イベントレポート

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まもなく公開 『マシンガン・プリーチャー』 トークショーが行われました!
2012年01月31日(火曜日)

今週末2/4(土)公開、衝撃と感動の実話を映画化した 『マシンガン・プリーチャー』 のトークショー付試写会が1/31(火)に行われました。

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本作は、“元麻薬売人” から “アフリカの子どもたちの命を守る人生” へと180度の転身を遂げた “マシンガン・プリーチャー (= 銃を持った牧師)” と呼ばれる人物、サム・チルダースの壮絶な半生を描いた衝撃と感動の実話。彼の生き様を通して、アフリカの惨状や少年兵の問題など、私たちが中々知り得ない真実がみえてきます。

そんな、厳しい世界の真実を描いた本作の公開直前トークショーのゲストにお招きしたのは、戦場カメラマンとして現在も世界を飛び回る渡部陽一さん。ダルフール紛争を取材するためにスーダン(旧)を何度も訪れており、少年ゲリラ兵に遭遇した経験もお持ちの渡部さんだからこその実体験を踏まえたアフリカの真実を本作と照らし合わせて語って頂きました。

サプライズスペシャルゲストとして紹介された渡部さんは、テレビでみる通りの立ち振る舞いの丁寧さで、まずは会場入り口で立ち止まり深々と会釈。舞台に立つと、再びゆっくりと頭をさげ、そしてご挨拶を始められました。

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渡部 こんばんは!戦場カメラマンの、渡部陽一です。(客席から大きな拍手)ありがとうございます。今日は、戦場カメラマンとして実際に自分が取材で訪れたスーダンで起こっている現状、そこで暮らしている子ども達の声をお届けしたいと思います。よろしくお願いいたします。

― 渡部さんにはひと足早く本作をご覧頂きましたが、いかがでしたか?

渡部 『マシンガン・プリーチャー』 の舞台になっている場所は、アフリカのウガンダやスーダン、戦争が今でも一部続いている地域です。スーダンの情勢は、ニュースをみていても中々伝わってきません。本作を観た時、カメラマンとしても、ひとりの人間・渡部陽一としても、スーダンで暮らしている子ども達の声がハッキリと聞こえてきました。“陸の孤島” と呼ばれているスーダンで、何が起こっているのか?“マシンガン・プリーチャー”の神父さんの目からみた、そこでの実体験というものは、激しく胸にささるものがありました。

― サム・チルダースという人物は、元・麻薬売人で、その後建設業を営み、やがてボランティアを通じてスーダンの子ども達を救う活動をしていきますが、彼の生き様をどうご覧になりましたか?

渡部 人生そのものが非常に過激で、乱高下のある生き様がみえました。自分が納得する時間を過ごし、自分が決めたように動く。そういった中から非常に伝わってくる想いがありました。また、サムさん自身も悩み、葛藤している一面もあります。僕との共通点は、「泣いている子ども達の声を世界の人に知ってもらう」 ということです。それを伝える職業は、もしかしたら神父さんでもあり、ジャーナリストでもあり、カメラマンでもあり、ボランティアでもあり、ビジネスマンでもあるかもしれません。それぞれの職業によって 「これはいい」 「これはどうだろう?」 と様々な葛藤があると思います。それをいかに1つひとつクリアしていくのか?たくさんの苦しみが重なってきます。サムさんからみた悲しみの声も、本作から聞こえてくると思います。

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― 本作では、賛否あるかもしれませんが 「家族を救うためには手段を問う必要性はないのではないか」 ということで、サム・チルダースが武力による手段を選ぶシーンも出てきますが・・・。

渡部 スーダンでは、民族の紛争、宗教の紛争、資源や環境の紛争が絡み合っています。世界中で起こっている戦争のそれぞれの理由が、スーダンの中でたくさん蠢いています。そして戦争の犠牲者は、いつも子ども達。その子ども達の声を聞いて届ける方法には色々な方法があることを、改めてサムさんの生き様をみて感じることが出来ました。

― 映画では、サムさんがスーダンに行くために家族と離れる時間が長いことも描かれていますが、渡部さんもご家族と長く離れることが?

渡部 情勢が不安定な地域に行くと時間が長くなりますので、どうしても家族と会えません。僕にとってカメラマンという仕事は、非常に大切です。しかし、もうひとつ大切なのは、僕にとっては家族です。サムさんにとっても、葛藤があったと思います。それぞれが優先順位をどのようにおいて、子ども達の声に触れていくのか?国籍や考え方で、これだけ違いがあるのだと感じました。

― サムさんの行動力、リーダーシップも映画を通じてご覧頂けるのではないかと思いますが、現在の日本はリーダー不在とも言われていますが・・・。

渡部 世界中を回ってきましたが、それぞれの国や歴史、慣習や文化によって、そこに立つリーダーの姿や言論、行動というものはバラバラでした。その地域の人たちが求めている人物が、それぞれのトップに立っていました。世界の歴史に目を向けると、歴史は繰り返されたり、大きく変わったり、非常にダイナミックな一日一日が動いています。その中で世界の人たちも、日本のことを強く知りたがっていました。僕自身も、カメラマンとして日本のことを世界中の人に知ってもらいたいと思っています。それぞれの国のリーダーの人たちの声を、丁寧にもっと聞いていきたいと思います。

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― 南スーダンへの自衛隊派遣も決まり、これからますますアフリカの情勢が注目されると思いますが、スーダンの紛争地域では今実際に何が起こっているのでしょう?

