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『きみはいい子』大ヒット記念トークショーに登壇したのは、呉監督の前作で憎み合ったふたり!
2015年07月11日(土曜日)

公開3週目を迎えた『きみはいい子』の大ヒット記念トークショーが、7/11(土)テアトル新宿で行われました。

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本作は、現代の子どもとおとなをめぐる社会問題を描きつつ、人が人を愛するということを丁寧に紡ぎ、第28回坪田譲治文学賞、2013年本屋大賞第4位に輝いた中脇初枝氏のベストセラー「きみはいい子」を、昨年『そこのみにて光輝く』で日本映画界を席巻した呉美保監督が映画化。人と人とのつながりから生まれるささやかな「しあわせ」を描く、再生と希望の物語です。

6/27(土)の公開以来、TwitterやFacebookなどを中心に、大変多くのお客様から絶賛コメントを寄せていただいている本作。この日トークショーに登壇されたのは、呉美保監督の前作『そこのみにて光輝く』で、愛憎劇を繰り広げた池脇千鶴さんと高橋和也さん、そして呉美保監督の3人。

池脇さんは本作で、自分の娘に手をあげ、自身も親に暴力を振るわれていた過去をもつ尾野真千子さん演じる母親のママ友を演じ、高橋さんは高良健吾さん演じる新米小学校教師と同じ学校の、特別学級の先生役を演じています。

トークショーでは、呉監督作品に2作連続出演されたおふたりの前作とは全く異なる役柄や撮影中の苦労話など、和やかな雰囲気の中で様々なエピソードをお聞かせいただきました。

- まずは一言ずつご挨拶をお願いします。

呉監督 公開3週目に入りましたが、こんなにたくさんの方に観ていただき嬉しく思ってます。今日はよろしくお願いします。ありがとうございます。

池脇 こんなにたくさんのお客様にお集まりいただきまして、ありがとうございます。少しの時間ですが、よろしくお願いします。

高橋 数ある映画の中から『きみはいい子』を選んでいただきまして、本当にありがとうございます。楽しんでいただけましたでしょうか?(お客様から大きな拍手)短い時間ですが、一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

― 池脇さん、高橋さんは、呉監督の前作『そこのみにて光輝く』に引き続いてのご出演ですので、そのあたりのお話もお聞かせいただければと思います。

呉監督 先ほど色々な思い出話をしていたのですが、おふたりとは、どちらの作品のどの時だったか分からなくなるくらい密にご一緒させていただきまして、ありがとうございます。

池脇 いえ、こちらこそありがとうございます。

高橋 光栄です。

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呉監督 ちなみに前作をご覧いただいた方は、どれくらいいらっしゃいますか?(非常に多くのお客様が挙手)ありがとうございます。

MC ご覧になった方は、池脇さんも高橋さんも前作とは打って変わった役柄で驚かれたと思いますが、演じられたおふたりはいかがでしたか?

池脇 うーん・・不思議な感じですね(笑)。実は、現場では会ってないんですよ。

高橋 学校と自宅はまったく別のスケジュールで撮影したものですから、一緒の撮影はなかったんですよね。撮影前の衣裳合わせで、家族で写真を撮りましたが。

池脇 そうです、そうです!

呉監督 世田谷の成城の川沿いで、家に飾るための家族写真を撮りました。

高橋 僕は監督に「映画を観た人は、僕とちづちゃん(池脇さん)が夫婦だって分かるんですか?」って聞いたんです。

呉監督 分かってくださった方?(場内を見回して)分かってくださった方もいらっしゃれば、「あ、そうなんだ?」という方もいらっしゃるという感じですかね。夫婦で一緒のシーンを作ることも出来たかもしれませんが、私にとって今回初めての群像劇で、いろんな人がいて、いろんな関係性を描くにあたって、わざわざそこを表現しなくとも分かってくださる方がいればいいなという、ちょっとした遊びと言いますか。あとは因縁の関係のふたり(お客様爆笑)・・・私は、前作のふたりの終わり方がすごく心残りだったんです。なのでせめて・・と思って今回は夫婦にしました。

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池脇 撮影に入る前に監督とお話させてもらった時「高橋さんの太陽のような笑顔を、悪じゃなく善に使わなくちゃいけない」みたいなことを仰ってましたよね?

