イベントレポート

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『ミッシェル・ガン・エレファント THEE MOVIE-LAST HEAVEN 031011-』 の完成披露試写会が行われました。
2009年12月15日(火曜日)

『ミッシェル・ガン・エレファント THEE MOVIE-LAST HEAVEN 031011-』 の公開(12/19~)に先駆け、ミッシェル・ガン・エレファントと親交の深いミュージシャンのちわきまゆみさんと、「MUSICA」 編集長・鹿野淳さんをお迎えして、トークイベント付完成披露試写会が、12月14日(月)シネセゾン渋谷にて行われました。

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この日のMCは、J-WAVEの番組でナビゲーターをつとめるSaschaさん。会場のお客さまよりひと足早く映画をご覧になったSaschaさんは 「6年前のすごい迫力が伝わってくる映画で、僕もラストシーンと同じ表情になってしまった」 との感想を語られました。

― まず聞いてみたいのですが、2003年10月11日、幕張メッセにいた方?(たくさんのお客様が挙手)結構多いですね~。

ちわき 鹿野さんは楽屋にもいたんでしょ?楽屋はどうだった?ちょっとピリッとしてたの?

鹿野 すごく静かでしたよ。ピリッとした感じではなく、すごく長いツアーだったので、その “終わり” をみんなで噛みしめていたから、本当に静かで柔らかい、そういう感じでしたね。全て終わってメンバーみんなが上半身裸でいる時は、なんだか温泉旅行にでも行っている4人という感じでした。相変わらずハイネケンを持って(笑)。

― ちわきさんはどんな思い出がありますか?

ちわき 10月11日は、ラジオで 「ミッシェル・ガン・エレファント特集」 をやるために、最後の音を聴いてすぐ飛び出し、スタジオに向かいました。あの日のことは、まだ整理しきれずにいるんですけど、この映画をみたら、あの時は思わなかった感情が出てきましたね。あの日はね、すごく楽しかったの。楽しくてあっという間のライブで 「もっとみたい!」 と思って終わったから、悲しくなんか全然なかったんだけど、この映画をみて色んなことをまた思いました。

鹿野 あの日のライブ後の打ち上げも異常に楽しそうで、解散するようなバンドの打ち上げ感が全然ないんですよ。たいていバンドが解散する時って、バンド自体は自分達で覚悟しているから楽しんでいるんだけど、ただ周りのスタッフとか友達とかがシクシク泣いていたりとかするもんだったりするじゃないですか。でも、あのミッシェルの最後のパーティはみんな笑っていました。

MC 僕はライブをみかえして、今の話とは真逆かもしれないけど、鬼気迫るものを感じました。

ちわき 今回の映画をみて、あんな顔の表情までライブではみていなかったから、“こういう表情を4人はしていたんだ” というところにちょっと胸を打たれました。

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鹿野 僕は、一番最後の本篇が終わったところで・・

ちわき 言っちゃダメだよ(笑)。

鹿野 アベくんが、あのアベくんが、あの鬼の形相のアベくんが、すんごい子供のような表情で画面に大写しになったんです。あれみた瞬間に 「良いものみせてもらったな、ロックを聴いてて良かったな」 と心の底から思いましたね。

― 日本のロックシーンにとってもすごく大事なバンドだったわけですが、いつかまた一緒にやるんじゃないかという気持ちってありました?

ちわき 私はなかったですね。たぶん、よっぽどお金に困ったらやるだろうけど(笑)、それはないんじゃないかなと思っていました。

鹿野 ああいうバンドってね、やってほしいと言われるとやらないんですよね。

ちわき そう!で、やってほしくないと言われると、やる(笑)。冗談で、お金なくなったら・・なんて言ったけど、本当は再結成したのを見たかった。残念ながらそれは出来ないですが・・。

鹿野 望まれているうちは、ずーっとしないんだろうなぁと思っていて、で、この時になっちゃっいました。

― ミッシェルは、この映画で形として残っていくことになりますが、せっかくなので彼らの表も裏も知るお2人に、思い出話をお聞かせ頂ければと思いますが、まず出会いはどんな感じで?

ちわき 私が最初に出会ったのは、大阪のラジオ局でインディーズ時代のミッシェルをかけている時で、たまたま 「これからデビューする新人バンドです」 って、チバユウスケくんを紹介されたんですよ。その頃は、すごく好青年な・・・

MC その頃 “は” ?(会場笑い)

鹿野 そんな時代があったんだ?

ちわき すっごい爽やかな青年で 「どうも初めまして。チバです。友達がちわきさんのファンでした」 みたいな感じで、声も今よりもっとかわいい声で、湘南ボーイって感じ。

MC 海風が吹いているような、爽やかな?

