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塩田明彦監督の初ロマンポルノ作品が【ロカルノ国際映画祭コンペティション部門】へ正式招待決定!
2016年07月13日(水曜日)

*45th ROMAN PORNO REBOOT*

製作開始から45年を経て、海外から高まる評価
日活ロマンポルノが《史上初》国際映画祭コンペ選出!

塩田明彦監督が日活ロマンポルノに初めて挑んだ最新作『風に濡れた女』が、現地日程8/3(水)より開催される第69回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門(the Concorso internazionale/International Competition)に正式招待されることが決定しました。

1971年の製作開始から今年で45周年を迎える日活ロマンポルノが28年ぶりに復活し、完全オリジナルの新作を発表します。本作『風に濡れた女』は、45周年ロマンポルノリブートプロジェクトの一環で製作された作品で、プロジェクトに参加するのは塩田明彦監督のほか、白石和彌監督、園子温監督、中田秀夫監督、行定勲監督ら第一線で活躍する監督陣。この顔ぶれに高い注目を集めるロマンポルノ新作ですが、すでに全監督作品がクランクアップし、5作品全ての完成は9月頃を予定しています。

塩田監督自身は、1999年に長編監督デビューした『月光の囁き』『どこまでもいこう』の2作品が、ロカルノ国際映画祭コンペティション部門へ正式招待されるなど、デビュー当時から本映画祭に注目されていました。 本作は、金豹賞(グランプリ)の対象となるメインコンペ部門への参加となることから受賞への期待も高まります。

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*演出中の塩田明彦監督


また、1971年~1988年の17年間に製作されたロマンポルノ作品群を含め、日活ロマンポルノ作品が国際映画祭のコンペティション部門へ招待されるのは、本作品が"初"。製作開始から45年を経て、日活ロマンポルノが成人映画レーベルの枠を超えた「映画作品」として世界に評価された結果を伝えるものとなります。


中川梨絵さん主演作『恋人たちは濡れた』が【Histoire(s) du cinema部門】に!

さらに本映画祭では、1973年に製作された神代辰巳監督のロマンポルノ代表作のひとつ『恋人たちは濡れた』が、Histoire(s) du cinema部門にて上映されることも決定しました。

本作は、今年6/14に逝去した女優の中川梨絵さん主演代表作であり、スイス・ロカルノの地での思いがけない追悼上映となります。塩田監督の『風に濡れた女』は、この『恋人たちは濡れた』をリスペクトした作品で、本映画祭は両作品を鑑賞していただける、またとない機会となりました。

ロカルノ国際映画祭の受賞の発表は、ロカルノ現地日程8/13(土)です。


『風に濡れた女』(2016年製作、塩田明彦監督)作品概要                    
ある昼下がり、リアカーを引き海辺を歩いていた男の横を、自転車に乗った若い女が横切る―
リアカーの男は、都会の喧噪をさけ山に小屋を建て住んでいる高介(永岡佑)。過去から逃げるように、今は静かな生活を楽しんでいる。自転車の女は、汐里(間宮夕貴)。高介の目の前で海につっこみ、今晩泊めてくれと交渉を仕掛けてくる。話を聞こうともしない高介に、汐里は濡れた肢体を惜しげもなくさらけ出し「5000円でいいよ」と告げ、高介に野良犬のようにまとわりつく。生命力と性欲を持て余し、野性味溢れる魅力を放つ汐里との出会いによって、高介は欲望の渦に巻き込まれていくはめに...
主演を間宮夕貴(『甘い鞭』)と永岡佑(TBS「重版出来!」)のふたりが務め、塩田明彦監督が、欲望に純粋な女と無欲な男の躍動感あふれる駆け引きを軽妙に描く初ロマンポルノ作品。

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*『風に濡れた女』場面写真


『恋人たちは濡れた』(1973年製作、神代辰巳監督) 作品概要
過去を封印した男が故郷に舞い戻り、町の住人に疑われながらも他人として生きていこうとする。そこで出会った1組の男と女。海辺の裏寂れた町を舞台に3人の若者たちの青春を描く。主演は濡れた妖精・中川梨絵。70年代特有の若者の浮遊感、倦怠感を切り取った神代辰巳監督の初期ロマンポルノの傑作。2015年に行った映倫再審査により「R15+」指定作品となった。


