絶唱
ぜっしょう

香り高く、豊かな抒情性とヒューマニティをおりまぜて、美しくも哀しい悲恋物語を描く芸術祭参加の文芸珠玉篇。

山陰地方の大地主である園田家の一人息子・順吉は、以前から素朴で可憐な山番の娘・小雪を愛していた。順吉から結婚の申し込みを受けた小雪は自分には勿体ない人だと自分を卑下するが、そんないじらしく慎ましい様子に順吉は益々惹かれ、小雪のためなら全ての富を捨ててでも構わないとさえ思った。というのも順吉の父である惣兵衛は、町の実業家の令嬢との結婚を強引に進めようとしていたのだ。そしてとうとう惣兵衛はその権力と金を使って小雪を遠ざけようと画策した時、順吉と小雪は逃げるように山を離れて湖の畔に住むことにした。家を出て慣れない重労働に汗を流す順吉は、それでも幸せだった。仲間は応援してくれ、何より愛する小雪との生活に心が満たされていた。しかし二人の幸せな日々は長くは続かなかった。戦局の苛烈さにつれ、やがて順吉の元にも召集令状が届いたのだ。そして出征の日、順吉と小雪は二人だけのある約束を誓うのだった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/10/15
モノクロ/109分/シネマスコープ・サイズ/11巻/2975m
日活
【京都府】(調査中)
【島根県】松江市、出雲市(宍道湖)/松江市(松江城、濠端)