GUEVARA ProductionNote
BUENA VISTA SOCIAL CLUB
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ProductionNote

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』ことの次第


「ライ・クーダーと『エンド・オブ・バイオレンス』の音楽を作っていた時、彼はいつも僕に、キューバ音楽の素晴らしさ語って聞かせ、一刻も早くハバナに戻りたそうにしていた」20年来の友人のただならぬ興奮に興味を抱いていたヴェンダースは、アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のレコーディングを終えて戻ってきたライから、ラフ・ミックスのテープをもらった。この音楽に忽ち魅了され、数ヶ月間テープを聴き続けたヴェンダースは、「今度君が行く時は知らせて欲しい。僕も一緒に行くから」とライに申し出た。その話は2年後実現することになる。1998年「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメンバーである’黄金の声の持ち主’イブライム・フェレールのソロアルバムのレコーディングに合わせて、彼らはキューバに向かうことになったのだ。

アムステルダム:歌姫の涙・・・・・・
ロビー・ミュラーがとらえる奇蹟の瞬間


アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の世界的な大成功により、バンドはアムステルダムに招かれる。ここでのコンサートにライ・クーダーは勿論、ヴェンダース以下撮影スタッフも同行した。イブライム・フェレールと歌姫オマーラポルトゥオンドが失った愛の物語をデュエットで歌う・・・”私の庭にはチューベローズ、バラ、白百合が咲いている。私の心はとても悲しく、重い。この心の痛みを花々には見せたくない・・・”。バラードを歌うオマーラの瞳からは涙がこぼれ、イブライムが恋人のように寄り添い、そっと優しく涙を拭う。キューバ音楽のソウルが凝縮した煌めく瞬間をロビー・ミュラーが絶妙にカメラに納めるこのシーンは、映画の中でヴェンダースが最も気に入っているという。

マレコン通りの波飛沫・・・・・・
歴史と音楽を切り放すことのできない、ミュージシャンの生き様

母の形見である黒檀のステッキについて思いを語るイブライム・フェレール。その天才的な音楽性と同様に、現実離れした活力に溢れるコンパイ・セグンド。伝説的なピアニストでありながら、引退して、家にはピアノさえなかったというルベーン・ゴンサレス。彼女をヒロインにして映画を撮りたいとヴェンダースにいわしめるオマール・ポルトゥオンド。アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の演奏者たちの素顔は、その音楽と同様に優雅で気品に溢れ、それでいて愉快で慎ましやか。そしてレコーディングの合間、キューバの風を全身に受け、バイクを走らせるライ・クーダーと息子のヨアキム。音楽の楽園の太陽が、風が、光が、ミュージシャンたちの顔にこれ以上ない輝きを与える。

至福の時・・・・・・ ニューヨーク、カーネギーホール

ヴェンダースもライ・クーダーも、カーネギーホールのコンサートに関しては当初、半信半疑だったという。しかし「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のマジックは、憧れの殿堂でのセッションを現実のものとした。本やテレビでしか知らない、或いは数十年ぶりに、アメリカに降り立つミュージシャンたちの興奮、不安、奇蹟の瞬間が カメラに収められる。ルベーン・ゴンサレスは、エンパイア・ステート・ビルディングに登り、自由の女神の小ささを訝しんでいる。夜の闇ときらめくマンハッタンの喧燥が、初めてアメリカの地を踏んだイブライムを刺激する。「私には想像すらできなかった」空を見上げ、辺りを見回し彼は言う「私はニューヨークに魅了された」と・・・。いよいよこの素晴らしい旅のフィナーレを飾るコンサートの幕が上がる。「チャン・チャン」の大合唱が超満員のホールにこだまし、拍手が鳴り止まない。その至福の時は、スクリーンを見つめる観客に、このまま映画が終わらぬことを祈らせる。

世界中がキューバ・ブームに沸く!!

ライ・クーダープロデュースアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は記録的なヒットをとばし、97年グラミー賞を獲得。加えて、各国での相次ぐ、映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の公開により、現在でも世界中のチャートを賑わせ、そのセールスの枚数は、すでに150万枚以上を記録している。その勢いは音楽・映画だけでなく、ファッション界や観光でもキューバに注目が集まり、世界中でキューバ・ブームを巻き起こしている。さらに、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバー、イブライム・フェレール、ルベーン・ゴンサレスらは、アメリカでツアーを実現し、そのチケットは、音楽関係者でも手に入らないプレミアチケットとなっている。ドイツでは映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がドキュメンタリー作品では初の50万人を動員し、パリやミラノでも大ヒットが続いている。日本でも、ラテンダンスブームからじわじわとキューバ音楽が注目されはじめ、今回、待望の映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がいよいよ公開の運びとなった。

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