知と愛の出発
ちとあいのしゅっぱつ

『陽のあたる坂道』で脚光を浴びた芦川いづみ&川地民夫コンビの第二作。黒澤明監督『酔いどれ天使』を手掛けた植草圭之助が脚本を手掛け、才匠・斎藤武市監督がメガホンを取った青春映画。

湖のほとりの町の高校生桃子が、同級生南条靖と親しくなったのは湖の真中にある小さな島であった。病院長の令嬢・恵美と湖に遊びに来た桃子は、恵美の同性愛的な愛撫を拒んだ為、ひとり湖の島に取り残されてしまった。困り果てた桃子を靖がボートで救ってくれたのだ。二人は大学進学の夢を語り合った。ところが桃子の家は経済的に苦しく、父の健司は大学進学を諦めろと告げる。女は大学など行く必要が無いという父に反発し、桃子はアルバイトをしてでも大学に行くことを決意する。靖は厳しい父の監視を受けながら、受験勉強を続けていた。桃子への同性愛に破れた恵美は、大人の世界に足を踏み入れ、若い医師・三樹と遊び呆けていた。学友であるバーの娘・洋子の家で、夫婦雑誌や実話雑誌を読み、性の世界に興味を抱いていた。三樹は恵美の若い母・順子をも狙っていた。夏休みに桃子と洋子は湖畔のホテルでアルバイトを始めた。祭りの夜、桃子と靖は湖のほとりで月光の光の下、唇を触れ合った。洋子は都会から来た不良青年の毒牙にかかり、純潔を奪われてしまい恵美の病院に担ぎ込まれた。桃子は盲腸炎になり、三樹の手術を受けた。靖の輸血で日に日に快方へ向った。しかし輸血が靖からと知らぬ桃子は、他人の血が体に入ったことに不潔感を覚えた。三樹は桃子に迫るが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1958
1958/6/17
コニカラー/90分/シネマスコープ・サイズ/10巻/2465m
日活
【長野県】諏訪市/信濃町(野尻湖、霧ヶ峰山頂、諏訪市弁天橋、諏訪湖)
【新潟県】妙高市(妙高山)