『ある優しき殺人者の記録』 初日舞台挨拶で語られた、日本と韓国の文化の違いとは?
2014年09月07日(日曜日)

  

P.O.V作品の第一人者・白石晃士監督最新作 『ある優しき殺人者の記録』 が9/6(土)公開初日を迎え、新宿バルト9で初日舞台挨拶が行われました。

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今やホラーの一大ジャンルを築いたP.O.V(Point of view:主観映像)方式で撮影された本作は、『ノロイ』 や 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』 などフェイク・ドキュメンタリーのスペシャリストである白石晃士監督の最新作。恐怖に迫る圧倒的な暴力性や生々しいエロス、さらに全く違う場所に着地させるといった異次元の衝撃を86分ワンカット映像として撮影し、スリラー映画の新たな傑作を作り上げました。

初日舞台挨拶に登場したのは、本作で日本人夫婦役を演じた葵つかささんと米村亮太朗さん、そして白石晃士監督の3名。オール韓国ロケで行われた撮影時の苦労話や映画作りにおける文化の違いなど様々なお話を聞かせてくださいました。

※上映後の舞台挨拶ということで内容に触れる部分がありましたので、一部表現を変えたりカットしている箇所もございますがご了承ください。

― まずは一言ずつご挨拶をお願いします。

 皆さん、こんばんは。葵つかさです。今日は観てくれて、ありがとうございます。よろしくお願いします。

米村 米村亮太朗と申します。本日は土曜の夜という貴重なお時間に足を運んでいただきまして、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。

白石監督 初日を満員で迎えられて、嬉しく思っております。予約して今日観に来ていただきまして、本当にありがとうございます。この調子で最後まで走り抜けたいなと思います。楽しんでいただけたなら嬉しいです。

― 本作の企画の経緯は、どういったものだったのでしょうか?

白石監督 本作は韓国との合作なのですが、本日公開初日を迎えた名古屋のシネマスコーレという劇場の支配人の方から韓国のプロデューサーを紹介されまして、それで企画がスタートしました。パンフレットのプロダクションノートに詳しいことが載っているのですが、たしかそうやって始まったのが去年の2月くらいだったかと思います。

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― ワンカットで撮るという企画に関しては、どのように決まったのでしょうか?

白石監督 カメラが撮影しているという設定のP.O.V作品で、ワンカットに見えるように全篇撮っている作品はなかったと思ったので、この企画でやれるのではないだろうかと私から提案しました。

― 葵さんと米村さんのキャスティングについては、どのように決められたのでしょうか?

白石監督 可愛くてセクシーなシーンを演じられる女性と、凶暴な役を演じられる男性を探しまして、おふたりを選んだという感じですね。

― 葵さんはこの企画を初めて聞いた時は、どのように思われましたか?

 今までやったことのないような役だったので、私に出来るかなとすごく不安だったのですが、やってみたいなと思って挑戦しました。

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白石監督 今までは清純なイメージだったんですよね。実際はどうですか?

 あの・・・・・清純だと思います(笑)。

白石監督 そうですよね!私もそんなイメージです。現場でもそうでした。

 はい。ですが、真逆の気の強い女性の役だったので、すごく大変でした。

MC 米村さんはいかがでしたか?

米村 以前自主映画で手持ちの主観カメラを交えた映画を撮ったことがあるのですが、全篇ぶっ通しで、しかも80分を超えるワンカットというのは初めてでした。これはうまくいったらとんでもない作品になるなと思ったのですが、同時に編集で演技のボロを誤魔化すことが出来ないので、つまらない演技をしたらそれが如実に画面に出てしまうということで、怖くもありました。

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― 今回は撮影が韓国ということでしたが、韓国での撮影はいかがでしたか?

白石監督 キャストの方はまたちょっと違う部分もあるかと思いますが、私はまったく不自由を感じることがなく、どちらかというと日本より楽な気持ちで撮影ができました。

MC 制作チームは韓国のスタッフだったのですか?

白石監督 ほとんどそうですね。日本人はこのおふたりのキャスト陣とプロデューサー、スクリプター見習いの向こうの日本人学生とつかさちゃんのマネージャーさんだけで、あとはみんな韓国人でした。

MC 韓国の方に、こういう映画を撮るんだということは、伝わりましたか?

白石監督 作る前は、「何が面白いか分からない。これはどういう映画なんですか?」 というご意見を結構いただいたのですが(お客様爆笑)、「日本でもそういう意見の方が多いですよ。でも、完成したら面白いですから」と言って、ゴリ押しして撮らせていただきました(笑)。

― 撮影時期は、去年のいつ頃だったのですか?

