人のために造られながら、やがて使われなくなり、放置された道 ― 「廃道（はいどう）」。そうした道を追い求め、日々探検の旅に出る人のことを、オブローダーと言い、廃道探索のことをオブローディングと呼びます。

失われた道の記憶を探す冒険DVDとして、2013年～14年にかけて制作・発売された、廃道ファンのみならず多くの方にご好評いただいている『廃道クエスト』 『廃道ビヨンド』『廃道レガシイ』の大人気三部作 「廃墟賛歌 廃道」シリーズ。

『The Obroaders ～オブローダー 廃道冒険家～』 は、シリーズすべてに出演されているふたりのオブローダー、平沼義之さんと石井あつこさんに焦点をあてた、廃道シリーズの集大成ともいえるオブローディング・フィルムです。

MC　本作の公開を記念して、出演者と監督にお越しいただいております。本作の主人公であるプロオブローダーの平沼義之さん、廃道カルチャーのアイドルこと石井あつこさん、そして本作を完成させたオープロジェクトの大西悟監督です。盛大な拍手でお迎えください！

バンダナと鈴つきのリュックという、いつもの廃道探索スタイルの平沼さん。青を基調とした艶やかな花柄のお着物をお召しの石井さん。そして大西悟監督が舞台にあがると、さっそく皆さんに花束などが贈られました。

― まずは一言ずつご挨拶をお願いします。

平沼　ハイ、どーも！（←廃道ファンの方ならお馴染みの「廃道」にかけたご挨拶）平沼義之ことヨッキれんです！廃道を歩いていて、このような場所に立てる日が来るとは全く思っておりませんでしたね。廃道の先が、まさか新宿に繋がっているとは！実は昨日、9年間連れ添った相棒との別れを経験してきました。これは、旧 "ワルクード" ちゃん"（平沼さんの愛車、スズキのエスクードの愛称）のシフトノブです。私が9年間握り続けた、廃道に行く時にいつも可愛がっていたシフトノブだけが、ここに残りました。そんな悲しい別れの翌日に、このように皆さんに盛り上げていただく機会を与えていただいて、本当に感謝しております。皆さん、ありがとうございます。

石井　ハイ、どーも！トリこと石井あつこです。喋ろうと思っていたことを、すべて"ワルクード"に持っていかれて忘れてしまいました（笑）。廃道を歩いて、早9年。廃道が好きで好きで 「道路遺構はないか？道路遺構はないか？」 という気持ちだけでやっていたのですが、藪を抜けた先が舞台の上だとは、本当に思いもしませんでした。こんなふうに女優ライトのような明るいライトをあてていただき、写真を撮られる日がまさか来るなんて！今日という日を噛み締めて、皆さんと一緒に本作を楽しみたいと思ってます。本日は3連休の初日、そしてこんな夜遅くに多くの皆さんに集まっていただき、本当にありがとうございます。

大西　はじめまして、オープロジェクトの大西と申します。僕は、廃道をはじめて約2年。色々と連れて行かれ、いじめられ（笑）、気がついたら舞台に立っています。縁って、非常に面白いなと思います。今日は3連休の初日だというのに、わざわざ映画館までお越しいただき、ありがとうございます。

― 大人気DVDシリーズが、遂に映画になってしまいましたね！映画として完成した感想をお聞かせください。

平沼　映画になってしまったんですねぇ。スゴイことですよ！それ以外コメントがみつからないですね。だいたい私、日常から映画は、あのぉ･･･

石井　観ないでしょ？

平沼　そうなんですよっ！最後に観た映画が 『タイタニック』 ですから。（お客様・監督爆笑）

石井　『タイタニック』 観たんだ？！

平沼　観たんですよ！たしか彼女と一緒に。遠くの人になってしまいましたが・・

石井　ラブロマンスを観るとは、予想外でした。

平沼　感動して涙しましたね、私。すごい良い映画で・・

石井　ま、いいや。はいっ！（お客様・監督大爆笑）

平沼　映画になるとは、本当にありがたいことだなと思います。私たちも、今日これを観るの楽しみに来ています。こんな大きな画面で廃道をみる機会は、たぶん私にはもう来ないと思うので。