塩田明彦監督(54)コメント

(ロカルノ国際映画祭からの正式招待について) 
限られた予算と撮影期間、武器として手にしているのは俳優たちの肉体と存在感のみという状況の中で、いかに私たち人間が生きることのすべてを映画の中で描き出すか、それこそが、かつて日活ロマンポルノに関わるすべての作り手と俳優たちが全力を挙げて取り組んだことの全てであり、そこから多くの傑作・名作が産み落とされたことは、いまや日本映画の常識と言ってもいいいかと思います。しかしその歴史は、必ずしも順風満帆だったわけではありません。初期においては映画表現のわいせつ性をめぐって警察権力から度重なる告発を受け、長期にわたる裁判闘争も行われました。いわゆる成人映画というものに対する世間の視線も決して温かいものばかりだったわけではないはずです。だからこそ、私の新作がいまこうして由緒あるロカルノ国際映画祭の場で上映されることには、強く心揺さぶられるものがあります。拙作『風に濡れた女』に対するロカルノ国際映画祭からの評価はまた、これまで積み重ねられてきた日活ロマンポルノの歴史そのものへの評価でもあると思われるからです。その評価のきっかけとして拙作『風に濡れた女』があることをなにより光栄に感じております。

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*『風に濡れた女』主演の永岡佑(左)、間宮夕貴(右)

 
(神代監督『恋人たちは濡れた』が同映画祭で上映されることについて) 
今回、『風に濡れた女』と共に、神代辰巳監督の『恋人たちは濡れた』も上映されると聞いたときには心震えました。これは僕が日活ロマンポルノとしても、神代辰巳監督作品としても最も好きな作品のひとつだからです。俳優たちの肉体と、その動きこそが映画に奇跡の一瞬をもたらす、ということをあの映画は僕に教えてくれました。一度観たら決して忘れることの出来ない映画であり、日活ロマンポルノの驚くべきクオリティの高さを世界映画界に対して証明するためにも、最もふさわしい映画の一本なのではないかと考えております。また先日、惜しくも亡くなられた女優・中川梨絵さんを追悼するという意味でも、この上映には強い意義を感じております。今回の上映によって世界が再び、神代辰巳と中川梨絵という偉大な日本の才能を見いだすということ、そして、それが今後の日活ロマンポルノの歴史そのものの再評価へと繋がることを、その末席を汚す映画人として強く期待しております。

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塩田明彦監督 プロフィール
1961年、京都府生まれ。立教大学在学中より黒沢清、万田邦敏らと共に自主映画を制作。その後、多数のロマンポルノ作品で脚本を手掛ける大和屋竺の下で脚本を学ぶ。劇場映画デビュー作『月光の囁き』(99)と『どこまでもいこう』(99)がロカルノ国際映画祭に正式出品。2001年、宮崎あおい主演『害虫』(02)でナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を獲得。『黄泉がえり』(03)、『どろろ』(07)が興収30億円を超えるヒットを記録するなどメジャー大作も多数手掛ける。著書に『映画術・その演出はなぜ心をつかむのか』(イーストプレス)、『映画の生体解剖×映画術 何かがそこに降りてくる』(Amazonにて電子書籍として販売中)など。近年の作品として『抱きしめたい』(14)などがある。

