イベントレポート

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9/25 公開 『メッセージ そして、愛が残る』 トークイベント試写会が行われました!
2010年09月14日(火曜日)

『メッセージ そして、愛が残る』 (9月25日公開)のトークショー付試写会が9月13日(月)に行われ、精神科医の香山リカ先生をお招きして、「後悔しない人生の法則」についてお話頂きました。

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『メッセージ そして、愛が残る』 の原作は、「時を超えて」「天国からの案内人」などの邦訳で日本でも人気を集めているギヨーム・ミュッソのフランスで120万部突破という売上を記録したベストセラー小説。脚本に惚れこんだロマン・デュリス、ジョン・マルコヴィッチ、エヴァンジェリン・リリーの見応えのある共演で、愛すること、生きることの大切さを描く感動のヒューマンドラマです。

このトークイベントのお客様は、カップル限定。新婚さんや30代~50代のカップル、ご夫婦が多く、精神科医という視点から語られる香山先生お話に、皆さん真剣に耳を傾けていらっしゃいました。

― まずは、一言ご挨拶と映画をご覧になっての感想をお願いします。

香山 今日も病院での診療を終えて、何とか間に合ってやってきました。今日は皆さんのお話も聞きたいなと思います。映画は内容がずっしり詰まった感じで、映像が綺麗でしたね。

― 今日はお客様から事前に頂いた香山先生への質問をおりまぜながらお話を進めたいと思います。本作ではジョン・マルコビッチが死の時期が分かるメッセンジャーという役柄を演じていますが、先生は自分の命の期限が分かったとしたらいかがでしょう?

香山 そうですね・・色々人に謝らなくちゃ(笑)。色んな人に会いたいですね。新しく会うということではなく、友達やしばらく連絡していない人など、これまで会った人たちに会い、「自分の人生はこんなにたくさんの人たちに支えられてきたり、繋がりがあったんだな」 というのを確かめたいと思いますね。

MC ちなみに、自分の死の時期を知りたいです?

香山 若い頃は気づかないうちに・・・と思っていましたが、年齢を重ねてきた今は 「ある程度の時期を知り、やるべきことをやっておきたいな」 という心境になってきました。もちろん怖いですし、悲しい気持ちもありますが、誰でも迎えることなんですね。映画の中にも「死んだからといって消えてなくなるわけではない」というセリフがありますが、「亡くなったからと言って存在が消えてしまうわけではなく、残された人たちの心の中で生き続け、影響を与え続けているんだな」 と診療をしていてよく思いますので、自分自身がこの世界からいなくなることが、それほど怖い感じがしなくなってきましたね。

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― もし死を目の前にした人がカウンセリングにいらっしゃった場合、精神科医として、どのようなアドバイスや言葉をかけられるのでしょう?

香山 映画の中のケイ医師(ジョン・マルコヴィッチ)もそう言っていますが、寄り添うことしかできないんですね。死期を知ると、もちろん最初はショックで怒ったり、悲しんだりされますが、次第に自分なりに 「残された時間の過ごし方」 というものを考え、きちんとやり遂げてその時を迎えているなという印象です。人の心の中には、「自分の人生をいかに全うするか」 という力があるんだなと思うので、こちらが何か言う必要はなく、精神科医としてはその邪魔をしないことですね。彼らはきちんと自分と向き合い、自分なりに考え、「先生、人生ってこういうことなんですね」と教えてくれたりします。なので、辛い時期というのは、実は思ったほど長くないんですね。

― 本作ではロマン・デュリュス演じる主人公が死と向かい合うことによって 「人生において何が大切か」 に気付きますが、私達が生活していく中で大切なことに気づくコツなどはあるのでしょうか?

