学生心中
がくせいしんじゅう

力強く生きんと誓い合いながら、はかなく消え去ってゆく二人の学生―日活が若き世代に贈る青春の感激篇。

眞樹茂は、父の死後、母が後を追うかのようにこの世を去った原因が、信頼していた叔父・寛治の執擁な求愛に苦しめられたためだと知り、打ちのめされた。このことは、叔父の世話をうけて不自由ない学生生活を送って来た彼に、独立して苦学しようという堅い決意を抱かせた。ある夏の日、茂は学友の木山伸二と秋岡五郎と連れ立って、木山の兄が主任技師をしているダム建設場の見学に赴いた。胸ときめかせて工事場に見惚れる二人をよそに、山小屋で物想いに沈んでいた茂は、そこで明るい微笑みの小宮比佐子に出会った。叔父や、茂に恋心を抱く叔父の娘・節子の強い反対を押切って、茂はビルの建築場にアルバイトの口を見つけた。茂を優しくいたわってくれる主任技師・大磯に誘われ、ある晩キャバレー「ザザ」へ行った茂は、そこで女給姿の比佐子に出逢った。この奇遇に二人は驚き、喜び合った。比佐子は田舎の雑貨店の娘で、学友の京子と苦労をともにする女子学生だが、父の莫大な借金により田舎の有力者の息子との縁談を迫られているという。お互いに大きな悩みを持つ茂と比佐子は、いつしか愛し恋しあう仲となっていた。しかし幸福には、それを妨げる野良犬がいる。比佐子をねらう下宿屋の不良息子・龍一という野良犬が、激しい嫉妬から茂を暗闇で殴り倒した。その傷のため失明の身となった茂は、再び叔父の家に引取られ、節子の手厚い看護をうけるのだった。茂を愛する比佐子は足繁く茂の許を訪ねるが、節子は比佐子を茂に逢わせようとはしなかった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1954
1954/7/27
モノクロ/99分/スタンダード・サイズ/10巻/2726m
日活
【東京都】千代田区(丸ノ内のビル建設現場)
【群馬県】みなかみ町(東京電力須田貝発電所工事現場)