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絶賛上映中 “生きつづけるロマンポルノ” 舞台挨拶に谷ナオミさんと小沼勝監督が登壇!
2012年05月20日(日曜日)

ユーロスペースで絶賛上映中の日活創立100周年記念特別企画 “生きつづけるロマンポルノ” の舞台挨拶に、『生贄夫人』 などSM作品を中心に多数の日活ロマンポルノ作品に出演された谷ナオミさんと、多くの作品でタッグを組んだ小沼勝監督が登壇されました。

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日活ロマンポルノ時代、7年間で約30本もの作品を残し、『団鬼六 縄と肌』 を最後に引退した谷さんは、この日の舞台挨拶のために熊本から上京。和服に包まれたなまめかしい姿態、白い肌に黒髪、そして匂いたつような色気は今も変わらず、ファンの皆さんの大きな拍手に迎えられて、当時の現場の思い出などを小沼監督とともにたっぷりとお話して下さいました。

 今日はこんなに大勢の方にご来場いただきまして、ありがとうございます。日活100周年に私の映画が上映されるということで、今朝熊本から上京いたしました。残念ながら去年亡くなられた団鬼六先生の 『花と蛇』 でスタートしたのですが、当時の日活はSMのことが分からず手探り状態だったためコミカルな部分もあり、「あまりにも世界観に欠けている。二度と日活に原作はやらない」と団先生に怒られました。それで名誉挽回ということで、同じく小沼勝監督と私のコンビで今度は日活オリジナルの 『生贄夫人』を撮ったところ、試写を観た団先生が「素晴らしい!こういうものも出来るじゃないか!」と言って下さり、鬼六シリーズが始まりました。今日私が東京に来るということで、小沼監督も駆けつけて下さいました。

小沼 今日は本当にありがとうございます。女性の方が結構多いですね。ロマンポルノが始まった当時は女の人はいなかったんですよ。男ばっかりで始まったのですが、何と今日は凄いじゃない!

 凄いですね。去年ご招待を受けたパリシネマ国際映画祭でもパリジェンヌがたくさんいました。和服であったり、襟足のクローズアップや濡れた髪などに色気を感じてくれたような気がして、今はそういうのが非常に少なくなったようで寂しい気がします。また、大震災の後にお呼ばれした神戸の映画祭の女性限定上映会にも、23、4歳の女の子がたくさんいらっしゃいました。本当に不思議ですよね。今50~60代の方が当時性に目覚め、唯一のはけ口としてリアルタイムで日活ロマンポルノをご覧になっていたのが、私が引退した後に生まれた年代の方たちが今またこうしてご覧になり、「『生贄夫人』のお風呂場のシーンで、谷さんが“あなた”というのが非常に色っぽかったです」など、たくさんのメッセージを下さいます。それが私の今の励みになっており、頑張れる糧となっております。本作は、私の弟子である東てる美のデビュー作なんですよね。

小沼 あの時はさ、高校生が来ると聞いてスタッフもみんな緊張したんだよね。学校の制服着て来たのさ。それでみんなこの子にこんな乱暴なというか、激しいシーンを演らせていいのかな?と思ったりしたんだけど、イスに座っている態度みていたら、こりゃ大丈夫だわって(笑)。

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 日活作品には数多くの思い出がありますが、『生贄夫人』でご主人に川で身体を洗って清めてもらうシーンの時は、すごく寒かったんですよ。

小沼 そうらしいですねぇ。

 そうらしいって(笑)。私はとっても寒かったのですが、当時のカラーフィルムはNGを出すと莫大な損害なんです。それで、本当に凍えてしまうのではないかと思うくらいしつこく何度も何度もテストを繰り返して、やっと撮り終えた思い出のシーンです。あれは本当に寒かったのですが、とても気に入っているシーンなんです。

小沼 あれ、観ても寒そうな感じしないよね。心地よくみえる。

 そうですか?それと、貴婦人である女性がもよおすシーンでは、カットする部分に非常に悩まれたというお話をお聞きしたのですが。

小沼 スタッフにも色々勉強させて、ある結論に達して撮影したのに、映倫が後から「全然使えない」と言うからケンカですよ。最終的にやっと4コマだけ残せて。4コマなんてホント一瞬ですが、みんな集中しているから感じてくれると思うんですけどね。

 小沼監督の『花芯の刺青 熟れた壷』という作品がありますが、これも今は亡き、梵天太郎さんという刺青師の方が実際に彫って、血が吹き出るところを使ったんですよ。そして私の身体に描かれたのは、当時絵がとてもお上手な俳優さんが日活にいて、水で濡らしてこすっても消えず、しゃぼんをつけるときれいに消えるという特殊なもので、7時間くらいかかって描いてくれたんです。小沼監督は何か思い出はありますか?

小沼 最初の頃は、谷さんと脚本のことで対決したね。

 現場で揉めたくないので、脚本の段階で監督に注文をつけたり、納得できるまで話しましたね。その代わり、現場では文句言ったことないですよね?

小沼 ないね。見事に演じていたよね。

 どんなに苦しいことでも耐えました。小沼監督は昔からスリムな方で、悶えるシーンなどご自分で演技をつけられていたんですよ。それが私は非常に色っぽく感じていました。

小沼 男が悶えて色っぽいって言われても、どう反応して良いか分からないですけども(笑)。

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 日活ロマンポルノには30本出していただいて、2本ずつ監督が変わっていくわけですが、その中で6本撮られたのが小沼監督ですね。ところで監督のお弟子さんとして助監督をつとめていらっしゃった中田秀夫さんが、小沼さんは実際はサディストなのではないかと仰っているのを聞いたことがありますが?

