傷痕の掟
きずあとのおきて

ひとたび踏み込んだら逃れようのない、野獣の掟のようやヤクザの世界の泥沼にあえぐ兄弟の愛情の哀れさと悲しさを描く異色アクション篇。

“暴力団”といわれる中にも、昔からのやくざ、テキヤ、愚連隊という区分がある。その三者が盛り場で、日夜縄張り争いを続けている。今日も浅草の裏街でやくざと愚連隊の出入りがあり、チンピラ風の男・駿が追われて逃げ廻っていた。切羽詰まった駿は、島津組の兄貴株である兄の周治のところにかくまってもらおうと飛び込んだが、周治は「やくざの仁義は親兄弟でも曲げられない厳しいものだ」と冷たかった。駿は高田組のやくざに捕えられ、リンチを受けた。弟のみじめな姿を見ても、周治にはどうすることも出来なかった。駿は指を詰めることになった。マナ板の上に小指が乗せられ...そのとき高田組の親分が顔を出した。指を詰める代わりに東神社長・梶川剛造を殺し、その後は神戸の津川組を頼って台湾へ飛ぶよう言われた。3日後の午後11時、大和ホテルの真暗な二十四号室にすべり込んだ駿の顔は青ざめ、額には汗が吹き出ていた。と、突然灯がつき、慌てた駿はビストルを取り出すと一発、二発と撃った。しかし安全装置をはずし忘れ不発だったため、その間に梶川の手にはビストルが握られていた。「今日のところは見逃してやろう」という相手の貫禄に気押され、駿は外へ出た。数歩離れたそのとき、二十四号室でピストルの音がした。慌てて部屋へ戻ると、梶川が血の海の中で死んでいた…。

日本
製作:日活(民芸映画社) 配給:日活
1959
1959/1/3
モノクロ/7巻/1919m/70分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】中央区(銀座夜景)/台東区(浅草寺夜景、仲見世)/港区(新橋・第一ホテル前)/千代田区(ニッポン放送付近)