年12月19日(火曜日)

「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展覧会開催中の東京国立近代美術館にて、12/18(月)学芸員レクチャ―付映画『モリのいる場所』試写会が行われ、主演の山﨑努さんと沖田修一監督がサプライズ登壇されました。

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本作は、97歳で没するまで30年もの間ほとんど家の外へ出ることなく、ひたすら自宅の庭で動植物を観察し続け「仙人」と呼ばれた伝説の画家・熊谷守一氏(通称:モリ)のエピソードを元に、94歳のモリが過ごす夏のある1日をフィクションとして描く作品。

沖田修一監督がメガホンをとり、本作で13年ぶりの主演をつとめる山﨑努さんがモリを、樹木希林さんが妻・秀子を演じるのをはじめ、加瀬亮さん、吉村界人さん、光石研さん、青木崇高さん、吹越満さん、池谷のぶえさん、きたろうさん、三上博史さんら20代~80代の豪華キャストが集結した話題作です。

今回の学芸員レクチャー付試写会は、画家・熊谷守一の大回顧展を開催中の東京国立近代美術館と、熊谷守一をモデルにした映画『モリのいる場所』の共同企画として開催され、映画の試写の他に、東京国立近代美術館の蔵屋美香企画課長による熊谷守一の作品や生涯についての紹介、映画の中に登場するエピソードの解説、さらに回顧展の内覧会が催されました。

熊谷守一の作品や生涯について蔵屋企画課長は「絵画作品を手がかりに熊谷守一像を読み解くと、キーワードのひとつは"死"。こども3人を亡くすなど、多くの死を経験したことが、"もっと生きたい"という言葉と、いのちを祝福するような作品につながる」と解説。

さらに映画『モリのいる場所』は、今回の展覧会の目的とも多くの共通点があるという蔵屋企画課長は、次のように続けます。

「外見は白いヒゲを伸ばしたおじいさん。昆虫や植物を描く作品は明るく楽しく飄々としている。何の悩みもない人が幸せに絵を描いている、と誤解している方も多いのではないでしょうか。しかし守一は、穏やかさの裏に人に見せない激しい部分を隠し持っていたのではないかと、展覧会をやって改めて思います。

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©2017「モリのいる場所」製作委員会


映画でも"人に見せず隠している部分がある"という守一のありようがきちんと描かれています。例えば、にぎやかな宴会が終わって、夜一人でアトリエに入るシーン。実際に描くところは登場しません。ただ翌朝の場面で、映画冒頭に出てくる下絵のままの画面が写し出され、守一がこの作品を描きあぐねた夜の孤独な時間が暗示されるのみです。

実際守一も、家族にすら油絵を描くところを見せなかったそうです。展覧会でわたしが感じたことと、映画が訴えていることとは、こうして何より"守一には人に見せない謎めいた顔がある"という一点で共通しています。主演である山﨑努さんの"守一に素顔を隠す仮面をかぶせた"という演技のプランのお話を聞き、その通りだ!と思いました」

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©2017「モリのいる場所」製作委員会


舞台挨拶に登壇した山﨑さんは「今日はありがとうございました。蔵屋先生の講演を聞いていて、大変勉強になりました。プロ野球ではありませんが、応援よろしくお願いします!!!」と場内を沸かせ、沖田監督は「たくさんの人にみてもらえたらと思います。よろしくお願いします!」とご挨拶し、熊谷守一漬けのイベントは幕を閉じました。

なお、12/1より東京国立近代美術館にて開催中の大回顧展「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」では、山﨑さんと樹木さんが音声ガイドをつとめています。ラジオドラマでも聴いているかのような語りかけるガイドに、まるでモリがそこにいるかのような気分で作品を鑑賞することができます。

熊谷守一自身のエッセイ「へたも絵のうち」(平凡社ライブラリー)、「蒼蠅」(あおばえ、求龍堂)などは、没後40年の今も発売されている超ロングセラーで、"欲"を忘れた生き方が現代人の心をとらえているようです。庭の生き物を描いた絵や書の作品のカレンダーも、毎年人気とのこと。

画家・熊谷守一(1880-1977年)
明治に生まれ、大正・昭和の画壇で活躍した洋画家。美術学校を首席で卒業し、若い頃から絵の才能を認められながらも、いい絵を描いて褒められようとも有名になろうとも思わず、たまに描いた絵も売れず、長いこと借家を転々として友人の援助で生きながらえる。ぽつぽつ絵が売れてようやく家族を養えるようになったのは50歳を過ぎた頃。この頃の有名なエピソードとして、作品を二科展で見た昭和天皇が「これは子どもの絵か」と尋ねたという。やがて、その風貌や言動から「画壇の仙人」としてひろく脚光をあびる。文化勲章と勲三等叙勲を辞退。その理由を「これ以上、人が訪ねて来るのと困るから」と言っていたが、本当は褒状をもらうのが嫌だったため。

展覧会「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」
2017年に没後40年を迎えた熊谷守一の作品200点以上を集めた大回顧展。
東京国立近代美術館にて2017/12/1(金)~2018/3/21(水・祝)開催。
http://kumagai2017.exhn.jp/

美の巨人たち/熊谷守一「宵月」放送予定
BSジャパン:2018/1/10(水)23:00-23:30


映画『モリのいる場所』2018年5月シネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国公開!


東京国立近代美術館の学芸員お墨付きの演技プランで、伝説の画家・熊谷守一氏(通称:モリ)を体現した山﨑努さんと、沖田監督の紡ぐユーモラスで温かなオリジナルストーリーに、ご期待ください!


ストーリー
94歳のモリは、庭のちいさな生命たちを飽くことなく眺め、絵を描いてきた。さまざまな訪問客たちで茶の間は賑わい、76歳になる妻の秀子が相手をする。卓袱台、縁側、黒電話。人と人との距離が今よりも近く感じられる昭和の暮らしと、50年以上をともに過ごしてきた老夫婦の絆、心豊かに充足した人生が、ある夏の1日のなかで味わい深くユーモラスに描かれていく。

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©2017「モリのいる場所」製作委員会


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公開決定


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『モリのいる場所』

★2018年5月公開★

名優・山﨑努が「僕のアイドル」と敬愛する画家・熊谷守一氏(通称:モリ)を演じる!

監督脚本:沖田修一

出演:山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 三上博史

©2017「モリのいる場所」製作委員会



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