にあんちゃん
にあんちゃん

空前のベストセラーとなった十才の少女の日記を映画化。貧しさに負けず、明るく逞しく生きる兄弟愛を描いた感動巨篇。芸術祭参加作品。

昭和28年春。佐賀県にある鶴の鼻炭鉱でストライキが行われている最中、安本一家の大黒柱である炭鉱夫の父親が、息を引き取った。残された喜一、よし子、高一、末子ら子供たちは父に死なれた悲しみよりも、明日からの生活への不安に胸をしめつけられていた。20才になったばかりの喜一が小さな弟や妹たちを養ってゆくなど、この不景気な炭鉱村では無理な話だ。事実、喜一は最低賃金の特別臨時の職にしか就けなかった。近所の長屋の人たちも、皆その日暮らしの苦しい生活をしていた。子供たちは学校に弁当も持っていけない状態で、末子や高一(にあんちゃん)も昼休みは校庭の片隅でお腹を抱えていた。若い保健婦・堀かな子は、彼らをどうにかしてやれないか末子の担任教師・桐野に相談したが、同じ境遇の子は沢山いると言われてしまう。不景気は続き、喜一が失業した。一家共倒れの悲劇を防ぐため、喜一は高一と末子をどこかへ預け、良子と自分は給料の良い長崎に働きに出かけることを決心した。高一と末子は炭住街の辺見家に引き取られたが、給料の遅配で辺見家も生活が苦しく、気がねして食事をあまりとらなかった末子が、とうとう栄養失調になってしまった。村では赤痢が発生し、末子も罹病した。やがて病魔は去ったが、どん底生活に喘ぐ炭鉱村に決定的な悲劇が訪れた。会社は、廃坑を宣言したのだ。人々は山を下り、高一と末子は関さんの家に引き取られたが、食物もひどく、鼻をつく異臭のする汚い堀立小屋に我慢出来なくなった二人は、とうとう夜逃げしてしまい…。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/10/28
モノクロ/101分/シネマスコープ・サイズ/8巻/2769m
日活
【東京都】千代田区(東京駅)/中央区(西銀座駅入口)
【高知県】四万十町(平串駅)
【佐賀県】唐津市(唐津城跡、舞鶴公園、唐津駅ホーム、駅前広場)
【長崎県】北松浦郡福島町(現・松浦市)(中興鉱業鶴之鼻鉱業所)