映画祭歴
1999年、初の長編映画『月光の囁き』が、第52回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門のほか、さまざまな国際映画祭に招待
される。同年『どこまでもいこう』が、第52回 ロカルノ国際映画祭をへて、第22回ナント三大陸映画祭審査員特別賞を受賞。2000年には『ギプス』が、ドーヴィル・アジア映画祭ビデオ部門グランプリを受賞する。2001年、宮崎あおい主演作の『害虫』が、第58回ベネチア国際映画祭の現代映画部門に正式招待をうけ、さらに第23回ナント三大陸映画祭ではコンペティション部門にて審査員特別賞受賞を受賞、宮崎あおいが主演女優賞に選ばれている。2004年には『カナリア』が、第13回レインダンス映画祭でグランプリを受賞。2007年に『どろろ』が、第40回シッチェス・カタロニア国際映画祭Orient Express部門(全アジア映画)で最優秀賞を受賞している。
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第69回 ロカルノ国際映画祭 現地日程 2016/8/3~13開催
1946年に設立され、今年で第69回目を迎えるロカルノ国際映画祭は、スイス南部のティチーノ州ロカルノで毎年8月に開かれる国際映画製作者連盟公認の映画祭。現在では観客が19万人ほど集まるイベントに成長し、ジャーナリスト1千人、映画業界関係者3千人が世界中から集う、ヨーロッパを代表する国際映画祭。同映画祭では12部門中コンペティション部門が3部門あり、映画製作の芸術的技術の向上を目的として上質かつ多様な作品を募集。ワールドプレミアとなる最新作や、映画史に残る名作を上映する特別イベント、世界的に活躍する監督や新しい視点を表現する若きインディペンデント映画監督の作品まで多岐にわたって作品が集められ、11日間で約500本の映画や、ショートフィルムが毎年上映されている。
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コンペティション部門
『風に濡れた女』(2016年製作、新作ロマンポルノ)
 監督:塩田明彦 主演:間宮夕貴 永岡佑

Histoire(s) du cinema部門
『恋人たちは濡れた』(1973年製作、旧作ロマンポルノ)
 監督:神代辰巳 主演:中川梨絵 
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ロカルノ国際映画祭プログラム・ディレクター/マーク・ペランソン
日本の映画業界が、再びロマンポルノリブートというプロジェクトの名の元に、日本映画の大事な歴史を繰り返してくれることを大変嬉しく思っています。ロマンポルノというジャンルは、その名前から誤解されることも、嘲笑されることも多かったのではないかと思います。しかし、実際には多くの偉大な監督たちが、初期のキャリアを積んだ場所であり、今度はその場所で、今の時代の監督たちがどのような偉業を成し遂げてくれるのかを見ることがとっても楽しみです。『風に濡れた女』は、憧れの作品にオマージュを捧げつつも、ロマンポルノというジャンルの新しい第一歩を踏み出しており、大変感銘を覚えました。

ロカルノ国際映画祭プログラム・ディレクター/カルロ・シャトリアン
『風に濡れた女』は、平凡な撮影技法を使わずチャレンジングな方法で、女と男の関係を大胆に描写したなんとも破天荒な作品です。私にとって本作は、ロマンポルノへのトリビュートであるという以上に、新たな1つの作品として際立った存在だと捉えています。塩田監督のオフビートな笑いは、人々の心の扉を開く素晴らしいものだと思います。


2016/11/20に45周年を迎えるロマンポルノとは?
「日活ロマンポルノ」は、日活が1971年に打ち出した当時の映倫規定における成人映画のレーベルです。 1971/11/20『団地妻 昼下りの情事』(西村昭五郎監督/白川和子主演)と、『色暦大奥秘話』(林功監督/小川節子主演)の2作品が初めて公開。「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」などの一定のルールと製作条件を守れば比較的自由に映画を作ることができたため、チャンスを与えられた若手監督たちは限られた条件の中で新しい映画作りを模索し、さまざまな表現に挑戦できました。また、通常3本立ての公開を維持するため量産体制を敷いたことにより若い人材の育成を促進。中平康、鈴木清順、齊藤武市、今村昌平らのもと助監督として経験を積み、ロマンポルノの中で作家性を発揮した監督として、神代辰巳、小沼勝、加藤彰、田中登、曽根中生といった才能が生まれ、あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、男性向けに作られながらも、女性とその生き様を深く美しく描くことを極めていきました。このほか、ロマンポルノから出発した監督として、村川透、根岸吉太郎、金子修介、石井隆といった方々がいます。製作終了した1988年までの17年間に約1,100本もの作品を継続して公開し続けた結果、映画史において最もセンセーショナルな作品レーベルとして、現在も国内外で高く評価されています。

新作製作 powered by BSスカパー!
2016年ロマンポルノが生誕45周年を迎えるにあたり、これまでロマンポルノ作品を監督していない第一線の監督たちによる完全オリジナルの新作ロマンポルノを、BSスカパー!をパートナーとして製作開始しました。さらに、新作の劇場公開に併せて、BSスカパー!(BS241/プレミアムサービスCS585)にてR15+版の放映を行います。 


日活ロマンポルノ公式サイトはコチラ
※18歳未満閲覧禁止


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