渡部 スーダンでは、昨年7月に新しい国 “南スーダン” という国が出来ました。北のスーダンと南スーダンのちょうど国境地帯に、石油や天然ガスのたくさんの現場が残っています。今アフリカに世界が目を向けているひとつの理由が、資源です。大きな資源を争った戦いが起こっています。そして注目をあびているスーダンに、日本からも自衛隊が派遣されます。いよいよアフリカという大陸ではなく、一つひとつの国に目が向いていく、新しいアフリカの時代を迎えて欲しいと思っています。そして、スーダンやウガンダ、ソマリアやナイジェリア、それぞれの国の人たちの声を聞いていきたいと思っています。

― 先ほどから渡部さんが 「子ども達の声を聞いてほしい」 と仰っていますが、本作でも描かれている少年兵の存在を渡部さんも目の当たりになさったことがあるそうですね?

渡部 僕が戦場カメラマンになったキッカケは、アフリカで起こっていたルワンダ内戦です。そで偶然かち合ってしまった少年兵たち。そこでは、子ども達が自分たちの家族を守るため、そして強制的に連れ出されて武装勢力として戦わされていました。そんな子ども達の声を世界中の人に届けることが出来ないか?これが戦場カメラマンになったひとつのキッカケでした。アフリカでどの地域に入っても、血だらけになって泣いていたのは、小さな子ども達。両親を亡くし、兄弟を守るために銃を取らざるを得なかった。銃を持つのか?それとも自分の命を捧げるのか?想像が出来ない戦争の現状が、今日今の段階でも続いています。そんな声を聞くことが出来るのは、ニュースや様々なメディア。そして、この 『マシンガン・プリーチャー』 からも、アフリカの声が聞こえてくるかもしれません。

MC そして今日は、渡部さんが撮影なさった貴重なお写真をお持ち頂きました。

渡部 まずは、子ども達がたくさん写っている写真をご覧下さい。これは、スーダンのダルフールで撮影した写真です。子ども達が武装勢力の人たちに家を焼き払われ、家族を目の前で殺害され、母親と逃げ戻ってきた場所が難民キャンプ。そこでは、点在するキャンプ地で1万人にもおよぶ子ども達や女性達が暮らしていました。1日2回の食事を食べられれば良い。子ども達を診察するお医者さんは、1万人に対して1人しかいない。そんな環境で暮らしている子ども達も、時折笑顔を浮かべることがありました。そんな1枚を押さえた、スーダンで暮らしている子ども達の表情です。

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そして僕が持っている2枚の写真は、まさに武器を持っている、戦っている子ども達。ソマリアという国で、取材で密着していた子ども達の兵士です。彼らが武器を持っていた理由。それは、ソマリアでは今でも紛争が続き、無政府状態です。その中で自分達が暮らす地域、家族を守るために子ども達までもが武器をとり、守らざるを得なかったのです。その最前線で戦い、暮らしている家を守る、まだ中学生くらいの年頃の子ども達。世界では戦争が起こっている中で、現実として子ども達が戦い、そして子ども達が亡くなっていました。「その現状をカメラマンとして伝えていくこと」― これが、日々取材の中で心がけている大切な柱です。

MC 真に迫る貴重なお写真をありがとうございました。このような子ども達の姿が本作にも出て参りますので、しっかりとご覧頂ければと思います。

― では、最後にこれから映画をご覧になる皆さまに一言メッセージをお願いします。

渡部 日本とアフリカ大陸。地図上では遠い場所ですが、色々な関わりがあり、決して遠い国ではないと感じています。そのアフリカで、この21世紀に何が起こっているのか?そこで暮らしている子ども達がどんな生活を送っているのか?知っている方はそんなに多くないと思います。僕は取材でスーダンに何度も足を運びましたが、そこでは民族や宗教、資源によって戦争が起き、今でも不安定な状況が続いています。そしていつも犠牲になるのは、そこで暮らす子ども達。家を失い、お父さんを失い、砂漠の中を歩きながら難民キャンプまでやっと逃げ込んでも、そこは食料も医療も不足し、小さな子ども達が亡くなっていく。日本にいると、いったい何が起こっているのか分からない一面があるかもしれません。『マシンガン・プリーチャー』 からは、子ども達のリアルな思いがハッキリと聞こえてくると思います。スーダンの子ども達の声を聞いて下さい。

MC 貴重なお話をありがとうございました。

渡部 ありがとうございました!(退場時も丁寧なお辞儀をして去っていく渡部さんに、客席からは割れんばかりの拍手が贈られました)

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その後の囲み取材で渡部さんの近況をお聞きしたところ、アフガニスタンや東日本大震災の被災地へ取材に行き、現地の状況を報告する写真展をずっと行っていたということです。

渡部さん曰く 「カメラマンとして自分に出来ることは、写真を撮り、たくさんの方の声を聞いていくこと。震災から1年弱が過ぎ、復興に向かった復旧が1つひとつ進んでいますが、それでもこの寒い季節、まだまだ厳しい状況が続いています。そこで暮らしている方の声をこれからも継続的に聞き、そして伝えていくこと、動いていくことが大切だと感じています。今まで取材で出会った方々のところへまた何度も足を運び、どんな変化があったのかを聞き、伝えていきたい」 ということです。


『マシンガン・プリーチャー』 は、まもなく2月4日(土)より公開です。日本で暮らす私達には想像もつかないような厳しい環境で日々生きている子ども達がいること、そんな子ども達を自らの人生を捧げて救い続けている人物がいることを、本作をきっかけに知って頂けたら幸いです。


ただ、救いたい――。
拉致された子ども4万人の命。

『マシンガン・プリーチャー』

★2012年2月4日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国ロードショー!★

アフリカの大地に人生を捧げる男の真実の物語。

監督:マーク・フォースター
出演:ジェラルド・バトラー ミシェル・モナハン マイケル・シャノン

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