白石監督 12月ですね。一応屋内ではあったのですが、メチャメチャ寒い地域で本当に寒い思いをしたなと思います。

MC おふたりともかなり頷いていますが・・

米村 かなり山の中で、いわゆる殺人鬼が出てくるような雪深い中にある山小屋で、電気もなくトイレも使えないという過酷な状況でした。

白石監督 当時米村さんは今よりかなり痩せられていましたから、そのぶん寒さが身に凍みたのだと思います。

MC 葵さんは、寒い中での撮影はいかがでしたか?

 肌の露出が多くてすごく寒かったのですが、監督は終始ニコニコしながら朝まで撮り続けることもあり、内心寒いのになぁと思いながらの撮影で大変でした。

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白石監督 朝まで撮影した時があって、本当に頑張っていただきました。床に横になっている状態が長かったのですが、床がコンクリートでメチャメチャ冷たいんですよ!朝方になるとさらに冷え込んだ状態だったと思うのですが、繋がりがあるので同じ状態をキープしていただかなくてはならず、相当過酷だったのではないかと思います。やっていただきまして、ありがとうござます!

 はい。

― 韓国のキャストの方は、いかがでしたか?

白石監督 キム・コッピさんもヨン・ジェウクさんも情熱的で、良い作品を作ろうということしか考えてない姿勢に感動しました。ヨン・ジェウクさんに関しては、現場で芝居をみながら初めてちょっと目が潤んでしまいまして、僕はおふたりに出演していただいて本当に良かったなと思いました。

MC 葵さんはいかがでしたか?

 コッピさんは日本語がすごくお上手で、撮影の合間はずっと日本語で喋っていました。東京も詳しくて、オススメのお店を逆に私がコッピさんから教えてもらいました(笑)。

白石監督 どんなお店を教えてもらったの?

 渋谷の雑貨屋さんを教えてもらったり、あとは今コッピさんがはまっている韓国のアーティストEXOの話をしたり、色々とガールズトークをしていました。

白石監督 いいですね!混じりたかったですね!!

MC 米村さんはいかがでしたか?

米村 言葉は分からないのですが、彼らがセリフを一言発すると、その場の空気が出来てしまうんです。ふたりとも本当に素晴らしい役者だなと現場でつくづく思いました。それからEXOの話のついでですが、僕が東方神起が好きだと言う話をしたら、ジェウクくんが「俺、友達だよ」とサラッと言ってまして、とんでもないスターなんだなと思いました(笑)。

― オフの時間はどうされていましたか?

白石監督 12月に撮影で行っていた時はほとんどオフがなかったのですが、1月に仕上げでもう一回韓国に渡った時は、私の好きなチョッパルという韓国の豚足があるのですが、チョッパルの美味しいお店に3軒くらい連れて行ってもらって、非常に良い思いをしました!

MC 葵さんはチョッパルは召し上がりましたか?

 食べました!監督がすごい勢いで豚足を食べていて、その映像が怖いくらいでした(苦笑)。

白石監督 上の方に肉がのってるんですけど、下の足の骨の方にもちょっと肉がついているので・・・

 いや、そういうことじゃなくて、監督の顔が・・・

白石監督 俺のカオが?!

 ・・・殺人鬼みたいな(お客様爆笑)。

白石監督 そんなことねーだろっ(笑)!

 すごい勢いでウワーッて食べていて、これこそホラーだと・・・

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白石監督 ちょっと動物に戻っていたんでしょうね(苦笑)。

― 韓国には公開前も映画祭で行かれましたが、反応はいかがでしたか?

白石監督 ハングル語が出来ないので分からない部分もあるのですが、映画祭では2回登壇して、それぞれ違う評論家の方が司会をしてくださったのですが、その方々は非常に好意的に言ってくださっていました。あとはこちらに戻ってきてから、映画祭の評判がすごく良いですよとの連絡をいただきました。

MC 韓国でもまもなく公開ですね?

白石監督 9/11から公開です。

MC 日本・韓国ほぼ同時公開ということですが、これまでの作品でそういったことは?

白石監督 DVDが販売されたことはありますが、公開はないんじゃないですかね。今後も海外との仕事をやっていきたいなと思っていますので、英語はせめて覚えなきゃと思っております。

MC 葵さんは、これまでもアジアで活動されていますね?

 台湾や中国など、色々と行かせてもらってます。中国でも映画に出演しまして、今回韓国で初めてやらせていただきました。

白石監督 アジアのスタッフは、対応の仕方など似てますか?

