清純派・芦川いづみがコールガールに転落し、男から男へと遍歴を重ねていく女に体当たりで挑んだ異色作。円地文子の原作を中平康のメガホンで映画化。
鶴川島子は引っ込み思案の性格が災いして、母や姉弟の面倒をみているうちに婚期を逃してしまった30歳のOL。会社の同僚・幹子の結婚式に出席した島子はその帰り道、思い切って結婚相談所を訪ねた。女所長の力は島子の希望を聞くと、さっそく早川という男を紹介した。近々、米国の支店に転勤するサラリーマンだという。見合いをした島子は彼に好感を持った。しかし翌日、早川は断りの通知を寄こした。別のところで資産家の令嬢とお見合いしたというのだ。すっかり恐縮してしまった力は矢吹という電気店を開こうとしている男を島子に引き合わせた。だが矢吹もつまらぬ理由で断ってきた。すっかり落胆してしまった島子に、力は言いにくそうに日高のことを話した。50に近い初老だが地方で大きな果樹園を経営し、奥さんを亡くして東京に住みたがっているとのこと。見合いをしてみると、その落ち着いた風格と父親のような優しさに彼女の心はほだされ、その夜、ついに処女を捧げてしまう。翌朝、やっと幸せをつかんだと満足そうな島子に、日高は結納の代わりだと2万円を渡すのだった。だが、これにも意外な破局がやってきた。実は日高には妻子があって、2万円はあとあと問題が起こらないための口封じだったのだ。しかも、結婚相談所というのは名ばかりで、実はコールガール斡旋業だったことがわかり…。