すべてが狂ってる
すべてがくるってる

苛立つ若者たちが破滅へと突っ走る姿を、自在に動き回る手持ちカメラとファンキーなジャズに載せて描いた鈴木清順監督作品。吉永小百合がワンカットだけ出演している。

暑さにうだる盛り場の表通りを気だるそうに歩く宮本信久をリーダーとする高校生のグループは、タカリ、婦女暴行、カッパライなどを平気で犯す不良グループだ。その中にいる暗い陰を持つ少年・杉田次郎は、映画館で漁った少女を乱暴しようという誘いを背に、家路についた。だが家に帰っても、母への不信から次郎の気は晴れなかった。次郎が幼いころから南原という男の援助を受けている母・昌代は、現在でも南原と結ばれている。そんな母に対し、次郎は少年の潔癖さから不快の念を消すことが出来ず、冷たい目を見せた。家を飛び出した次郎は、むしゃくしゃしてアべックを襲い、金をまきあげた。その足でグループの溜り場に現われた次郎は、無造作に5枚の千円札を出した。グループでは、大きな仕事をした者ほど巾がきくのだ。グループには、次郎に思いを寄せる谷敏美という女がいた。次郎は敏美を誘うと狂ったように情痴の限りをつくしたが、好意を寄せる敏美にも冷たく千円札を叩きつけ、そこを飛び出した。何をしても気の晴れない次郎は、暗い表情で夜の町をさまよった。昌代から次郎のことを聞いた南原は、自分たちの関係を理解してもらうため、夜の盛り場で次郎を捜し歩いた。そこでグループのひとり悦子から、翌日次郎と逗子海岸へ行くことを聞いた。しかし、次郎を待つ南原の前に現われたのは、「私を買って」と迫る悦子ひとりだった。お金のために自分を傷つけてはいけないと諭す南原。そこへ敏美から事情を聞いた次郎が母・昌代をつれて現われ…。

日本
製作:日活 配給:日活
1960
1960/10/8
モノクロ/72分/シネマスコープ・サイズ/6巻/1947m
日活