 皆さんすごく熱いと言いますか、スタッフさんも提案するなど一緒になって作品を作るという感じがあって、それが日本とちょっと違うのかなと思いました。すごく温かい感じでしたね。

― 撮影中の印象に残っているシーンはございますか?

 私は(襲われて)相手の身体の一部を噛みちぎるシーンがあるのですが、そこが大変でした。噛みちぎってプッとやるのですが、そういうことをしたことがないので、うまく飛ばないんですよ!

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白石監督 そりゃないですよね(笑)。

お客様 誰もないよー!

 ちぎったものがうまく飛ばなかったり、カッコよく飛ばせなかったりという大変さがありました。どういう感じで噛みちぎるのか・・・。

MC その場で監督の演出やアドバイスがあったのですか?

白石監督 何か言ったかな?たぶん勢いよくやってくらいのことは言ったと思います。

MC 他にも印象的なシーンはありますか?

 表情でも演技しなくてはならなくて、襲われているシーンでもイヤじゃない顔をしなくてはいけないのが難しかったです。

白石監督 そういう部分はないの?

 ないと思うんですけど・・どうなんでしょう?そういうのも全部初めてで、難しかったです。あとは、声を出しすぎちゃったかな?もうちょっと抑えても良かったのかなとか思うところもありました。大丈夫でしたか?

白石監督 現場ではそんなに試す時間もなく修正は最小限にとどめて基本的には役者さん任せでやっていましたので、あの現場ではあれが良かったのではないかなと思います。

MC 米村さんは?

米村 最高級に難題だったのがあの状況下での濡れ場だったのですが、監督にご指導いただいて、"リョウタはつかさに心底惚れていて、つかさのファンタジーを実現させてあげることがリョウタにとっての最高の幸せなのだ"ということを説明してくださったので、それを念頭において演じることが出来たことで何とかなったのかなと思います。

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白石監督 韓国のスタッフの皆さんからも、脚本の段階で「これはどういうことなんですか?このふたりは何なんですか?」という質問がありました(笑)。

米村 韓国の方たちはセクシュアルな表現に対する抵抗感がすごく強いらしくて、露骨に嫌な顔をするんです・・。こちらは一所懸命演じているので「そんな顔しないでくれよ」と思って、それは辛かったですね(苦笑)。

白石監督 韓国映画では、まったくないわけではないですがファンタジーめいた作品はあまり作られておらず、かなり地に足のついたリアリズムを基にした話の映画を作ることが基本のようで、突飛な表現に関して「何なんですかね?」と思う方が多かったですね。

― ラストのイメージは、初めの段階からあったのですか?

白石監督 プロットを書いていく中でたどり着いたものではあるのですが、まだ話も考えてない最初の段階で、韓国のプロデューサーから「最後はキレイに終わるような映画にしたいですね」と言われていました。私はプロデューサーの意見を大事にする監督なので、そのことはかなり念頭において考えた感じですね。

― では、最後にもう一言ずつメッセージをお願いします。

 今日は遅い時間までありがとうございました。この映画は残酷な部分がたくさんあるのですが、愛のある映画だと思っているので、ぜひ何度も観てもらえたら嬉しいです。またお友達にも言っていただいて、一緒に観に来てください。今日はありがとうございました。

米村 本日はお越しいただきまして、あらためてありがとうございます。皆さんのご感想をうかがうのがものすごく楽しみなので、出来ましたらTwitterなどで忌憚のないご意見をお書きいただければと思います。よろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

白石監督 これは私の海外作品第1弾と言っていい作品になっているかと思います。今後もぜひ海外との作品をたくさんやっていこうと思っていますので、そんな私の今後の仕事ぶりもよろしくお願いいたします。

*最後はサイン入り韓国版ポスターが3名様にあたる抽選、そしてパンフレットご購入者の皆さんへのサイン会が行われました。

想像を超える奇跡、衝撃のクライマックスを、ぜひ皆さまも劇場で体感してください!

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9/13(土)はオールナイトイベント実施!詳しくはコチラをご覧ください

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ある優しき殺人者の記録

★2014年9月6日(土) 新宿バルト9他全国順次公開★

『ある優しき殺人者の記録』

86分ワンカットの驚愕映像!
新たな密室スリラーの傑作誕生!

監督・脚本:白石晃士

出演:ヨン・ジェウク キム・コッビ 葵つかさ 米村亮太朗

©NIKKATSU、ZOA FILMS



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