呉監督 そうなんですよ!私、高橋さんのえくぼが好きで・・・。

高橋 ありがとうございます(笑)。

呉監督 でも『そこのみにて光輝く』の時は、そのくぼみに吸い込まれるような、ものすごく気持ち悪い感じのえくぼに思ってしまったので、今回はチャーミングなえくぼをみせたいなと思いました。

高橋 前作はどうしようもない男でしたからねぇ。今度は打って変って、天使みたいな先生。でも悪魔をやる方が、どちらかというと気は楽なんですよ。天使は気分的にはプレッシャーがかかります。そんなにイイ人?って。イイ人を演じるのはこっ恥ずかしくて、なかなか照れるものですよね。

呉監督 映画を観てくださったある方が、高橋さんのあの穏便な先生のどこかに裏があるんじゃないか?いつか悪い部分をみせるんじゃないかと思って、すごくヒヤヒヤしながら観たと仰ってました。

高橋 あの先生がいきなり裏切ったら怖いでしょ(笑)?

池脇 あり得るかもって思われたんでしょうね(笑)。

高橋 ちづちゃんも僕も、この夫婦は、この映画の中でみんなを救う役どころだったんですよね。(前作で)あれだけ憎みあったふたりが、今度は人助けをするというねぇ。

呉監督 本当に心残りだったんですよ!それにしても池脇さんの変貌ぶりというか、いかにダサくするかという衣裳合わせが楽しかったですよね!映画に出てこないものも含めて、いろいろ着ましたよね。

池脇 着ました!すっごいたくさん着ましたね。

MC 池脇さんは、映画の撮影に入る前にプロデューサーから役作りに関する提案をされたんですよね?

池脇 はい。「太ってくれ」と言われて・・言うのは簡単でしょうよ(笑)!私は別の作品も撮影していたので、「今太ると、そちらの繋がりがおかしくなる」と言ったのですが、「そんなの関係ない」とか言うんですよねぇ。言いそうだなって思いましたけど(笑)。

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高橋 ワガママなプロデューサーですねぇ(笑)。

池脇 そうなんですよー!なので、その前に撮影していた現場の衣裳のおなかのあたりがだんだんキツくなってきて、ごまかしながら撮影してました。

呉監督 撮影中も、ご飯の時に「池脇さん、今焼肉食べてます」という情報が入ってきたり。でも、最終的には「これ以上太れません」というところで終わったんですよね?

池脇 これ以上無理ですというくらい、たくさん食べました。

高橋 僕ら映る立場としては、本音を言えばやはり少しでも良く映りたいわけですよ。それを今回は思いっきりダサくして、それを映されるというのが何とも言えない雰囲気でねぇ。

池脇 私、自分の衣裳合わせの時に高橋さんの衣裳も見てたんですよ。みんな言いたい放題で、ダサい青系のTシャツばかり並べてたんですけど・・すごい着こなしていらっしゃいましたよ(お客様爆笑)。

高橋 ああいうのは得意なんですけれども、でもせっかくカメラの前に立つんだったら・・というのがあるじゃないですか?今回は諦めました(笑)。

呉監督 高橋さんとは、特別支援学級の見学にも行ったんですよね?

高橋 自閉症の子たちのクラスを見学したのですが、先生の1日の仕事量がものっすごくて、僕はスーパーマンってこういう人のことを言うんだなと。自分にできるか?と思って、ちょっとショックでしたね。

呉監督 でも撮影前に実際にあの子たちとコミュニケーションをとっていただいて、お相撲をやっていらっしゃいましたよね?

高橋 相撲というか、プロレスというか。今回本当の自閉症の子たちと一緒に撮影したのですが、とにかくすごいわけですよ。見学して、明日からこの子たちとの撮影どうしよう・・と途方に暮れたのですが、僕がたまたましていたウェスタンのベルトのバックルに、ものすごい反応をしめした子がいたんです。仮面ライダーのベルトみたいに見えたのだと思うのですが、「この子だ!」と思って、ウワーッて抱きしめてふたりで遊びだしたんですよ。そしたらちょっとやそっとじゃ許してくれない。1人遊びだしたら3人、4人と来て、1時間、2時間、3時間くらい汗流して、もう必死になって遊びました。それでようやく子供たちが認めてくれたというかね、コイツを仲間として認めようみたいな感じになってもらえました。可愛いんですよ。すっごい可愛いの!