小沼 僕はどちらかと言うと、Mだと思います。日活の監督では、曾根中生くらいだね。曾根のサディズムは本物ですよ(笑)。

 当時の日活は東洋一という撮影所で、スタッフの方も本当に優秀な方で、私の一番良い時、一番綺麗な時をプロの方に半永久的に残して頂いていることを本当に幸せに思います。これからも色々なところで日活の作品が上映されると思うのですが、監督が観ていただいきたという作品は何でしょうか?

小沼 『花芯の刺青 熟れた壷』の谷ナオミはイイよ。本当に感動する。人形を作っていて、振り返って名前を呼ぶ時の声が抑え気味でちょうどイイ感じなんですよ。『生贄夫人』 の時はまだ少し芝居が弱い部分もあったけれど、僕が芝居をつけずに、あそこまで出来るようになったんだなと思って。

 ところで、小沼監督が「わが人生 わが日活ロマンポルノ」という本を書かれました。

小沼 腰をやっちゃって現場は無理と言われたので、字でも書くしかないという感じです(笑)。

 私のことも書いてあるのでしょうか?

小沼 ほとんど全部です。

 そうですか(笑)。私が引退した後に生まれた人たち、日活ロマンポルノを知らない人たちに、ぜひ日活ロマンポルノがどういうものだったか知っていただくにも、読んでいただきたいと思います。

― 曾根中生監督が先週ご登壇されて「谷ナオミさんとたくさん映画を撮られて、とにかく羨ましいと小沼監督にお伝え下さい」ということでしたが。

小沼 曾根の方がさ、SMやらせたらよっぽど巧いぜ、間違いなく(笑)。

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 話は最初に戻りますが、日活はSMを手探りで始めたものですから、プロの緊縛師の方に縛っていただきました。その縛り方も引っ張ると傷が残るものですから、サディストの方ってすごく優しいんですよね。自分の手をあてて一分の隙もなく縛っていただきました。とった時には刺青をしているみたいにびっしりと体中血豆が出来、解いた時には全身の血が逆流するんですよ。鞭で叩いたり、蝋燭というのは一瞬の痛み、一瞬の熱さですから我慢出来るんです。しかし、ロープというのはキツイですね。私の身体が持つか持たないかと心配になるくらい大変な撮影をしてきましたが、ひとつひとつ思い出がありますね。団鬼六先生は、私の任侠ものが大変お好きでしたので、『お柳情炎』や『縄と肌』もぜひ上映していただけたらと思います。

― 今、若い女性が谷さんの作品を観る理由は何でしょう?

 まったく分からないのですが、ただただ絶賛の言葉をいただきます。中には悩みをお持ちの方もいらっしゃいますが、何が正しいということはなく人それぞれですし、素敵なパートナーとめぐり合えたら素晴らしいことだと思います。

私も初めは何も分からないまま独立プロからスタートしましたが、独立プロは人数も少なく、ベッドシーンが終わったばかりでガウンやバスタオルを羽織ったままの私が照明を持たされたり、カメラの目線を作ったり、みんなで助け合って作ります。スクリプターもいないし、自分で台本をチェックしながら服装や髪型をやりました。

それが日活でやるとなったら、本当に大きな撮影所で度肝を抜かれました。ライトも大きなライトがついていますし、自分の仕事だけに専念できるのです。その頃は今と違って裸になるというだけでも大変なことで、一旦受けたものの現場で 「それは出来ない。話が違う」 と言う方が非常に多かったようです。しかし、私は現場に入る前にとことん話し合って納得してインしましたし、この世界で頑張ってトップになろうと思いましたので、氷が張っているような真冬の長いロケで裸になって転がされたり、あちこち傷ついて、何で私こんなことしなくちゃいけないんだろう?と思うこともありましたが、全て耐えました。

― 今の若者の性のあり方について、いかがですか?

 今の若い方達はスポーツ的に考えているところがありますが、もっと神聖なものであり、生きる希望だと私は思っています。

― 谷さんというと、当時も今も白いお肌が印象的ですが。

 そうですか。私は着物を着る役どころが多かったですので、デビューから長い黒髪を切ったことがないんですよ。団鬼六先生が「長い黒髪で着物が似合い、いじめるとキツイ目でキッと反抗する。そして縛ればグッと食い込む肌。それが縄が似合う女性だ」と言われていましたので、髪を短く切ったこともないですし、海で遊びたくても海に行って肌を焼いたことがないんです。どなたが仰ったか忘れましたが、「デビューから引退まで乳首の色が変わらなかったのは谷ナオミだけだ」と言って下さいました。身体がひとつの商品でしたから、身体には常に気を使っていました。特にケアはしていませんが、今でも綺麗ですよ(笑)。

― 今注目している女優さんはいらっしゃいますか?

 女優さんやタレントさんをよく知らないんです・・・。ただ私が皆さんの前に出る時には、恥をかいてはいけない、失礼があってはいけないと思い、一所懸命勉強したり、分からないなりにも少しでも・・・と思って、色々なことを覚えたものでした。ところが今は、テレビで突拍子もないことを言ってそれがウケている時代です。知った上でのギャグは良いと思うのですが、何か違う方向にいっているような気がしています。お芝居をするにも、例えば着物を着るなら最低限の所作が備わってないと、観てくれる人に対して失礼ですよね。そういうものを最低限守るべきではないかなと思います。

― 今後映画のオファーがあったらご出演されますか?

 もう年ですから、この日活100周年で勘弁して下さい(笑)。

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