帰ってきた狼
かえってきたおおかみ
灼熱の海をバックにビートのきいたエレキのリズムに乗せて、若い世代のエネルギーの爆発を新鮮なタッチでダイナミックに描く青春ドラマ。
“磯釣りの実業家、葉山で溺死”―晩秋のある朝、純は新聞で江木俊之助の死を知った。だが純には、それが溺死ではなく他殺で、誰によって殺されたのかも判っていた。佐伯リカが純の前に現れたのは、純の一家が葉山へ避暑に来て数日後のことだった。一日中標本いじりばかりしていた純が、両親に促され仕方なく海岸へ出かけると、海水浴客の中にヨットが突入してきた。そのヨットに立つ派手なビキニをまとった小麦色の美しい女を見たとき、純は彼女が父の知人の娘リ力だとすぐにわかった。怒鳴りながら海へ飛び込む監視人をみて、ヨットを岬へ廻すようにリカに数えた男は、混血の雪三という青年だった。その夕方、純のヴィラでひらかれたリカの歓迎晩さん会に、純の希望で雪三も同席した。去年の夏、雪三はホテル屋の江木を刺した。江木は土地を売収し、部落民の雪三たちを追い出した。葉山に育ち、海を心から愛している雪三は、浜辺を喧騒の巷に変えていった江木がどうしても許せなかったのだ。純は無口な雪三に好意をおぼえ、リカも雪三の素性を聴くと、燃えるような眼差しを雪三に注いだ。リカは、雪三の心をあおるように純に優しくしたかと思うと、今度はわざと眠ったふりをして雪三に接吻させ、純の嫉妬心をかきたてた。ある日、リカと雪三が踊っているホールに江木が入ってきたのを見たリカは、雪三に「やるの!?」とけしかけるように言うが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1965
1966/5/11
モノクロ/78分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2128m
日活
【神奈川県】葉山町(森戸海岸一帯)