石井　『タイタニック』 にちょっと引いちゃったのですが・・・それはともかく廃道が映画化されたというのは、日活様様だなと（笑）。

平沼　そうですね。ホントそう！

大西監督　めぐり合わせというか、運というか。

石井　タイミングなど、色々揃ったから映画化になったのだと思います。あとは日活の担当の方が営業がうまくてテアトルでの上映をゲットできたのかと！

大西監督　僕も映像の仕事をしているので映画好きなのですが、この邦画の聖地と言われるテアトル新宿さんで流れるとは、凄いことですよコレ！

石井　凄いことですよねぇ！

大西監督　いきなり萬世大路に連れていかれるようなものですからね！

平沼　それは分かりやすい！そんなレベルですか？！マジですか～？？！

大西監督　そのレベルですよ！ホントそう。

石井　私たちは動画になるだけで驚きなのに、まさか映画になるなんて思って歩いてませんからね。

平沼　そうですねぇ。

石井　色々お見苦しい点はあると思うのですが（笑）。

平沼　失礼いたしました！

石井　そこは最初に謝っておきます。許してください。

― 大西監督にお聞きしたいのですが、そもそも廃道のDVDを作ろうと思ったキッカケを教えていただけますか？

大西監督　今から数年前に、お台場にある東京カルチャーカルチャーというイベント会場で 「廃墟・廃線・廃道」 のイベントをやったんですね。その時僕は 『軍艦島』 のDVDを作っていたので、平沼さんから 「廃道のDVDどうすか？」 とオファーがありまして。

石井　売り込んだんですね？！

平沼　覚えてないんですよ（笑）。

大西監督　と、うちのオープロジェクトの黒沢が言ってました。そういうキッカケで 「廃道かぁ。面白そうだねぇ」 とは思ったのですが、ちょっと間があきました。その頃、僕らは日活さんに新しいコンテンツをプレゼンテーションしに結構いっぱい企画を持っていったのですが、全部NGでした。「オープロさん、他には何かない？」 と言われた時に、「・・・廃道って、どうですか？」 と言ったところ 「はい、決定！」と（笑）。その前にいっぱい企画書を持っていってたのに、「廃道」 は言葉だけでOK。それがここまで来たという流れになります。

石井　運とタイミングですね！

大西監督　まさにその通りです。

― 平沼さんと石井さんは今回映画の出演者としてスクリーンに登場するわけですが、ご自分の姿が大きなスクリーンに映ることに関していかがですか？

平沼　観てのお楽しみですよね。私ここに初めて来ましたので、どれくらい大きいものか分からないんですよ。私の顔がどれくらい大きく映し出されるのか、おっかなさもありますよね（笑）。トリさんの女の子座りのシーンも、かなり詳細にみることが出来ると思いますよ。

石井　こんな日が来るなら整形しておけば良かった･･。（お客さま爆笑）

平沼　それで思い出しましたが、トリさんは晴れ舞台の時いつもお着物ですが、今日はいつになく極彩色だよねぇ。

石井　極彩色（笑）。

平沼　いつもにない気合の入りっぷりじゃないですか？

大西監督　美しいですねぇ。本当に。

石井　あ♪ありがとうございます！"極彩色" より "美しい" と言われる方が、乙女心としては嬉しいですが。今日は、今後もう一生来ないんじゃないかなと思うくらいの晴れ舞台なので、ここは気合を入れなければということで、大好きな大好きな大正12年に竣工した下山隧道と同じ、大正末期に作られた着物で参りました！

平沼　下山隧道にコレが置いてあったんですか？？！（お客さま爆笑）

石井　下山隧道に置いてはなかったですが、そのコンクリート隧道黎明期に、どこかの街でお嬢さんが着ていた着物なんですよ！

平沼　あ～！

石井　もしかしたらね、こういう着物を着て、その時代の隧道を通っていたかもしれない。

平沼　そうですね！その可能性ありますよね！

石井　大好きな隧道と、そこを歩いていたかもしれない大好きな着物の時代を合わせて着てきたんです。

大西監督　素晴らしい！

平沼　素晴らしいですね。トリさんの好きなものがここに凝縮されているわけですね？着物と廃道と。

石井　国道52号線の身延のあたりの下山隧道。分からない方は、『廃道クエスト』を注文してくださいね！シリーズ1枚目のDVDでございます。

平沼　（廃道フェア開催中の）ジュンク堂書店池袋本店にも置いてあることを、先ほど確認して参りました！

大西監督　宣伝がウマイですねぇ、このふたりは（笑）。

― 大西監督にうかがいたいのですが、こういった魅力あるおふたりを作品にする中で、映画にするという視点で考えたことなどがあればお聞かせください。

大西監督　実は、映画までは考えていなくて。それよりも廃道好きな方、廃道に興味のある方が、より楽しくより興味を持ってもらえるような作りができればいいなというところを目指して作りました。ただ少人数で作っているので、スケール感のあるような映像は出来なかったのですが、思いだけは通じるような作り方を頑張りました。

平沼・石井　ありがとうございます。

― さて、今回ついに映画になりましたが、次のステップはどこへ？

平沼　そこですか（笑）。私なんだかんだ言って、以前実話系の雑誌のコミックに登場させていただいたことがあったんですね。なので次に残っているのは･･･アニメですか？（お客さま爆笑）映画を征服したとなると、次はアニメでしょうねぇ。アニメを観てみたいですよね？

