浮草の宿
うきくさのやど

春日八郎のヒット曲をフィーチャーした歌謡映画の形を取りつつ、復習に挑む男を描いたムードアクション。凝ったカメラワークが後年のスタイルを彷彿とさせる鈴木清順(清太郎)監督第4作。まだデビュー2作目の二谷英明が主演を務めている。

夜の横浜港。土砂降りの雨の中、ジャックナイフを構えて対峙する二人の男。それは護岸工事の入札をめぐる土建業者同士の権力争いの末、事件の決着をつけるため果し合いをする丸菱組の志田と花田組の三木俊次だった。二人が死闘を続けていた時、どこからかジャックナイフが飛んできて志田に刺さった。俊次は逃げ去って行く男の黒い影を見た。その後、俊次は志田殺しの犯人として手配されたが行方不明。俊次は事件後すぐに香港に逃れて名を漢宝昌と偽り、通訳として外国船に乗り込んでいたのだった。だが心に残るのは横浜に残してきた愛人こずえと花田組のことだった。そしてほとぼりの冷めた5年後の今、日本向けの密輸船に乗り込んでようやく念願のハマの地を踏むことができたのだった。その夜、俊次はバー、ハーバーライトで買た時も忘れなかったこずえと瓜二つの妹、美緒に逢う。そして美緒からこずえがあの事件後、俊次を追ってはハマを離れたと聞き、暗然となるのだった。俊次を失った花田組は勢力が衰え、丸菱組に潰されていた。死んだと思った俊次がハマに現れたことを知った丸菱組は、俊次の抹殺を狙って行動を開始する…。

日本
製作:日活 配給:日活
1957
1957/1/9
モノクロ/8巻/2028m/74分/スタンダード・サイズ
日活
【神奈川県】横浜市(横浜港・岸壁、赤レンガ倉庫、貨物引込線、中央桟橋)