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呉監督 最後のお歌を歌うシーンやラストのカットなどは2、3分のシーンですが、相当カメラ回しました。3時間くらいずっと撮りっぱなしだったんです。

高橋 台本通りにはいかないわけですから、ほんとんどアドリブなのですが、監督が「高橋さん、お任せします」みたいな。お任せしますって言われても、どうしたらいいんだろう??と思っていたら、インカムで助監督さんから・・

呉監督 スタッフも教室に入らなかったんです。

高橋 そう、誰も入ってないの。それでインカムで「高橋さん、もっと動いて!」って言われて。動いてと言われても、子どもたちはメチャメチャになってるし・・・あんなに大変な撮影はなかったですねぇ。

呉監督 子役の子でやれるところではないので、タイミングを待ったんです。例えば、高橋さんの上に乗っかってくるとか、高橋さんに実際に絡んでくる子をひたすら待ちました。子供が大変といえば、池脇さんもふたりの子持ちの役でね?

MC ここに照明の藤井さんが寄稿されている「映像照明」という雑誌があるのですが、ここで藤井さんが書かれていることを少し紹介させていただきます。
---藤井さん寄稿文-----------------
(子役の)ひかる君は、監督がオーディションで彼の天真爛漫な笑顔に惹かれ選んだのです。問題はその天真爛漫。カメラを見ては、何撮ってるの?テイクを重ねていくと、またこの人がいる!食事のシーンでは、もうおなかいっぱい!助監督もさすがに本番中はコントロールできません。しかし救世主はいたのです。目の前に。その方の名前は池脇千鶴さん。ひかる君の母親役を演じています。セリフを言いながら、時々飛んでくるひかる君のキラーパスをうまくいかし、何とかOKが出るようにコントロールしてくれました。みんなが思いました。池脇千鶴は日本の宝である。
---------------------------------

今日はひかる君もこの会場にいるんですよね?

呉監督・池脇 ひかるく~ん!こっち来る?

*客席から檀上へ飛び入り参加*

呉監督 ひかる君の言ってるセリフは、全部ひかる君独自のものでセリフじゃないんです。

実琴くん 佐々木実琴です。

池脇 撮影楽しかった?

実琴くん うん。

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池脇 おなかいっぱいになっちゃった?

実琴くん うん。

呉監督 おなかいっぱいとか、こぼしたの食べちゃうとか、そこらへん走るとか、全部台本じゃないですもんね?

池脇 全部この子の自由よ(笑)。

呉監督 それを全部池脇さんが対応してくれました。

池脇 私はもちろん夢中でやるわけですが、カットかかって周りをみたら、全員がこうやって(声がでないように腕で口を押えて)笑ってた!失礼な話ですよ。

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実琴くん キャハハハハッ!

呉監督 ひかる君があやねちゃんを良いタイミングで連れていくことが出来なくて、何回も何回もやったんです。そこは池脇さんと尾野さんの繊細なシーンだったので、「ちょっと頑張ろうね」と言った時、「なんでボク、このやくなの?こんなやく、やりたくなかった!」って言うんですよ。みんなシーンとなって、「それ、いま言う?」って(苦笑)。

池脇 みんなクタクタな極限で、それを言うのかとね(苦笑)。でも、最後キメてくれたんだよね?

MC 先ほどお伝えした原稿の締めのところで書かれているのが「完成した映画を観ると、このひかる君はまさに天使の笑顔で映画を良くしてくれています。苦労とは、映らないから良いのです」ということです。

池脇 うわぁ、すごいねぇ。

実琴くん ・・たのしいです。(お客様爆笑)

呉監督 キンチョーしてる?

実琴くん うん。

呉監督 さっき裏では・・

池脇 相変わらず元気で、いっぱい喋ってくれたじゃない?ん?

呉監督 キンチョ―してます。こういう子なんです(笑)。

この日会場には、ひかる君の妹役・はなちゃんを演じた川村あやのちゃんも来てくれたということで、最後は呉美保監督と大宮家全員でのフォトセッションとなりました。本当の親子みたいで、あったかな笑顔が素敵な大宮ファミリーでした。

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映画『きみはいい子』 大ヒット上映中!

抱きしめられたい。子どもだって。おとなだって。
かつて子どもだったすべての人に ――。

身近な人を、誰かを、世界を「しあわせ」にするヒントを、ぜひ劇場でみつけてください。

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きみはいい子

★2015/6/27(土)テアトル新宿ほか全国公開★

『きみはいい子』

かつて子どもだったすべての人に ――。

監督:呉美保

脚本:高田亮

出演:高良健吾 尾野真千子 池脇千鶴 高橋和也 喜多道枝 黒川芽以 内田慈 松嶋亮太 加部亜門 富田靖子

©2015「きみはいい子」製作委員会



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