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『彼女がその名を知らない鳥たち』大ヒット御礼トークショーで、蒼井優さんと白石和彌監督がネタバレ解禁の大胆トーク!
2017年11月13日(月曜日)

ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに"究極の愛とは何か"と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかる氏の20万部を超える人気ミステリー小説を、蒼井優さんと阿部サダヲさんのW主演で映画化した『彼女がその名を知らない鳥たち』の大ヒット御礼トークショーが11/10(金)新宿バルト9で行われました。

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本作では、クレーマーで自分勝手で嫌な女・十和子を蒼井優さんが、そんな十和子に異様な執着を見せる不潔でちんけで下劣な男・陣治を阿部サダヲさんが演じ、さらに妻子がありながら十和子と肉体関係を結ぶゲスな男・水島を松坂桃李さん、十和子の昔の恋人で別れる時に彼女の心にも身体にも傷が残る手酷い仕打ちをしたクズな男・黒崎を竹野内豊さんが演じています。

豪華俳優陣が演じるのは、共感度0なクズなキャラクターたちばかり。しかし"全員最低"なのに、本作には"まぎれもない愛の物語"が描かれています。

10/28(土)全国71館で封切られた本作は満足度が非常に高く、SNS上では「こんなに切ない愛し方があるのかと、腰抜けてしばらく立てなかった」、「衝撃的でもあるけど、純愛だなぁ」、「登場人物全員ゲスなのに涙が止まらない傑作」、「エンドロールが終わるまで涙止まらず立てなかった。こんな作品は久しぶり」、「ラストのシーンにたどり着いた時、込み上げるものがあり涙が出てしまった」など"共感度0%、不快度100%"の愛に、感動・絶賛の声が続出しています!

公開から2週間、絶賛の声が鳴りやまず原作小説も増刷に次ぐ増刷がかかっている本作の大ヒット御礼トークショーに登場したのは、蒼井優さんと白石和彌監督のお2人。上映直後ということで"共感度0%・不快度100%"の愛の余韻が残る会場で、蒼井さんは「観ていただいたということで、ネタバレを気にせずお話しできるのがとても嬉しいです」と、ご挨拶。白石監督は「公開から2週間経ちましたが、僕にとっても大切な映画が、こうして上映が続いていて本当に嬉しいです」と続けました。

公開後、そして本編上映後のトークイベントということで、白石監督が「上映前の舞台挨拶が多かったので、いろんなことが喋れないジレンマの中、とにかく"松坂桃李がエロイ"など言ってその場を乗り切ってきました(笑)」と明かすと、蒼井さんも「(観る前に)宣伝で言えることって、松坂君が演じた水島が最低ということしかなくて本当に申し訳なかったんです(笑)」と、この日のネタバレ解禁トークを心待ちにしていたことを窺わせ、これまでの宣伝で蒼井さんが「観ている人たちが最後に羽ばたけるための滑走路をひたすら作っていかなくてはいけない、できるだけスムーズに飛べるようにと思って撮影していた」と語っていたことが明かされると、お客様からは大きな拍手が巻き起こり、蒼井さんも感無量の様子でした。

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蒼井さん演じる十和子の部屋の散らかり具合について白石監督は「僕のオーダーでもありますし、原作でも散らかってますよね。でも、誰でも忙しい時に洗濯物をボーンと放ったりする感じを出したいなと。デビュー作からずっとお願いしている美術の巨匠・今村先生が尋常じゃない飾りをしてくれて真骨頂が出ました」と述懐。

蒼井さんは「本棚を見るとその人がわかったりするので、十和子の本棚を見たらものすごくフェミニンでファンシー系なタイトルのかわいい小説を読んでいることが分かって。それを見てるだけでも疲れてくる...(笑)。十和子が陣治に向けてる態度と、十和子が好きな世界観のギャップがあって、やっぱり今村さん凄いなと思いました。家が散らかっていると心も散らかってきて、家にいるだけでなんとなく悪態がつきたくなって(笑)」と、細部にまでこだわって作られた部屋と自らが演じた十和子のキャラクターとの相違について述べます。

「本来なら家にずっといる十和子のせいで散らかってるのに、それをすべて陣治にぶつけてるという」(白石監督)、「最低ですね...(笑)」(青井さん)と、最低な女・十和子の役作りに大いに貢献した部屋を作り上げた美術スタッフへの敬意と共に、十和子の部屋について振り返りました。

劇中に登場するクズ人間たちが周りにいたら友達になれる?の問いに、白石監督は「話を聞いてあげるスタンスでは、いるつもり。それが友達かは置いておいて"やめろ"とアドバイスはするけど、どこかで諦めて"あーあ"と思って終わっちゃうのかな」と回答。蒼井さんは「結局、言っても聞かないですもんね。ほどよい距離で、知り合いぐらいになっていってしまうんじゃないですかね。陣治とは友達になれる気がする。でも、陣治が私に心を開いてくれない気がしますね。十和子しか見てないんで」と、それぞれ距離を保ってしまうと分析。

