イベントレポート

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女子限定 ロマンポルノ “予習” イベントが行われました!
2012年05月11日(金曜日)

日活創立100周年記念 特別企画 【蓮實重彦、山田宏一、山根貞男が選ぶ愛の革命 生きつづけるロマンポルノ】 が、いよいよ今週末5/12(土)より公開されます。公開に先立ち、「女子限定 ロマンポルノ “予習” イベント」 が行われました。

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「女子限定 ロマンポルノ“予習”イベント」ということで、上映作品は女子にオススメの 『白い指の戯れ』。上映後には、漫画家/コラムニストの辛酸なめ子さんをゲストにお招きし、映画ライターの久保玲子さんをMCに赤裸々トークショーが行われました!

久保 1971年~1988年の17年間で1100本もの映画が作られたロマンポルノ作品の一部しか見てはいませんが、本日は辛酸なめ子さんと一緒にその魅力について少しお話させて頂ければと思います。今回ロマンポルノを始めてご覧になったということなのですが、今までどういったイメージを持っていましたか。

辛酸 ロマンポルノの名前は聞いていたのですが、どこで見たり借りられたりするのかわからなくて今まで見ることが出来なかったので、これを機に何本か拝見させて頂き、そして久保さんに色々とド素人として教えて頂ければと思っております。(持っていたイメージは)わりと昭和のエロスが凝縮したようなかんじですかね。

久保 なるほど(笑)。ロマンポルノは一世を風靡した日活アクションが下火になって、60年代後半に大衆娯楽が映画からテレビに移行した時期に日活が映画界に激震をもたらした路線変更で、一般の映画の四分の一という製作費に、製作日数も10日間でスタッフも半分という厳しい条件ながらロマンポルノの始まった時代というのが50年代からフランスの方で始まったヌーベルバーグやそれを受けての大島渚さんらが活躍した松竹ヌーベルバーグという影響をすごく受けた若手の監督が活躍したエキサイティングな場だったと思います。ポルノという枠はあるんですけれども、例えばどこかしら何箇所かセックスシーンがあれば後は何でもやって良いという、すごく自由な雰囲気の中でスター監督が登場して、その後の日本映画を代表するそうそうたる監督の登竜門という場だったと思います。

辛酸 70年代とかが多いと思うんですけど、人口がベビーブームで増えたのも確か73~75年で、やっぱりこのロマンポルノの影響で人々が性行為をしたくなって出生率が上がったとかあるんでしょうか?(場内 笑)

久保 どうなんですかね(笑)。神代さんが何かのインタビューで一般の方の性に対する意識が変革したかどうかというと、あまり変わってはいないんでないかという発言をされていたので、どうなのかなと思いますが。

辛酸 今テレビのエロはほとんどないし、そういうことがちょっと少子化に影響しているのかなと思ったので、こういう映画がもっと色々なところで見られる今後の為にも良いのではと思ってますけれども。

久保 性描写を出さなきゃいけないという映画でもあり、男性達はとにかく肉食系で当時の男性というのはこういう方が多かったんでしょうね。女性は映画の中ではたくましいけれどもやはり受け身で、男性はいつも頭の中ではそれを考えているという人たちが出てきて、この時代は男性は肉食系というのが一般的だったのかなとは思います。

辛酸 肉食で、行き過ぎて犯罪行為になってしまっている男の人もこのロマンポルノには出てきますよね?

久保 映画の影響はきっとあるので、ヤクザ映画を見た後、肩で風を切って出てくる人たちがいたように、ロマンポルノでも刺激を受けて色々と妄想した人はいっぱいいると思いますね。

辛酸 時代背景としてシラケとか挫折があったと思うのですが、そういった世の中をなんとかしたいとう思いでもこのシリーズが始まったんでしょうか。

久保 映画が厳しくなって今までのように製作費をかけてどんどん映画を作られないという状況の中で活路を見出したという所なので、どちらかというと変化をもたらそうというよりかは、60年代の安保に挫折した若者たちの虚無感だったりシラケたムードっていうのが濃厚に映画の中に漂ってきて、時代の空気を反映しているというのがロマンポルノの魅力であると思います。

辛酸 学生運動のエネルギーが性欲に・・・みたいなことだったかもしれないですよね。

久保 そうですね(笑)。学生運動の夢破れて革命よりはそっちにいったのかもしれないですね。

辛酸 今回、作品選定をさせて頂いたのですが、映画を何本か拝見した中でまず見ていて女優さんがあんまり可愛くないと感情移入がしにくいというのがあり、伊佐山さんが本当に前田敦子さんに似ていて現代に通ずる可愛さがあったのと、服がおしゃれというところでまず心惹かれました。ストーリーも面白かったですね。スリが出てきたりや、人間の弱さみたいなものを肯定するような深いテーマを感じました。

久保 本日皆様がご覧頂いた『白い指の戯れ』は辛酸さんのチョイスで上映が決まったのですが、松田優作主演の“遊戯”シリーズなどカッコいい映画を次々と撮られている村川監督のデビュー作で、神代監督も共同脚本に参加されている作品なんですね。今、辛酸さんが注目された伊佐山ひろ子さんというのはこの作品がデビュー作で、男たちと出会ったことで青春を狂わせていくというヒロインなんですが、男たちを含めた青春群像が鮮明に描かれていてロマンポルノの中の青春ものの代表作の1本だと思います。

辛酸 あの新聞紙を鼻に乗せるとかああいうシーンも当時の青春というか宴会芸というか(場内 笑)。あと伊佐山さんは全部脱がれて、濡れ場もされていて、女優さんはやはりオーディションとかで決まるんですか?

