戦國時代(戦国時代)
せんごくじだい
戦国時代…それは日本歴史始まって以来、庶民の最も不幸な時代であった。群雄は諸国に割拠して弱肉強食の阿修羅地獄はその戦禍の及ぶ津々浦々に現出した。南国のこの貧しい漁村にも敗残の秩序ない軍兵は乱入して人馬の徴発、糧食の略奪をほしいままにして風のごとく去ったのである。次郎、雄作、耕造の三人ともまた軍夫として徴発され何処へとなく連れ行かれた。次郎は恋人お菊と別れ、耕造は妻子を残して、然し雄作ばかりは自ら進んで徴募に応じたといってもよかった。而も肝智な彼は次郎を陥れて彼を亡きものとし秘かに恋するお菊を奪わんとたくらんでいたのである。そして、雄作の仕組んだ罠に次郎はうまうまと陥込んだのである。敵方に内通する間者として彼は厳しい取調の結果ついに斬罪に処せられた。間もなく雄作は莫大な恩賞金を受けて故郷へ錦を飾った。そして彼がまず訪れたのはお菊の許である。雄作は次郎の死を告げ甘言をもってお菊に迫ったのであったが蓮如上人の為に妨げられその野望を遂げることが出来なかった。その頃お菊には遂に次郎との間に男児をもうけ今は寄る辺ない身を高徳な蓮如の許に託しその庇護をうけていたのである。しつこい雄作はお菊をわがものにする為にはその手段を選ばず、ついに蓮如とお菊との間に忌わしいものがあるかの如く流布して村民たちを煽動し蓮如を放逐したのである。しかし其処にもまた雄作の奸陥は設けられて、お菊は雄作の腕の下に組み敷かれその抵抗も空しく彼の狼藉の儘に散らんとした時、次郎は負傷の体を引きずって戻り、烈しい闘いの後雄作を倒したのであった。戦禍に疲れたこの漁村にもいつしか明るい平和が訪れていた。
日本 製作:協同映画製作所
1937
1937-00-00
モノクロ/79分/スタンダード・サイズ/9巻/2171m
<ご注意>
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