何処となくあてのない一人旅を続けている大島竜次は、心ならずも花岡組の刺客三兄弟を斬ったために刑に服した――出所した竜次は、大島組に立ち寄らず再び旅修業に出かけ、とある高市に着いたが、そこで善良な商人たちをいじめぬいている浅川一家代貸利助の非道ぶりを見かねて商人たちをかばった。その足で竜次は親分の浅川を訪ねた。浅川は竜次の亡き父庄三郎の代に舎弟分として親しかった人だったが病床にあった。竜次は浅川親分との再会を喜ぶが、街に着いてからの出来事を詳細には語らず、名代として高市を仕切らせてほしいと頼んだ。可愛い子分の利助に任せていた浅川は「宮園の高市は俺の縄張りだ。俺のやり方に不服でもあるのか…」と問い詰めたが、「わかっております…。しかし強いて私の口から云えと仰いますか」竜次の強い口調と眼差しに浅川は折れ、そこへ帰ってきた利助にも言い含めるのだった…。