久保 元々日活に所属していた女優さんがそのまま路線変更したから出ろと突然言われて出る方もいらっしゃいましたし、ピンク(映画)から引き抜きがあったり。伊佐山さんの場合は、本作で刑事の役をしている粟津號さんがウエイトレスをしているところを見つけて「すごく変わった女がいる」と監督に紹介して、皆で会われたそうです。

辛酸 刑事の役をしている人って、(伊佐山さんが出ている)「一条さゆり 濡れた欲情」にも出ている人ですよね。それを見て、二作続けて共演していて、何か特別な関係なのかなと思ったのですが。

久保 実は(伊佐山さんと)特別な関係にあったのは荒木一郎さんの方のようです。

辛酸 そうなんですか。実際にその映画で盛り上がってみたいな。映画が自分の私小説というか、プライベートにリンクしているんでしょうかね。

久保 色々な監督もロマンポルノの女優というのは真の人生を生きている女優だということをよくおっしゃっていて、もともと女優でこういう世界を知らないところから抜擢された方もいらっしゃいますが、作品の中では例えば芹明香さんみたいに各地を転々として映画のような流浪の生活を送ってきて映画に辿り着いたという方もいらっしゃいます。

辛酸 あと気になっていたのが処女喪失のシーンで男性が白いブリーフで、女性も(今では)なかなか売っていないような白いブラとパンツで、他の何本か見た中でも白い下着が多くて、(白い下着は)当時のエロスの象徴だったのでしょうか。

久保 『天使のはらわた 赤い教室』でもエロ雑誌の撮影隊の中で「下着は白だー!」と叫ぶシーンや「白がワイセツなんだ!」と言うシーンがあるので、「白」にかきたてられる男の心情が当時共通概念としてあって、なるべく「白」を履かせるということがあったのかなと思いますね。

辛酸 その下にはちゃんとした前張りみたいなものをつけていたんですよね?

久保 ロマンポルノの場合はすべて本番はなしというので、頑丈な前張りを使って撮影をしていて、声も一切同録ではなくアフレコだったそうです。

辛酸 そうだったんですね。前張りってあんまり見たことがないんですけど、ガムテープのような感じなんでしょうか?

久保 いや、実際私も見たことがないので・・・(笑)。ただものすごく大変だと聞いたことはあります。

辛酸 どういった材質だったんでしょうか?

久保 ヌーブラ?いや、経験がないのでわかりませんが、ものすごくそれ(前張り)を考えると憂鬱になると女優さんがおっしゃるくらい面倒なものらしいです。

辛酸 へえ。ちょっと検索したいです(場内 笑)。あとBGMがすごくカッコいいですよね。

久保 本作で荒木一郎さんが歌っている「エロ数え唄」は実際に荒木一郎さんの歌で、その他にも「あしたのジョー」や「必殺仕掛人」の音楽や歌も作っていらっしゃる多才な方で、マジック評論家でもあるそうです。

辛酸 当時のカリスマみたいな。

久保 そうですね。当時のファッションリーダーでもありました。

辛酸 あの数え唄も今でいうラップみたいなかんじでしょうか。

久保 そうですね(笑)。今回の特集上映作品は蓮實重彦さん、山田宏一さん、山根貞男さんという大先生方が選んだ傑作揃いということですが、その中で『白い指の戯れ』のほかに見てみたい作品はありますか?

辛酸 『花芯の刺青 熟れた壺』という作品が本当にタイトルが文学的というかすごく気になるというのと、設定の「江戸千代紙人形師」って何だろうってすごく気になりましたね。紙人形を作るという意表を突かれる設定がとても面白そうでいろんな意味でとても拝見してみたいのですが。ところで、この映画館で見ると男性も一緒で抵抗もあるなという人に今回は女性専用の座席があると聞いたののですが。

久保 そうです。初めてご覧になるという方だと隣に男性がいたりすると嫌だと思うので、(女性専用シートは)すごくリラックスして見られると思います。

辛酸 そうですよね、横で男性が発情しているって思うと緊張しちゃいますよね。

久保 そうですね(笑)。昔映画館で観に行って、もともとがらんとした客席の中、女一人で観に行くと何かそういう下心があるんじゃないかと思ってか、ふとももに誰かの手を感じたりとかしていて。

辛酸 そういうことも実際にあったんですか。

久保 そうですね。昔はそういうことがあって。異常に真剣に観ているのに頭に来たりとかして。でも女性専用シートというのはそういうわずらわしさもなく没入出来ると思っています。

辛酸 じゃあ久保さんはそういう貞操の危機を乗り越えながらたくさんの作品をご覧になっているわけですね。

久保 まあそうですね(笑)。

辛酸 お疲れ様です(場内 笑)。


日活創立100周年記念 特別企画
蓮實重彦、山田宏一、山根貞男が選ぶ愛の革命 
生きつづけるロマンポルノ

★2012年5月12日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー!★

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