香山 診察していると「夫や子供などいなければ・・」というようなことを仰る方もいます。しかしその方々が本当にそう思っているかというと、今の感情だけでつい言ってしまっているだけなのです。嫌なことがあった時、今の瞬間の感情だけでなく、「その人が居なかった過去」や 「その人が居なくなってしまった未来」 という長い目でみて考えると、その一瞬も輝いて見えると思います。どうしても私達は、一時の感情で、欲しいものは欲しいとか、嫌なものは嫌と言ってしまいがちですが、その時の感情だけで決めつけず、カーッときている自分を別のところにカメラがあるつもりで、第三者の目で一歩引いた視点からみることが大切ですね。

― 本作の主人公と奥さんのように、一度離れてしまった相手の気持ちを取り戻すにはどうしたら良いでしょう?

香山 人間の関係性は、例えば「愛情」と一言で言っても、それはワンパターンではないと思うんですね。男女が熱く燃え上がり、好きで好きで仕方ないという愛情は、時間がたてば冷めるかもしれませんが、同じ時代を共有した友人のような、あるいは家族のような、50代、60代になって新たな魅力を発見し、再びデートする関係といったように愛情のパターンも関係性も変わってきて良いと思うんですよね。「愛している」 という言葉には、本当は色んな意味があるのに、そのバリエーションを表す表現があまりないんです。アメリカの方などは、「常に緊張感を保って綺麗にしましょう」 とか、「誕生日には薔薇の花を」 など言いますが、それは大変なことですよ。そこにエネルギーを使うのではなく、もう少し気楽な関係で良いのではないかと思います。

― 長く愛し、愛される秘訣は?永遠の愛を築くには何が必要でしょう?

香山 例えば、無償の愛とか万能の愛というものを求めすぎてはいけないと思います。今は、女性が自分の力で仕事や趣味や友達など色んなものを手に入れられるようになりましたよね。「後は何がないのか?」と考えた時に、何をしても受け入れてくれる、どんな時でも味方になってくれる人を望んでしまうんですね。しかし、これは実はハードルが高く難しいことだと思います。神様ではない限り、何をしても、いつでも許してくれるというのは、現実的にはありえないです。それでいて「私には出来ない」と言うんですね。相手も人間ですから、嫌なことを言えば傷つくし、無理なことを言えば無理と言うでしょう。神様でも、お母さんでもないのだから、何もせず、言葉で伝えずに与えられると思わないで、お互い持ちつ持たれつ、相手にも自分にも欠点があるということを理解することですね。

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― 最後の質問になりますが、後悔しない人生の法則があれば教えて下さい。

香山 診察していてつくづく思うのは、「人生には、勝ちも負けも、成功も失敗もない」ということです。「こういう生き方をすれば格好いい」 とか、「こういう人は勝ち組だ」 と、成功のモデルが特定されているような感じがします。でも、それは 「そういう人もいる」という、ただそれだけのことで、実は精神科には社会的な成功者と言われる人がすごく深い悩みを抱えてやってくることもあり、幸せって世間的な尺度とは違うんだなと本当に思います。病気で色んな自由が奪われているとか、人生の長さが人より短かいとか、仕事で失敗して社会的地位を失ってしまったからといって、「負け」ではなく、そういう中でも自分らしい生き方や楽しむ人生を送ることも出来ます。ですから、あまり「こうなったら失敗だ」「こうなったら後悔するんだ」と、決め付けすぎないことですね。「自分の人生を自分のものとして生きていくこと」 が後悔しない一番の生き方なのではないでしょうか。何か正解とか、何が不正解ということをたかが人間のレベルで決めるのは、すごく傲慢だと思いますし、決められるものではないなと思います。

MC 香山先生にそう言って頂けると勇気がわいてきます。皆さんにとっても人生をより良く送るヒントになったなら嬉しいなと思います。今日はありがとうございました。


永遠の別れが迫っている時、あなたはどう生きますか?

『メッセージ そして、愛が残る』

★2010年9月25日(土)より
TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー!★

遠く遠く愛を探して、いま君へと帰り着く。

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(C) Copyright 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS


監督 : ジル・ブルドス
出演 : ロマン・デュリス ジョン・マルコヴィッチ エヴァンジェリン・リリー
配給 : 日活


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