ちわき そこまではいかないかな~。でも、あんなにやさぐれて(笑)はいなかった!(会場爆笑)何かあるんだろうね、人生の別れ道は人それぞれね(笑)。

鹿野 僕は、インタビューが出会いでした。当時、“インタビューで一番喋らないアーティスト” って言われていたんです。だから難しいのかなって思っていたら、すごく楽しくて。で、最後に 「今日これから何をしたいですか?」って聞いたら、「今すぐこのインタビューをやめて、(目の前の)からあげを食いたい」 って言われて・・。“俺はこんなにこのインタビューを楽しんでいたのに、お前にとってはからあげ以下かよっ!” と大ショックをうけましたね(笑)。

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MC ヘコんだ思い出から始まったわけですね?

鹿野 っていうか、アタマきましたね、面白いですけど(笑)。そこから交流が始まったわけですが、ウエノはインタビューが終わると、後姿みせながら必ず 「よく書いておいてね~」 って言いながら去っていくの。あれ口癖なんでしょうね(笑)。

― そんな交流の深いお2人だからこその思い出深いエピソードもあれば、ぜひ!

鹿野 我々は2人とも“車ネタ” をもっているのですが、ちわきさんからいきましょうか。

ちわき まだ路駐が多少許されていた当時、下北沢で車を止めてご飯を食べに行きました。で、お店から出てきたら車の向きが180度逆になってたの。ビックリして 「下北沢ってロックシティだね~」 なんてラジオで言ったら、「それをするのは2つのバンドしかない」 というメッセージが入ってきて、BBSの書き込みで、どっちのバンドがどれだけヤンチャかみたいな合戦になったの(笑)。で、4:6の割合で 「車をひっくり返したのはミッシェルではないか」 と、彼らが勝利を得たんですが、その後 「んなことやってねぇよっ!」 とチバくんには言われました(笑)。

鹿野 でも、あの4人だったら出来ますよね。

ちわき アベくんがいたら出来ると思う。すっごい力持ちじゃん。そんな私の車ネタですが、これは彼らの名誉のために言っておきますが、全然違うただの大学生がやったことかもしれません(笑)。

鹿野 僕は、「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」 のレコーディングが終わって完成した日だったと思うんですが、チバくんから 「完成したから聴きに来いよ」って急に電話をもらったんで、車で高円寺に向かったんです。で、車をロータリーに停めて、おでんやの屋台で食事しながらメンバーと話をしていたら、アベがイイ気持ちになっちゃったみたいで、後ろの方から彼の声がするんですよ。「鹿野~、オマエの車カッコいいな~」 って。俺の車、安いんですけど黄色のイタ車で、声のする方をみてみたら、俺の車の上でアベくんが仁王立ちしているの。(会場大爆笑)

ちわき カッコいいね~。

鹿野 カッコ良くてそこまでは良かったんですが、彼さらに気持ちよくなっちゃったみたいで、車の上でジャンプはじめちゃったんですよ(笑)。で、車がい~ぃ感じになっちゃってねぇ。屋根とボンネットがアベ仕様に・・。まぁ、でもあの姿はカッコ良かったですよ。

MC 自分の車じゃなかったらサイコーですね(笑)。

鹿野 サイコーですね。次の日のアベくんの静かな謝罪(笑)の電話もサイコーだったんですけど。(会場爆笑)

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ちわき 謝罪あったんだ?!あんまり覚えていないこともあるじゃない?

鹿野 覚えてないことだらけだから、いつも人に諭されているんですよ、彼らは。で、49%のざまぁみろと、51%の申し訳ないがあるんですよ、彼らには(笑)。サイコーなヤツらだなって思いました。後、最後のツアーのひとつ前のツアーだったと思うんですが、リハーサルでニルヴァーナの 「スメル・ライク・ティーン・スピリッツ」 を4人でカバーしていて、「貴重なものをみたな」って思いました。ちなみにチバのカート・コバーンは結構良いんです。ただ、アベくんの 「スメル・ライク・ティーン・スピリッツ」 はイマイチなんですよ。アベくんって、あれだけのギターを弾くわけじゃないですか。あんなカッコいいギタリストいないでしょ?オリジナリティと、圧倒的な個人の存在感があるわけです。だから、ニルヴァーナやっちゃダメなんですよ。僕、逆にその時、アベくんてスゲーなって思いました。カッコいいな~って思わず思ってしまいましたね。

― 今も交流が続いていると思いますが、お2人にとってミッシェルとはどんな存在ですか?

