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『散歩する侵略者』の世界観に酔いしれる!音楽・林祐介氏による生演奏に黒沢監督も大感激!
2017年09月06日(水曜日)

映画『散歩する侵略者』の9/9(土)全国公開とオリジナル・サウンドトラックの発売を記念して、黒沢清監督と音楽を担当した林祐介さんによるトークショーが、9/5(火)渋谷モディ6F HMV&BOOKS TOKYOにて行われました。

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本作は、国内外で常に注目を集める黒沢清監督が、劇作家・前川知大氏率いる劇団イキウメの人気舞台「散歩する侵略者」を映画化。数日間の行方不明の後、夫が"侵略者"に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイディアをもとに、日常が異変に巻き込まれていく世界を描きます。

夫の異変に戸惑いながらも夫婦の再生のために奔走する主人公・加瀬鳴海を長澤まさみさん、侵略者に乗っ取られた夫・加瀬真治を松田龍平さん、一家惨殺事件の取材中に侵略者と出会うジャーナリスト・桜井を長谷川博己さん、そして桜井が密着取材を申し入れる若き侵略者たち-天野を高杉真宙さん、立花あきらを恒松祐里さんが演じます。5人は黒沢組初参加、それぞれが映画初共演という新鮮な顔合わせです。

さらに脇を固めるキャスト陣も豪華な顔ぶれで、日本映画界が誇るオールスターキャストを迎え、いよいよ今週末9/9(土)誰も見たことがない新たなエンターテインメントが公開されます!公開直前となる今回のイベントは、国内外から注目を集める黒沢清監督と林祐介さんという貴重な組み合わせのおふたりによるトークイベントということで、映画の公開を待ち望むお客様で会場は満席となりました。

はじめに黒沢監督が「音楽についてお話するイベントはあまりないので、どんな話が出るのか楽しみです。スリリングな時間になるのではないかと思います」と、ご挨拶。続く林さんは「今日は黒沢監督と対談させていただけるということで、とても楽しみにしていました。短い時間ですがよろしくお願いします」と期待に満ちたコメントで、イベントはスタートしました。

約10年前に原作と出会ったことをきっかけに、侵略SFを日本で映画化したいと決意した黒沢監督。そんな黒沢監督と林さんは、2003年の『ドッペルゲンガー』以降、本作を入れて4作目のタッグ。旧知の仲とも言える黒沢監督と林さんですが、初めて仕事を依頼された時の感想について、林さんは「初めて取り組んだ映画音楽が黒沢監督の作品で、とても緊張しましたが、やりがいを感じましたね。頑張るしかなかったです」と本音を明かしました。

本作を監督する上で、新たにチャレンジしたことについて問われると、黒沢監督は「物語の軸でもある鳴海(長澤まさみ)と真治(松田龍平)の夫婦の関係がどのように変化していくのか、というありふれた日常と、いったい世界がどうなってしまうのか、ということを同時に描くことがチャレンジでした」と語りました。

映画音楽とは物語の最後に解釈するもの、と断言する黒沢監督。音楽を依頼する時は、キャラクターの感情に添うものではなく、物語に添った音楽をオーダーするそう。今回はクラシカルな中にもSFらしさがある音楽を、と林さんに依頼しました。

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*サウンド・トラックジャケット*


林さんはこの要望に応えるべく、普段の楽曲制作ではあまり使うことのない珍しい楽器を採用したことを明かしました。"オンド・マルトノ"と呼ばれる繊細な音階のコントロールができる電子楽器や、ホラー映画らしい音色が出る"ウォーターフォン"、黒沢監督作品では欠かせない低音が特徴的な民族楽器など、見たことのない楽器の数々に黒沢監督も「初めて知りました。びっくりです」と興味津々。

また、実際に劇中で使用されている劇伴を聴きながら、そのシーンの狙いや作曲面で苦労したエピソードもお伺いしました。真治が散歩するシーンに何度も使用されている、一度聴いたら耳から離れないコミカルなテンポな「散歩する侵略者」という楽曲に関して、黒沢監督は「耳に残るようなフレーズの曲を何曲か入れて欲しいと林さんにお願いしました。この曲はその一曲で、このシーンは怖くないんです、可笑しいんです!とはっきりわかる曲ですよね」と解説。

林さんは「宇宙人が散歩するというブラックユーモアを、オーボエやミュートしたトランペットで表現しました。実は、劇中で真治が散歩するシーンの真治の歩調に合わせて曲調を考えたんです」と意外なエピソードを明かしました。

また、本作のメインテーマ曲でもある「愛のテーマ」について、黒沢監督は「僕としてはめずらしく、わかりやすくて観た後に心に残るようなメロディの曲を作ってほしいとお願いしました。『シザーハンズ』や『夕陽のギャングたち』などのサントラや、エンニオ・モリコーネの曲をイメージで聴いてもらったり、女性のスキャットを入れてほしいなど、色々と難しい注文をしました。でも、林さんから出来あがった曲を聴かせていただいた時に、これだ!と思いました」と述懐。

林さんによるキーボード演奏を交えながら楽曲に彩られた印象的なシーンの数々を振り返る中、ここで林さんに本作の楽曲を本日だけ特別にメドレー形式で演奏いただきました。ここでしか聞けない貴重な機会に会場のお客様も聞き入り、演奏後は拍手が沸き起こりました。黒沢監督は「林さんってピアノが上手いんですね(笑)」とジョークを交えながらも、貴重な生演奏に大感激の様子でした。

最後に、おふたりからメッセージをいただきました。

林さん「是非『散歩する侵略者』をご鑑賞いただき、サントラで余韻に浸っていただければと思います。そして何かを感じ取っていただければ嬉しいです」

黒沢監督「この映画は今日聴いた音楽のように、あらゆる要素がつまっています。観ていて戸惑うこともあるかもしれませんが、最後には非常にわかりやすいメッセージが込められているはずです。それが何なのか、是非劇場で確かめてください」

本作を語る上で欠かせない劇中音楽の制作秘話が明かされるとともに、『散歩する侵略者』の世界観にたっぷりと浸ることのできたイベントとなりました。


映画『散歩する侵略者』2017/9/9(土)全国ロードショー!


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音楽:林 祐介
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ストーリー
数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか...?その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。

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©2017『散歩する侵略者』製作委員会


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『散歩する侵略者』

★2017/9/9(土)公開★

世界は終わるのかもしれない。それでも、一緒に生きたい。

監督:黒沢清

出演:長澤まさみ 松田龍平 高杉真宙 恒松祐里
前田敦子 満島真之介 児嶋一哉 光石研 東出昌大
小泉今日子 笹野高史 長谷川博己 ほか

©2017『散歩する侵略者』製作委員会



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