祈るひと
いのるひと

『佳人』『絶唱』の名匠・滝沢英輔監督が「若い女性」に連載された田宮虎彦の小説を映画化。女の幸福の行方を、流麗のタッチで描いた純愛巨篇。

女の幸福は結婚によって得られるもの。しかし、結婚したからといって必ずしも幸せになるとは限らない…。三沢暁子が蓮池弘志との見合いをためらっていたのは、そうした結婚への疑問が心に深く根を下していたからだ。亡き父・恭介は有能な国文学者だったが、妻や娘に優しい言葉や思いやりをかけることのない冷たい男だった。物心つくようになると、暁子は父母の間に吹く冷たい風に気づいた。母の女としての悲劇を淋しく思っていた暁子は、父と母のような結婚ならしたくないと考えていた。ある日曜日、暁子は母・吉枝の友人・薄井常子の勧める蓮池と見合いをした。食事をし、映画を観ると「明日の正午ここで会おう」と言うなり、蓮池は返事も待たずに去ってしまった。母と常子は彼を男性的だとほめたが、晩子は好意を持てなかった。翌日、暁子は蓮池と会わずに幼友達の喜代を訪ねると、ミツも来ていた。三人は戦争中疎開した房州での仲良しで、幸代は西島と、ミツは漁師の三次と結婚していた。暁子は幸福な結婚生活を送っている喜代とミツをみて嬉しく思い、羨ましくも思った。その夜、暁子を責めにやってきた蓮池に「約束はしていない」と伝えたところ怒って帰ってしまったが、暁子はそんな連池に益々好意が持てなくなった。暁子は、父の友人・国文学者の佐々木篤の助手をしていた。ある日、教授と一緒に書類整理をしていると、生前の父の写真や随筆などが出て来た。そこには、にこやかな明るい表情の、暁子の知らない別の父の姿があった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1959
1959/2/11
モノクロ/97分/シネマスコープ・サイズ/11巻/2667m
日活
【東京都】杉並区(永福町駅)/新宿区(牛込、新宿駅)/中央区(築地、銀座)/世田谷区(経堂、下北沢)/千代田区(丸の内)/港区(神宮外苑)
【千葉県】船橋市(中山競馬場)/鴨川市(鴨川港外・仁右衛門島)/▲(房州海岸)