ちわき 近所のヤンチャなおにーちゃん達って感じ。ミュージシャンとしてはちょっと後輩ですが、すごく心強いし、自分達の後輩のバンドやミュージシャンのことをさりげなく気にしていてあげているようなところがあって、自分達が表に出ない形で、後輩と深く接しているんだなというところを時々垣間見ると、すごくいいヤツらだなって思うんです。

鹿野 あれだけ意味のある音と歌を生み出していて、あれだけスタイリッシュなバンドは日本に中々いないんじゃないかなと思います。凄いなと思うのは、解散後ミッシェルをちゃんと止めた感じがするところです。新しいバンドで、まるっきりミッシェル臭をさせない、その潔さ。それだけミッシェル・ガン・エレファントのイメージを僕らファンに対しても、、やめた後までを守っている。カッコいい4人だなと思います。

― そのまさに分岐点となるライブでの色んな表情も楽しんでみて頂きたいのですが、アベさんの悲しいニュースがきっかけで立ち上がったTHEEプロジェクトで新しくミッシェルを知る人もいると思います。そのあたりは、どのような思いがありますか?

鹿野 きっとミュージシャンの方は、“自分が死んでも音源は死なない。自分が作ったものを誰かが感じ取ってくれたらいいな” と思うんじゃないかと思うんです。ミッシェル・ガン・エレファントもこうやって残っていって、そして繫いでいくのがみんなであり、僕らの役割だと思います。ベスト盤が16日に出ますが、時代的に全然風化していないことが明らかに分かるし、バンドとして実は色んな実験や試みをしていたり、今さらながらに分かることがあって、あの音楽は遊びどころと勉強どころが満載だと思います。

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ちわき 色んな番組で、「ミッシェルを初めて聴いてファンになりました」 というメッセージを頂くと、本当に嬉しいです。彼らってやっぱりすごくカッコいいバンドで、同じ業界人としては 「彼らを超えるバンドは、もう出ない」 とは言いたくないですが、残念ながら今あんなに業界に風穴をあけたバンドが現存しないので、ここは今一度ミッシェル・ガン・エレファントでガツンとやられて、みたことのない人は青春を感じて欲しいなと思います。

鹿野 あんな面倒くさそうな感じでいるにも拘わらず、色んな面倒くさいことに風穴をあけてきたバンドですよね。横浜アリーナでスタンディングやったりとか、そんなことばっかりやってましたもんね。

ちわき そう!「面倒くさいことイヤだ」 って言いながら、一番やってくれたのは彼らなのかなって思います。あと、このチームのスタッフのこだわりも凄くて、「誰もやったことがないことをやろう!バンドと共に同じ道を行こうよ!」 って言えるチームだったことも素晴らしいんじゃないかなと思います。

鹿野 スタッフも愛すべき面倒くさい人たちばっかりでしたね(笑)。

― では、最後にこれから映画をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

ちわき ミッシェル・ガン・エレファントは、出会った1995年から私にとって本当にカッコいい音楽をいっぱい胸に届けてくれたバンドです。今日は映画をみて、何か胸にグッとくるもの、それを忘れないで欲しいなと思います。

鹿野 僕は情報を。スペースシャワーで、年末28、29日の2日間、26時からそれぞれ2時間ずつ合計4時間、ミッシェル・ガン・エレファントの特番をやります。これは過去のスペースシャワーに出演したシーンの集大成になっています。ライブや我々が話したサイコーな彼らのトークなど色んなものがあると思いますので、ぜひとも楽しんで頂きたいと思います。そして、これからも、ミッシェル・ガン・エレファントとともに過ごした時間を一緒に大切にしていきましょう。


『ミッシェル・ガン・エレファント“THEE MOVIE”―LAST HEAVEN 031011―』

★12月19日(土)緊急レイトショー公開!シネセゾン渋谷ほか全国順次公開★

そのバンドと、そのライブは二度と見ることができない。
だからこそここに、永遠に体感できない狂乱のライブを焼き付けておく。
ミッシェルがスクリーンに永遠に刻まれる。

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企画 :能野哲彦 監督 :番場秀一 
出演 :THEE MICHELL GUN ELEPHANT
    (チバユウスケ、アベフトシ、ウエノコウジ、クハラカズユキ)
製作・配給・宣伝:日活株式会社 (C) Nikkatsu
協 賛:株式会社ブロー 株式会社ブレイン 株式会社リボルバー 株式会社ヘリオス

FOREVER MICHELLE! プロジェクト総合サイト
⇒ 4つのTHEEプロジェクト

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