石井　ものすごくリアクションしづらそうですよ（笑）？

平沼　やはりオープロさんに、アニメも何とか手掛けていただかないと・・・

大西監督　･･･映像制作者って、基本的に何でも出来るワケじゃないので（笑）。

平沼　CGでも良いですよ！

大西監督　CGですかぁ・・・1本映画が出来ちゃうくらい予算がかかります。

平沼　予算が問題らしいので、皆さんよろしくお願いします！

大西監督　もしかしたら評判が評判を生んでPart2という話があったり、もしかしたら海外進出もあったり。そんな夢を描いても良いのかもしれないですね。夢だけだったら（笑）。

石井　アニメはともかく夢の話ですが、次回がもしあるならば、映画だと意識して撮られたいです！

平沼　それはありますね。

大西監督　最初から映画でやりましょうということであれば、もうちょっとスタッフを増やしたり、もうちょっと機材をあげたり、出来る限りのことでやってみたいなというのはありますね。

平沼　でも、トリさんは演技出来そうですけど、私は絶望的なことになりそう（笑）。

大西監督　演技なんかしてないじゃないですか（笑）。

石井　廃道歩いている時は素ですよ？

大西監督　あれが一番ですよ！

― そろそろお時間となりましたので、最後に締めの一言をおひとりずつお願いします。

平沼　締めの一言・・・考えてませんでした（笑）。実は私、3分の1くらいまでしかあえて観てません。観ないでここに来ました。最初の3分の1くらい観た段階で 「コレはもったいぶる価値があるな。皆さんと一緒に大きなスクリーンで1回目の感動を味わおう」 と決めて、スイッチをオフにしました。後半の3分の2は、皆さまと一緒で今日初めて観る1人になりますので、前の方からすすり泣きが聞こえてきたら私だと思ってください（お客さま爆笑）。という感じで、皆さん一緒に楽しんでください。よろしくお願いします。

石井　来てくださっているだけで感無量なので、うまい締めの言葉が思いつかないのですが・・ただ藪を漕いでいるだけでアイドルではないです。。

平沼　アイドルと紹介されるのは、非常に心苦しいと言ってたよね。

石井　アイドルではないので、心苦しいです。でも、ジャンヌ・ダルクと言われるのも、火あぶりになるのは（笑）。何かうまいあだ名が欲しいので募集中です！締まらないですね（笑）。大西さん、締めてください！

大西監督　大変な役目を負ってしまいました。この作品は約90分あるのですが、90％以上を手持ちカメラで撮影してます。真ん中より前の人はたぶん画面酔いすると思いますので、その時は瞼を閉じるか、我慢するかお願いしますね。そんなこんなで、そろそろ楽しんでいただきましょうかね！

＊上映に入る前に、ここでお客さまも撮影OKの撮影会＊

MC　では平沼さん、石井さん、大西監督、観客の皆さんに向かってキメのポーズをお願いします！

平沼　キメポーズですか？キメポーズは、やはりこのへんに隧道がある雰囲気でカメラを構えてこうでしょ！見えてますよ。私には隧道が！（お客さま爆笑）

石井　演技してる（笑）。

平沼　良かったな、ワルクード。お前も表舞台にたったんだゾ！

MC　お客さまと一緒の撮影会もしましょうか。本作でナビゲーターをつとめられた黒沢さんは今日いらっしゃらないのですが、同じくオープロジェクトでレコーディングを担当された山内さんにも、お三方と並んでいただきましょう！

平沼・石井　ぜひぜひ！

お客さまも皆さん大変協力的で、立ち上がってくださったり、中心に寄ってくださったりと、廃道を愛する方々の一体感で会場は大盛り上がり。

石井　初日に来てくれる人たち、優しい！

平沼　それにしても、よく全員無事に帰って来られましたよねぇ。廃道、サイコー！では皆さん、ハイ、どーも！

石井　ヨッキれん、ちょっとノリにくい（笑）

平沼　じゃ、トリさんの音頭でやろうか！　

石井　と言われると、何て言えばいいか思いつかないね（笑）。じゃ、全員で言いましょう！ハイ、どーもー！

『The Obroaders ～オブローダー 廃道冒険家～』
テアトル新宿で11/28（金）までの 《1週間限定》 レイトショー上映です！

失われた道の記憶を辿る旅。道の先にある "未知" をぜひ劇場でご覧ください！

----------------------------------------------
なお、平沼義之さんと石井あつこさん選定による書籍を取りそろえた 「廃道ブックフェア」 が、池袋ジュンク堂書店さん７階で12/10まで開催されています。　廃道関連書籍の他、Ｔシャツやグッズ、先ほど平沼さんのお話にも出た「廃道DVDシリーズ」も販売中。

また、オープロジェクトpresents写真展「OBROAD 未知なる道」が、新宿コニカミノルタプラザにて12/6～15の日程で開催。12/6（土）には、平沼さんと石井さんによるトークイベントも開催されます。
----------------------------------------------

©2014 O-­PROJECT ALL RIGHTS RESERVED.

★現在公開中のその他の日活ラインナップもご期待下さい★

★現在発売中の日活DVDラインナップもご期待下さい★

★★日活公式TwitterとFacebookもやってます★★