公開後の反響を問われた白石監督は「これまで『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』など男くさいクズたちを撮ってきたので、今回は美しい映画だと思ってくれて"お前もこういう映画撮れるんだね"と言ってくれます。人間誰しも、良い人もクズな部分って持ってると感じる。どんな作品を撮るときも、両面をなるべく出そうと考えてます」と語り、クズを撮らせたら右に出る者はいない白石監督作品について蒼井さんは「『凶悪』や他の作品も拝見していて、(この作品は)また毛色の違うクズが集まったなと思いました」と、印象を振り返りました。

そしていよいよ本作の根幹となる"究極の愛を描く衝撃的なラストと、その後の十和子"について話が及ぶと、蒼井さんは「私もわからなくて、現場でもみんなで話していたのですが、分かれるんですよ。さっぱり忘れて悠々自適に生きる図太さがあるんじゃないかと思う人と、私もそうなのですが、ものすごく苦しむことになるだろうなと思う人と、ラストの映ってないところで陣治は実はズルイことを・・・とか(笑)。ご覧いただいた皆さんも、誰かとこの後の物語を話してみてほしいです」と回答。

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白石監督は「本当に取り返しのつかない話で、十和子は愚かな女だと思うのですが、無くして初めて気づく。人間って、実はみんなそうだと思うんですけどね、間に合わないからこそ気づく。でも気づいた人間は、何かを得て生きていけるはずなので、僕は十和子は歳をとって亡くなるときには、陣治の力もあって"いい人生だった"と言ってほしいと願いながら撮ってました」と、ラストの究極の愛をひっくり返してしまうようなギリギリトークを展開。

さらにここで、お客様からも質問を募ることに。男性のお客様から改めて"ラストの陣治の決断"について問われた白石監督は「僕も最初に原作を読んだときに、全く理解できなかったんです。このラストに共感してもらえる自信がなかったので、別のラストがあるか考えながら何度か原作を読み直しているうちに、虚言の延長だとしても陣治が見せた覚悟が何かを残せたんだと思えたので、やっぱり原作通りのこのラストしかないんだと。(原作者の沼田)まほかるさんのお力の中で、自信を持てました」と回答。

蒼井さんが「(女性の目から見ると)やられたら困りますけど(笑)、陣治って十和子を守ることに生きてる存在価値を見出した人で、とても視野の狭い人。やるべきことをやり終えて清々しい気持ちだったんじゃないかなって。映ってないところで実はあの後・・・なんてこともあるかもしれないけど(笑)」と答えると、白石監督は「神戸で撮ったラストのあの場所も、実際にはちょっと違う感じですし、たしかに阿部さん、最後の場面でちょっとニヤついてますもんね(笑)」と、まさかの展開をも匂わす回答をしました。

続いて女性のお客様から"官能的な役に挑んだことや監督の演出"について質問された蒼井さんは「30代近くなってから、そういったシーンをやらせていただくことも増えてきたのですが、10代や20代前半のころの役って面白かったなと思うことがありつつ、今は30歳を超えてからいただく役のほうが面白い。同じ多面的でも、10代の時はまっすぐだった断面が、今はその面がボッコボコな感じが人間臭くて。どんなシーンがあるかというより、できる限りのことを現場で出来たらなと思います。監督の演出は、とにかく大胆。"松坂桃李と蒼井優、寝転がってるところに上から砂が降ってくる"なんて万人受けする演出ではないはずなのに、そういう賭けに打って出ることの出来る大胆な監督だと思います。そして、お客さんをすごく信じてらっしゃると思います。だから私たちも、強い気持ちをもって現場に臨むことができました」と、役柄への想いや白石監督の演出への感謝と尊敬の念を熱く語りました。

最後に、白石監督が「今日は本当にありがとうございました。この後も引き続き上映してくれる劇場さんも増えていますので、周りの方に是非ネタバレのないように勧めていただければと(笑)」と、オススメの際にはネタバレを控えておくようお願いし会場を沸かせると、蒼井さんは「監督の脳内に入ったような気になれる、こういう映画を"映画"だなって私は思います。私も普段は客席で観ている側なので、皆さんと一緒にこれからも映画を楽しんで、こういう映画をまた作れるように、みんなで日本映画を守っていけたらと。たくさん映画がある中で、今日この1本を選んでくださってありがとうございました!」と締め、これまで語れなかった部分までたっぷりと語りつくした大充実のトークイベントは幕を閉じました。

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映画『彼女がその名を知らない鳥たち』全国公開中!


衝撃のラストについて、観た人と感想を語り合いたくなる映画『かの鳥』を、ぜひ引き続き劇場でお楽しみください!


ストーリー
八年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、今は15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――

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©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会


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映画化決定


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『彼女がその名を知らない鳥たち』

★2017/10/28(土)公開★

全員、最低。でもこれは、まぎれもない愛の物語。

監督:白石和彌

出演:蒼井優 阿部サダヲ
松坂桃李/村川絵梨 赤堀雅秋 赤澤ムック・中嶋しゅう/竹野内豊

©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会 



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