執炎
しゅうえん

愛に生き、愛に死んだ一人の女を通して、人間の精神の美しさを追求した異色文芸大作。浅丘ルリ子出演百本記念。芸術祭参加作品。

日本海の波が打ち寄せる山陰の浜辺で、一人の女が命を断った…。7年後の今、その激しくも狂おしい熱情を讃え美しい供養が営なわれていた。浜の男拓治(伊丹一三)が初めてきよの(浅丘ルリ子)に会ったのは、13の時であった。やがて水産学校を卒業した拓治は再会したきよのに、神秘的な美しさを感じた。きよのは山奥にある平家集落の娘であったが、二人の愛情は古い因習を破って結ばれた。二人の結婚生活は、戦争のため中断を余儀なくされる。厳しい戦局の中、拓治は佐世保で傷病生活を送っていた。右脚を損傷した拓治はやつれはて、きよのの看病で奇蹟的に回復した。闘病生活の山小屋で、2人の笑い声が日増しに聞こえるようになった。漁師として逞しく働きだした拓治ときよのは、戦争の恐怖におののきながら、狂ったように愛を確かめあっていた。そんな時きよのは親友の泰子(芦川いづみ)の夫が戦死したのを聞き、恐怖から拓治への独占欲が深まっていった。ついに、拓治のもとに赤紙が舞いこむ…。

日本
製作:日活 配給:日活
1964
1964/11/22
モノクロ/120分/シネマスコープ・サイズ/11巻/3302m
日活
【福井県】越前町(越前海岸)
【富山県】南砺市(旧礪波郡上平村) 
【石川県】輪島市 
【兵庫県】美方郡香美町(余部鉄橋、余部村)