恋人たちは濡れた
こいびとたちはぬれた
故郷の海――それは高なる愛のうねり! 女の誘いが、やさしい愛撫が甘酸っぱい俺の過去を呼びさます…
神代辰巳監督による青春映画の歴史的傑作。ロマンポルノ初心者にもお勧めの1本。
【解説】(「生きつづけるロマンポルノ」特集上映時資料より)
 海沿いの田舎町にやって来た克は、映画館のフィルム運びの仕事を始める。どうやらこの町は克の故郷であるらしいのだが、「お前、克だよな?」と町の住人がいくら詰問しても、母親を連れて来ても「俺、この町は初めてだよ」とヘラヘラ笑うばかりだ。克と関係を持つようになった映画館主の女房が、彼の過去に興味を抱くが…。
 “70年”の残像が残った時代独特の若者の浮遊感、倦怠感を見事に切り取った神代辰巳の異色作。共同脚本の鴨田好史の心象が反映された本作は、ロマンポルノにおける神代作品の中で唯一の“男の映画”である。

【解説】(当時のプレス資料より)
 五年振りに故郷の土を踏んだ男。その男を迎えた故郷はドス黒く荒れた暗い冬の海であった。この海がその男の過去であった。
 男が故郷に帰った時、生きる望みを失った男の死を待つ姿があった。女の誘いも、男の友情も、母も、それは遠く離れた過去の思い出しかなかった。そんな一青年の暗い青春を描く日活ロマンポルノ注目の話題作。
 監督は昨年度日本映画界に新風を注ぎ込んだロマンポルノの騎手神代辰巳。主演は濡れた妖精・中川梨絵、房総の海にその青春を賭ける愛のドラマです。
日本
日活
1973
1973/3/24
カラー/76分/ワイド・サイズ/7巻/2073m
日活ロマンポルノ公式サイト