姿なき顔役
すがたなきかおやく

土曜日の夜、次々と起こる強盗事件、網の目のように張られた陰謀の罠。“土曜日の男”の正体とは?
島田一男の傑作小説を息もつかせぬスリルとサスペンスで描いた異色アクション篇。

土曜日の夜に限って次々と強盗事件が発生。警視庁では犯人を“土曜日の男”と名付けた。捜査が進むにつれて、強盗に襲われた会社には少年院帰りの男が必ず勤めていることが判明した。ところが彼らには、事件の夜に限って完全過ぎるほどのアリバイがあった。警察は、少年院出の男達の補導に力を尽くしている高見花店の主人・謙吾の力を借り、男達をしらみ潰しに調べていった。精密機械会社に勤める南原信彦も、少年院出の男だった。倉庫係主任の岡崎に拾われ真面目に勤めていたが、刑事の訪問によって彼の幸せな日は陰り、刑事の冷たい目に激しい怒りが込み上げて来た。ある日、笙子という若い女が「今晩七時、コペールというキャバレーに来てください」と信彦に声をかけてきた。コベールには女給姿の笙子と、少年院時代の仲間・小橋とその兄貴分の坂井がいた。小橋は“土曜日の男”は自分たちだと言い、信彦の会社のプラチナを盗るため倉庫の鍵を貸せと要求してきた。「もし断ったら、俺ばかりじゃなく姉さんも危ない…」そう思うと信彦は、岡崎にも警察にも、兄と慕う高見にさえも打ち明けることが出来なかった。やがてコペールへ出入りし「堅気にゃ嫌気がさしたぜ。また太く短く生きるんだ」そううそぶく信彦に、昔の仲間は喜んだ。しかし、これは小橋たちを欺く手段だった。信彦は強盗の片棒を担ぐやくさに落ちたわけではなく、少年院にいた仲間たちの弱みにつけ込んで悪事を働く小橋たちに抵抗しようと考えたのだ。ところが信彦が警察に登録されている拳銃を買い込んだことから小橋は計画に気づき「姉さんの命は貰った。土曜日の九時までに鍵を持って来い。」そう脅すと姉の房江を人質に去った。土曜日が来た。信彦は、鍵を持って彼らの元へ向かった…。

日本
製作:日活(民芸映画社) 配給:日活
1958
1958/11/25
モノクロ/6巻/1649m/60分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】新宿区(神宮球場外回廊)